太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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ひなたのマンションを出てからだいぶ時間が経った。
見晴らしの良い場所を探しつつひなたならどこに行くだろうかと考えながら1人街を彷徨っていた。
まだスリーライツが解散してからあまり時間が経っていない事もあり何度かファンの子たちから声を掛けられては人だかりができかけてどうにかその場を撒くというハプニングを繰り返していた。
ひなたを探す事ことに集中したいのだが、人目を気にする事という変なところで神経をすり減らしながらもやはり思考の大半はひなたならどこへ行くか、と考えて足を動かしていた。
「ったく、ひなたのやつどこに行ったんだ」
かけてたサングラスを少しずらして辺りを見渡す。
笑い合う恋人や友人、家族の様子を見て思わず「本当に守れたんだな」と思わずこぼれた自分の声に自分自身もそれをしっかりと心から感じられた気がした。
しかし、だ。
想いを伝えようと飛び出してきたのに肝心のひなたがいないのでは意味がない。
見晴らしの良い場所とはどこだろうか。
昔ひなたがアイリアとしてキンモク星に来た時、王宮の高い木に登っていたことがあった。
まだあの頃は火球プリンセスと仲間以外を信じられず、戦士としての立場ながら太陽のプリンセスのアイリアに冷たく接していた。
『ファイター見て!─綺麗な星ね』
そう言って街を見下ろす優しい横顔を今でもはっきりと覚えている。
思えばあの時、悩み事があったのかもしれない。
なんたって俺たちセーラー戦士はアイリアにきつく接していたのだから…
昔の俺、なにやってんだよ─!!
けど、確かにヘリオスのいう通りひなたは高いところが好きなようだ。ただ高いところじゃなくて街を見下ろせる場所。
もしかしたら─
「─やっと見つけた」
「え、星野?どうしてここに?」
「どうしてじゃないだろ、ずっとひなたを探してたんだぜ」
青い空がオレンジ色の夕焼けに変わる頃、ひなたは学校の屋上にいた。意外といえば意外だけど前にセーラー戦士で屋上に集まった時に見た景色がどことなくキンモク星の街並みを彷彿とさせた。
「一日中探し回ったんだぜ。マンションに行ったらヘリオスもどこに行ったか知らないって言うしよ」
「ちょっと一人で考え事したくて」
「考え事?」
いつも前向きで明るくて、普通の女の子だけどやはりプリンセスとしての威厳をもつ普段のひなたの様子とは今日は少し違う。
どこか朧気で捕まえていないと消えてしまいそうな雰囲気に不安を覚えてしまう。
「調子が悪いのか?封印石の事もあるし、この間倒れてたし、まだ本調子じゃないんじゃないのか?」
「ううん、大丈夫。どこも悪くないから」
フェンスに腕を乗せ、眩しそうに眼を細めるひなた。
確かに具合が悪そうには見えない。
「そういえば星野はなんで私のこと探してたの?」
当初の俺の目的を思い出したひなたが不思議そうな表情でこちらを見上げた。
そうだ、俺はひなたに自分の気持ちを伝えに来たんだ。
仲間が背中を押してくれたから俺は今ここにいる。
ふーっと息を吐きだして、ひなたを見る。
うじうじ悩んでたけどそんなの俺らしくないよな。
「ひなたに聞いてもらいたいことがあるんだ。
聞いてくれるか?」
どうか受け取ってほしい、俺の想いを。
今までで一番緊張しているのが自分でもわかるほど心臓がうるさい。顔も強張っているだろうし、若干額に汗もかいてる。
ひなたの返事を待ってはいるが早く伝えたい気持ちですぐにでも言葉を発してしまいそうだ。
「その前に私の話、聞いてくれる?」
まさか俺の気持ちとは裏腹にひなたからあんなことを聞くことになるとはこの時の俺は知る由もなかった。
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