太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
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その日は突然やって来た
ドレスを掴みあげ長い廊下をひたすら走りお父様とお母様のいる部屋に向かう
私の姿をとらえた使用人が扉を素早く開けて中に通してくれた
「お母様!どういうことですか月が戦になっているなんて!」
部屋に入ると不安そうな顔のお母様がいた
「アイリア、地球の住人が月に攻めて来ているそうです」
「地球の住人が!?なぜです!月は地球の成長を見守っていたのですよ!攻められる要素はどこにもありません!
─エンディミオンは!?地球のプリンス・エンディミオンはなにをしているのですか!」
私は事情を少しでも取り入れたくて声を荒げてしまった
「アイリア少し落ち着きなさい」
「─っ!お父様、申し訳ありません…」
今まで難しい顔で空を見つめていたお父様
私に向けた表情はやはり厳しい…
「今回の戦の発端は地球のプリンスと月のプリンセスが原因のようだ…」
「─どういうことですか?」
訳がわからない
なんでエンディミオンとセレニティのせいなの?
あの二人はただ愛し合っていただけ
確かに月と地球の住人は本来相容れないもの
でも運命は二人を引き合わせた
それは二人に未来があったからではないの?
涙がとめどなく流れる
「地球と月の交際は禁忌だ。それが今回の発端、どうやら地球は今黒い悪しきものにとりつかれているようだ…なぜ今まで気づかなかったんだっ─!」
ドン!と拳で強く壁を叩くお父様、こんなにも憤った姿は見たことがない
それだけ今回のことは私たちが油断していたということ
平和だと思っていた
太陽も月も地球も全ての星が未来に向かって成長していくということに何の不安もなかった
これから月はどうなるの?あの青々とした地球は?
太陽はこの銀河を導くことを使命としているのに何もしないでいていいの?
大切な友が…セレニティが苦しんでいるのに
こんなことで私は本当に太陽のプリンセスと言えるの?
決めた、私はあきらめたくない!
私がするべきことは─
「お母様、今こそ私に戦士の名を授けてください」
握りしめた掌に爪が食い込み、じんわりと熱く感じる
「─っ!アイリア、この戦いは生半可なものではないのですよ。
あなたは次期太陽を治める者、その責任は如何するのですか」
クイーンの顔つきになったお母様に勝てたことはない
これが太陽を治めるクイーンの輝き
何物にも屈しない統治者の気迫
「もちろん私とて易々やられはしません。
確かに無事に戻れるという保証がある訳ではありませんがすべては覚悟の上です。このまま戦いを見ているだけなんて太陽のプリンセスと言えるでしょうか?そんな私がこの銀河を導くことが出来るでしょうか?
幸い私は戦士としての力を持っています。いつかは前線に立ち、敵と向き合う時が来るとクイーンも覚悟はしていたはずです。それが今なのです。どうか私に戦士として月に行くことをお許しください」
私はお母様…クイーンから目をそらさなかった
クイーンも私から目をそらさなかった
これはすべての星の今後を左右する重要なこと
部屋は静まりかえり、時折り吹く風が窓を揺らす音がするだけ
「…すべて覚悟の上、なんですね」
「はい」
クイーンは一度目を閉じ再びあけられた瞳にはもう迷いはなかった
「わかりました。プリンセス・アイリア、あなたに戦士の名を与えます──」