太陽の在処~永久の約束
主人公の名前
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翌日になり俺は火球プリンセスや夜天、大気と共に食事をとった後、身支度を整えてひなたの元へ向かうことにした。
「星野、しっかり気持ちを伝えてくるのですよ」
「はい、プリンセス」
昨夜、これからの事にぐずぐずしていた俺に諦めなくていいと言ってくれた。使命と大切な人を選ぶことができずにいたこんな俺を突き放すことなく仲間は背中を押してくれたのだ。
「言っておくけど、泣いて帰ってきても僕は慰めないからね」
「なんで俺が泣いて帰ってくるんだよ」
「振られて帰ってくる可能性だって捨てきれないでしょ」
「うっ…確かに」
いつもはそんな事ない、と夜天に言い返すところだがその可能性も捨てきれず、心に若干のダメージを受けたような感覚がして俺は咄嗟に左胸を抑えた。
「こらこら、これから想いを伝えに行く星野にそんなことを言ってはいけませんよ」
「っごめん…そんなに気にすると思わなくて」
俺がいつもの調子で言い返さなかったことで俺が傷ついたと思った夜天が謝ってきた。そのことに驚きつつ、俺そんなに辛そうな顔をしてたか?と自分の顔をそっと触った。
「星野も夜天のいつものからかいを真に受けないでしっかりひなたさんに気持ちを伝えて来てくださいね」
「ああ、分かってるよ大気。夜天も、気遣わせてごめんな、ちゃんとひなたに俺の気持ち伝えてくるから」
「うん、がんばって」
「いってらっしゃい」
「星野、いってらっしゃい」
「はい、プリンセス。行って参ります」
見送られた俺はマンションを出てひなたのマンションに向かった。
ひなたのマンションを初めて訪れたのはひなたとの水族館デート時。戦士の力を取り戻したひなたをマンションまで送った時が最初だ。つい最近の事なのに随分前のような気がするのはそれだけ戦いの日々が濃く印象に残っているためだろうか。
いろんな事があった。
楽しい事も、辛い事も。
でもそれがあったから
未来を考えられる
だから俺はきっとその幸せを掴んで見せる。
ぐっと拳を握り、足早に目的地へと向かった。
ピンポーン
いないのか?
再び呼び鈴を鳴らして暫く待ってみた。
するとガチャ、とドアのロックが外された音がした。
だが扉は開く気配がなかったので「開けるぞ」と一応声をかけてゆっくりとドアを引いた。
中を覗くと以前お邪魔した時と同じ様子のひなたらしい空間だけがシン、と静まり返っていた。
「え、誰もいない…」
じゃあなんで鍵が開いたんだ…
さっと、血の気が引くような気がしたとき
「星野殿」
と足元で声がした。
そちらに目をやると
「なんだ、ヘリオスか」
ひなたの側近のヘリオスが俺を見上げていた。
フワフワで思わず撫でたくなるような白い羽毛に包まれたヘリオスは俺に存在を気づいてもらうとバサッと飛び上がり、下駄箱の上に置いてあるウサギとクマのマスコットの間に舞い降りた。
「どうされたのですか?」
「ひなたに話したいことがあってさ、でひなたは?」
「ひなた様なら少し前にお出かけになりましたよ。てっきり星野殿のところへ行かれたのかと思いましたが…」
暗に見ませんでした?と言いたげに首を傾げるヘリオスをかわいいな、と頭の片隅で思いながらもひなたがいないという事実に意気込んできた気持ちが肩透かしを食らったような感覚がした。
「どこに行くとは聞いてないのか?」
「出かけてくる、とだけ。今思えばあまり元気がないようにも見えました。この間の戦いでの疲れもあるので息抜きになればと思ってお見送りしたのですが、止めるべきだったでしょうか?」
しゅん、という効果音が聞こえてきそうなヘリオスの様子を見て
「出かける元気があるなら大丈夫だって、心配すんなよ!」
と俺は励ますように声をかけた。
「だと、いいのですが。星野殿、ひなた様をお探しなんですよね?
私は封印石から離れることができませんのでどうか、ひなた様をよろしくお願いいたします。」
「おう、こっちは任せてくれ。俺の方こそ封印石のことよろしくな」
ひなたからその後の封印石のことを少し聞いていた。
今はストーンの中で大人しくしているようで、しばらく経過をみて今後の対策を講じるつもりだと。
ひなたもヘリオスもそれにかかりっきりで気が滅入ってしまわないかみんな心配していた。
それはヘリオスも同じ想いだったからこそ深く行き先を聞かずにひなたを送り出したんだろう。
マンションの外まで戻ってきたがひなたはどこに行ったのか。
『ひなた様は景色のよく見える場所を好まれていました。もしかしたらそういった場所に行かれたのかもしれません。』
別れ際にヘリオスからそう、教えてもらった。
確かに前世からひなたはそういった場所に足が向くことが多かったように思う。
行き詰っていたり、気持ちを切り替える時などはいつも見晴らしのいいところで景色を眺めていたな。
「さて、俺のお姫様を探すとすっか!」
この空の下、一人で涙を流すことがないように俺が絶対に見つけてやる。
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