太陽の在処~始まりの物語~
主人公の名前
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「っつ!!もう少しゆるく結んでくれないかしら?」
「ファイター様にはこれくらいで十分ですよ」
現在ファイターは治療を受けていた
九十歳を超えた辺りから年を数える事を止めた御爺さん…キルトさんがファイターに包帯を巻いている
「ファイターに容赦ないですね」
「でも腕はいいのよね」
ヒーラーたちはのんきに感想を述べている
「いや、これほんとにきついのよ;」
話をしている間に火球が部屋へやってきた
「プリンセスっ!」
ファイター立ち上がろうとしたが火球がそれを制止た
「傷の具合はどうですか?」
「ご心配をおかけしました。かすり傷程度です。」
「そうですか、アイリアは怪我はなかった?」
今までうつむいていたアイリアは顔を上げた
「ええ、大丈夫よ。心配かけてごねんね」
「よかった。メイカーから顔色がよくないって聞いていたので…」
ほっと胸をなでおろす火球
「キルトさんにせんじ薬をもらったから大丈夫」
「しかしアイリア様、油断してはなりません。自室でゆっくりとお休みください」
そう言うと道具を両手で持ちキルトさんは火球にあいさつをして退室した
「今回のことはこれまでにも何度かあったのにしっかりと対処できていなかった私の責任です」
部屋が静けさに包まれると火球が深刻そうに言葉を発した
「プリンセス、そんなことはありません!私たちがいたらなかったから…」
「そうです、異変にいち早く気付いていたら!」
ヒーラーとメイカーが火球を庇おうとするも
「「「「・・・・・・・」」」」
「ふふっ、皆であやまり合戦ですね」
「そうですね、誰が悪いと言う事はないのですよね」
気まずい雰囲気が一気に和やかになった
「それでもなぜ急に敵がいなくなったのでしょう」
「それはアイリアが…」
「アイリアがどうしたのよ?」
「それは、私が説明するわ」
私は事のあらましを説明した
「そうだったのですか。では被害が最小限に抑えられたのはアイリアのおかげですね」
「ただ夢中だっただけよ。でもあまりひどくならないでよかったわ」
ファイターは先ほどの光景が忘れられないでいた
あれほどの力、暖かいエナジー
きっとこの先も忘れることはないだろう
「みんな疲れたでしょうから戻りましょうか。アイリアもファイターも自室で休んでください。」
火球の合図でヒーラーもメイカーの部屋の外へと出た
ただ一人、アイリアだけはその場を動かなかった
「ちょっとアイリア─」
「ヒーラー、二人にしてあげてください」
「…わかりました」
─バタン
部屋にはファイターとアイリアの二人だけになった
静かになった部屋には音はなく、ただ夕焼けのオレンジだけが二人を包む
「アイリア、どうし─」
「ごめんなさい」
「─えっ?」
「私のせいで怪我させちゃって、ごめんなさい」
ドレスを両手でギュっと握りうつむきながら涙を流すアイリア
「あなたのせいなんかじゃないわ」
「でも、あの時私が転ばなければファイターが庇う事なんかなかった。今回のことは確かに誰のせいでもない。でもファイターのことは誰がなんと言おうと私のせい、だから謝らせて」
ふうと息をつきファイターは座っていたベッドの端をトントンとたたいた
アイリアは導かれるようにそこに腰掛けた
そして不安そうなアイリアをファイターは優しく抱きしめた
「確かにアイリアが転ばなければ私は怪我をしなかった。でも私が庇わなければアイリア、あなたが怪我をしていた。私はそんなの耐えられない」
「えっ?」
体を離し、目にいっぱいの涙をためたアイリアの手をファイターは優しく握った
「私はプリンセスの戦士よ、仲間やプリンセスのために今までやってきた。でも私はアイリアも守りたいの。傷ついてほしくない、私はあなたのためならなんだってできるのよ」
そう言ってファイターは微笑んだ
「──だけどやっぱり私は守られるだけはいや、私にもファイターを守らせて。私にとってもファイターは大切な人なんだから…」
「─えっ?」
今度はファイターが驚く番だ
(この子言っている意味わかっているのかしら…)
アイリアの顔は真剣そのもの
「─それじゃお互いを守りましょ。でも自分のことは大切にしないとだめよ」
「わかった、ファイターもね」
やっとアイリアに太陽のような笑顔が戻った
そして今回の一件でアイリアが自分の中でかけがえのない存在だと気付かされたファイターだった
一方アイリアの方は未だ自身の中で渦巻く不思議な気持ちの正体に悩んでいた
それが甘く、ほろ苦い幸せだとはまだ…