太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
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そして3日後
今日はパーティー当日
宮殿の中は朝からバタバタと忙しく動きまわっている
アイリアも火球に選んでもらったドレスに着替え
メイクやヘアセットをしてもらっていた
「アイリア様とても素敵ですよ」
「そう?ありがとう///」
鏡の前の椅子に座り、写りこむアイリアの姿にメイドは声をかけた
さすがはプリンセスの立場にあるだけあってなんでも着こなしてしまう
優雅に微笑んだ顔にメイドはポッと赤くなった
「でもちょっと張り切り過ぎじゃないかしら?」
アイリアがそう思うのも無理はない
今アイリアが着ているドレスは背中がほとんど見えると言っていい程開いている
背中が開いている分、肘より長い手袋、ふくらみのあるドレスで自然に見せてはいるが
普段はあまり肌を見せることがないので今の自分に自信がないのだ
「そんなことありません!とてもよくお似合いです」
自信をつけてあげたくてメイドさんは一生懸命だ
「そうね、あなたががんばってくれたんだものね」
──コンコン
「どなたですかね?」
そういってメイドさんがドアにむかった
「アイリア様お迎えがきていますよ」
「お迎え?誰かしら…」
ドレスの裾を軽く持ち上げドアに近づく
そこにいたのは髪の長い男性
どこかで見たような気はするがこの宮殿では男性と接する機会はあまり多くない
「あの…?」
「よぉ、準備できてるなら行かねぇか?」
パーティー当日
朝から準備に追われていたがそれもひと段落して
プリンセスに言われた通り今日は変身を解いて参加することになった
普段は戦士以外の姿で表に出ることは少ないから若干緊張気味
それにプリンセスからアイリアのことをエスコートするように頼まれているので失敗は出来ない
準備も整いアイリアの部屋へ迎えに行ったはいいものの
「すみません、どなたですか?」
今さら何を?と思ったが
「えっ?ああ、そっか。俺だよ、ファイター」
そうか、この姿のことは話していなかったんだな、と思い出した
「ファイター?ファイターって男の子だったの?」
「そうじゃなくて、いやっなんていうか…」
どの様に説明したらいいか考えていると胸に違和感が
「ってなにしてんだよ///」
胸の違和感はアイリアが触っているからだ
なんと大胆な!!なに普通に触ってんだよ///
「ほんとに胸ないよ…ファイターの時はうらやましい位あったのに」
「だから、おれ男だから!変身解くとおれ男なんだよ!」
「そうなの!?なんで今まで教えてくれなかったの?」
「忘れてたから…」
男版ファイターは頭をかきながら言いにくそうにつぶやいた
(てか、ファイターが本当は男ってことは私は男の人に抱きついてたの!?今更だけどはずかしぃ///)
アイリアが一人過去の自分と戦ってると男版ファイターが声をかけてきた
「それじゃ行こうぜ。プリンセスが待ってる」
「う、うんそうだね」
男版ファイターに連れられ会場に向かう
「ファイターはさ、」
「星野…」
「…星野?」
「俺の名前、ファイターは俺の戦士の時の名前。だからこっち時は星野って呼んで」
「わかった、今度からは星野って呼ぶね」
そうこうしていると会場についた
扉の近くには火球が立っていた
「火球!」
「まあアイリアそのドレス素敵ですよ」
「ありがとう、火球もとっても素敵だよ」
「ありがとう、それで星野はきちんとアイリアをエスコート出来たんですか?」
火球がちらっと星野を見る
「そのことなんだけど、火球も黙ってるなんでずるいじゃない」
「驚かそうと思って黙ってたんです」
