ベリベリハッピーライフの描き方

しばらく、うどんをすする音が響いた。

窓から見える監督の車は、オンボロながらも、これからの長旅になんとか持ちこたえる程度である。

下手をすると、途中でエンジントラブルが起こるかもしれないが、ご愛嬌。

「あーうまいな!カイル君。今夜のご馳走楽しみだなあ!」

「もう、夕飯のことを考えてるんですか?ははっ」

今日は、ドライブの帰りにご当地料理屋に寄って行くことになっている。

監督が口コミサイトを参考にしながら事前に予約をしたお店だ。

「でも、俺も楽しみだなー!やっぱり海の近くですし、海鮮ものとかがメインですよね?」

「もちろんだよぉ!ヨダレでそうだ!」

「食べながら、ヨダレ出さないでください。ははは!」
2人はうどんを食べ終わると、駐車場に出た。

監督はまだ、鍋焼きうどんの余韻に浸っているらしく、カイルにこれでもかというくらい鍋焼きうどんをリスペクトしていた。

それを、スマフォをいじりながら、相槌を打つカイル。

車に乗り込むと、監督はテンションのアクセルを全開にし、叫んだ。

「出発しんこうーーーー!!!」

「いえーい。」

かなり耳に轟く声なのに、嫌がる顔一つしないカイルは出来た男だ。

それどころか、表情もどこか、楽しげであった。

「カイル君、トイレは大丈夫だな?行くぞー!」

「はい、さっきすませたので。行きましょう。」

こうして、再び、追い越し車線側をノロノロ運転し始めた。

軽やかな風が心地よい。
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