春風と君と


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ジェームズの部屋
春風と君と
次の日も収録は続いた。


昨日のような内容なので、体力的にもきつい。


しかし今日が終われば、あとは編集をするだけ。


そう考えると本当に今日は気楽な感じでのぞめた。


しかし、紫姫は真面目なイケメンだったので、最後まで抜かりなく仕事をするのであった。


相撲レスラー紫姫は今日もシコを踏み、女装男子青汰は自信満々に少女になりきった。


その後、収録は終わり、楽屋に戻る紫姫と青汰。


「いやあ、明日でもう、収録も終わりやで?」


紫姫はカバンに金庫に預けていた貴重品を入れながら言った。


「ほんまやで。今までの苦労を思い出すわー」


今度は青汰が、頭を振って、考える人のポーズをした。


「てなわけで、なんやかんやで楽しかったわー」


「もう、お連れさんモードなん?まだ早いで?」


そういって含み笑いをする紫姫。


こうして2人は、楽屋を去ろうとした。

ところが、青汰は忘れ物をしたことに気付き、いったん収録現場に戻った。
「最近、ほんまに忘れっぽくていややわーたしか、あの辺やったかな?」


目の前には半片付けられた照明器具等があった。

その隣のベンチにお目当てのものがちょこんとあった。

青汰はされを手に取り、戻ろうとする。


ところが、予期せぬものも見つけてしまった。


隣にビデオが置いてあったのだ。


可笑しい、最初はなかった。


しかし、青汰は考え直した。


最近の自分はすこぶる忘れっぽい。


もしかすると、勘違いをしているに過ぎないのだと。


しかし、青汰の中にある好奇心が湧いてきたのだ。

普段なら、他人の忘れ物があったとして、その中身を見るなんてことは、
普通しないことだ。


しかし、彼はそれを手に取り、少しの暇考え、持ち帰ったのだ。
その辺りから、彼の思考を叩き直してしまうほどの衝撃的な事実を
見てしまう運命を与えられていたのだろう。


(明日、こっそり返そう。)


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