ベリベリハッピーライフの描き方
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ジェームズの部屋
ベリベリハッピーライフの描き方
ノロノロ運転なので、途中何回か、後ろからクラクションを鳴らされたり、
執拗に後ろをつけられたりと、散々やられたが、
本人たちはあまり気にしていないようだ。
「いやっほー!海までぶっぱなせー!」
すると、なんとも厄介そうな、暴走族系のあんちゃんたちが現れた。
そして、ノロノロオンボロ車は、当然のごとく目を付けられたようだ。
「おーい!おっさんと、綺麗な兄ちゃん。」
カイルは、ニコニコしながら、応答する。
「はい、なんですか?」
監督も、拡声器でも喉についてんの?と疑うくらいの大声で応答する。
「なんだい!オイラたちになんか用かい?」
すると、いかついサングラスをかけた、あんちゃんBが現れる。
もちろん、バイクは動いているのだが、監督の運転する車は、自転車に並んで走っているのと同じなので、ゆっくり話せるのだ。
「おいおいおいおいおい!随分しみったれた車に乗ってんじゃねえか!?おーん?」
その言葉がおかしかったのか、カイルはクスリと笑った。
監督も釣られて、バカ笑いをする。
「なあに、笑ってんだぁああ?」
最初に話しかけてきた方が白目を向きながら、そう叫ぶ。
「いや、だって、ふふっ!面白いんですもの」
カイルが吹き出すと、自動的に監督もつられ笑いをするようだ。
しかし、そんなことを言われて、黙っちゃいないのが、暴走族の性・・・。
「てめえら、生意気なんだよ!大体、追い越し車線側を、そんなちんたら走んな!迷惑なんだよぉおお!」
そして、B。
「そうだぞ、それにてっめえ止めろよ、その笑い。ムカつくんだよぉおお!」
と言って、監督を指さした。
「ムカつくと言われてもーオイラこの顔で生まれてきたから、しょうがないんだぞ。」
「ひどいですね。あなたたち。スピルバーグさん、こんなやつら、ほっといて行きましょう。」
ガラス窓を即座に閉めると、今度は極端にアクセルを踏んだものだから、ブヲーン!と大きなふかす音が響き渡る。
しかも、かなりの排気ガスを吐き出すものだから、暴走族のあんちゃん達は、煙たがって席をしだした。
そして、見事逃げ出すことに成功したのである。
「それにしても、ひどいですね。人のことを完全に馬鹿にして!」
珍しく、カイルが不機嫌そうに声を荒げると、監督がまあまあといった感じでなだめた。
「オイラ、別に気にしてないんだぞ。カイル君がそう言ってくれるだけで、嬉しい!」
スピードメーターをちらちらと見ながら、そう言った。
「スピルバーグさん・・・。」