ベリベリハッピーライフの描き方
あの後、スピルバーグこと監督とカイルは、たまに連絡を取り合っていた。
2人はなんだかんだで、意気投合していたので、何回か会ったりしていた。
今日は、どうやらディステニーランドまでドライブをするようである。
あくまでもドライブだけである。
普通、中に入って楽しむだろうと思われるだろうが、彼らにとって長蛇の列を並ぶというのは修行以外の何者でもないのだ。
そして、彼らの本当の目的は途中に見える大海原である。
2人は本当に海が好きなのだ。
いや、あれから好きになったと言っても良いだろう。
さて、そんな2人を運ぶ車であるが、
これがまた古いタイプで、マフラーもガタガタ、
おまけにフロントガラスには鳥のフンがこびりついているのだから、
何とも言えない、レトロ感を出していた。一言で言えば、オンボロ車である。
そんな車の持ち主兼ね、ドライバーが監督だ。
彼は安全運転と称したノロノロ運転を行っていた。
そして取り付けたばかりのカーナビをチラチラと見ながら、アクセルをあげていった。
「カイル君ー!楽しんでるかい?」
「はい、もちろんですよ、たまにはこんなふうに、なんのあてもなくドライブするのもいいですねー。」
隣で風を受けながら、笑顔で答えるのはカイルと呼ばれる青年である。
彼は運転歴10年の監督を横目に、2車線めに流れる車を目で追った。
「今のナンバープレート、ゾロ目でしたよ?めずらしいですね。」
「ん?本当かい!?それじゃあ、今日はいいことあるかもな、がははは!!」
そう言うと、今度はスピードメーターをチラ見する。
「ところで、スピルバーグさん。」