ベリベリハッピーライフの描き方
「ん?なんだい?」
笑顔のまま、視線はスピードメータに向いたまま答えた。
「前に、十二支荘で暮らしていると言ってたじゃないですか。どんな感じなのかなと思いまして。」
「おお、そうだったな。オイラと十二支荘の住人たちは、本当に家族のようなんだ!
困ったときには、お互い必要とするし、楽しいことも、みんなで分け合うんだ。
一言で言うと、「幸せ」な感じだな!がはは」
カイルはそれを聞くと、目を細めて微笑んだ。
「いいですね。とても楽しいんだろうなあ。毎日が。」
「カイル君は家族がいるんだよな。」
「ええ、まあ。妹と兄がいますが、俺は一人暮らしなんですよ。」
「ほおー、そうかあ。」
その後、2人は他愛もない会話を続けた。
そうして、ドライブもいよいよ中盤に差し掛かってきたとき、
サービスエリアによっていくことにした。
「お腹すいたあ、オイラは鍋焼きうどんにしようかな。」
お店のショーウィンドウを眺めながら、監督は言う。
振り返ると、カイルがスマホをいじっていた。
「ん?そうですね。俺もそれにしようかな。」
スマホをポケットにしまいながらそう言った。
「じゃあ!きっまりー!おばちゃーん、鍋焼きうどん2つぅ!」
厨房の奥から、「あいよ」という声が返ってきて、番号札を渡された。
20番と21番。ピンクの小判型でプラスチック製のものだ。
それを握り締め、2人はカウンター席についた。
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