「もう…で、こちらの殿方は?」
今まで火球の傍に控えていた男性二人は『えっ?』って顔をした
「星野、私たちのことは話してないんですか」
「わりっ、忘れてた;」
「星野に頼むとこれだからイヤなんだよ」
「なんだよ、そんな言い方ないだろ!」
銀髪の男性と星野が口げんかを始めてしまった
どうしたものかと見ていると
「二人ともやめてください。話が進みません」
茶髪の男性が二人を止めた
火球はそんな三人を楽しそうに見ている
「すみません、星野から聞いているとばかり…」
「わるかったって…」
「いいえ、大丈夫ですけど…」
「では改めて、私は大気といいます。戦士の時はメイカーです」
「僕は夜天、戦士の時はヒーラー」
「メイカーとヒーラー?」
改めて二人を見ると確かにメイカーとヒーラーに似ている
「二人も男の子だったの!?」
「はい、そうですよ。今まで黙っていてすみません」
「星野のことがあったんだからすぐに気付いてよね」
「ご、ごめん」
「夜天たら気付いてもらえないからって拗ねちゃダメですよ」
「プリンセス!そんなことはありません」
図星といった顔になった夜天
場が笑に包まれた
「─それでは行きましょうか」
「「「「はい」」」」
火球の合図で私たちは会場へと足を踏み入れた
中に入れば招待を受けたお客様たちが会話を止めた
火球を先頭に後ろにアイリア、その後ろに星野たちが並んでいる
火球は中央につくと会場を見渡した
「皆様、本日はようこそいらっしゃいました。今日は花々が輝く花祭りです。これからのこの星の平和と皆の幸せのための祭りです。どうぞ心行くまで楽しんで行ってください。さあ花祭りの始まりです」
火球の合図とともに音楽が流れ始めた
それとともにペアになった男女が何組もダンスを始めた
アイリアはその様子を椅子に座りながら眺めていた
皆が楽しそうにしている様子はこの星の住人でなくてもうれしく感じる
火球は先ほどからいろいろな人へあいさつ回りをしているので大人しく見ていることにした
すると横から星野が声をかけてきた
「アイリアお前は行かないのか?」
「あいさつって言っても知らない人ばっかりだし…星野こそ火球の傍にいなくていいの?」
「プリンセスには今夜天がついてるから、じゃなくてダンスだよ!ダ・ン・ス!」
アイリアは踊っている人々から横にいる星野に目を向けた
「えっ、ダンス?」
「なんだよ、お前踊れないのか?」
「一応は踊れるよ…でもダンスも最近練習してないから自信なくて」
星野は『ふーん』と何か考える素振りをした後ニカッと笑った
「それじゃ俺と踊らないか?」
「星野と?」
「俺だったら足踏まれても平気だし、はたまたドレスの裾踏んで転んでも大丈夫だぜ!」
「そこまでひどくないよ;」
どんな悲惨なことを想像しているのか
練習していないと言っても太陽でも時々踊っていたのだから転ぶまではないだろう…と思う
改めて自分のダンスを想像しているとスッと手が差し出された
「では、プリンセス・アイリア、私と一曲お願いできますか?」
「はい、よろこんで///」
アイリアは星野の手を取り会場の中央へ進んだ
今まで踊っていた人々はアイリアの姿を確認すると端の方へよけて行った
曲はワルツ調の曲になり二人は手を繋ぎ星野の片手はアイリアの背へ回された
アイリアは自分の背に星野の手が回され少しドキっとした
何しろ背中はほぼ素肌だからだ
(やだ、なにドキドキしてるの!これはダンス、ダンス…)
ふーと息を吐き少しずついつもの調子が出てきた
周りの人々もアイリアと星野の優雅なダンスに目を奪われていた
一方星野は
(や、やべっ…おれアイリアの背中もろ触ってるじゃん///
落ち着けおれ、ダンスに集中、集中…って手汗がやべーよ!!)
と優雅に踊っているように見えて余裕が無かった
「まあ、星野とアイリアとても素敵ですね」
「ほんとですね。星野のあんな姿は初めてです」
「でもなんか後ろにまわしてる手おかしくない?」
何気なくばれちゃってるよ星野…
火球たちは星野の幸せが叶うように見守っていた
「ふーう」
「疲れたかアイリア?」
「大丈夫だよ。緊張しただけ」
『少し出ないか?』星野にそう言われアイリアはバルコニーに出てきた
夜風が火照った体には心地よい
「わーあ♪」
柵の近くまで進むと目の前に広がる花々の光の絨毯が広がっていた
白、赤、青、オレンジ、緑、など色とりどりの光が優しい光を放っている
光りが夜空に溶け幻想的だ
「すごく素敵、きれいだね星野!」
「ああ、俺はこの光がすっごい好きなんだ」
「うん、わかるよ…」
アイリアは目をキラキラ輝かせ眼下に広がる景色に見入っている
誘ってよかった
喜んでいる姿を見るとこっちもうれしくなる
今までは他の星から来た部外者とばかり思っていたが
アイリアの笑顔は固まっていた心を温かく溶かしてくれた
いつも必死で諦めないアイリアの強さが
自分でも知らない自分を引き出してくれる
決めた、言おうこの気持ちを…
「なあアイリア…」
「なに星野?」
「俺アイリアが好きなんだ」
「─えっ?」
見なくてもわかる
今俺の顔はすごい赤くなっているだろう
顔に熱が集中している
「今までこんな気持ちになったことはない。
初めてなんだ、プリンセス以外にこんなにも守りたいと思った奴は…
最初はただ他の星から来た邪魔な奴としか思ってなかったけど
少しずつお前を知って、温かいお前の笑顔に惹かれた。
俺は戦士でお前は太陽のプリンセス。身分違いなのは分かってる。だけど伝えたかったんだ俺の気持ちを…」
「…………」
「っごめん、お前の気持ち考えないでこんな事伝えて」
黙りこんでしまったアイリアに不安になった
やっぱりまずかったかと…
「な、なんで謝るの?」
ぽろぽろと涙を流すアイリアがそこにいた
「星野の気持ちすごくうれしい。身分違いとかそんな悲しいこと言わないで…
私この星に来てみんなに歓迎されていないことはわかってた。
でもあの夜、名前を呼んでもらってすごくうれしかった。自分のことちゃんと見てくれたんだってそう思ったら不思議な気持ちになったの。ずっともやもやしてたけどやっと気づいた。
ファイターが男の子ってことには正直驚いたけどそれは関係ない。
─私あなたが好き…」
顔中に血が集まるのを感じる
「ほんとに…?ほんとに俺でいいのか?」
(今の言葉聞き間違いじゃないよな…?)
おれの言葉を聞いてアイリアはふわっと笑った
「うん、あなたじゃなきゃだめ」
「─っ///アイリア─」
星野はアイリアを抱きしめた
二人の間に漂うお互いのキンモクセイの香り
さっきはまわした手を気にしていたが今はアイリアを愛おしく想う気持ちでいっぱいだった
二人は風が通る隙間がうまれないように抱き合った
そしてアイリアが星野に笑顔を向けた
星野も微笑み返しゆっくり顔を近づける
優しいキスで心が満たされていく
──────────────
「これやるよ」
星野が取り出したのはピンク色のしずく型のネックレス
「かわいい、これは?」
「ローズクオーツ、この星でとれる天然石なんだ。アイリアに持っていて欲しい」
「ありがとう///あたしも渡すものがあるの」
アイリアは自分の首に下げていたネックレスをはずした
「これを星野に…これはアメジスト。私の気持ちを星野にあげる」
「アイリアの気持ち?」
「ふふっ、考えてみて♪」
いたずら顔でアイリアはアメジストのネックレスを俺の首につけてくれた
少し背伸びをしていたので屈んであげる
「はいできた」
顔を上げるとお互いが見つめる形になる
自然に再び唇を重ねた
───いつまでもこの幸せが続きますように