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ドリーマー
夢、それは誰もが一度は見るものである。
夢、それは誰もが追いかけてきた希望である。
「俺は今、夢を叶える時がきた!そして、それを友人と共に祝福することができるのだ!」
このテンション全開少年の名はももち。手元にはながーいロングスプーンを持っている。おおよそ、30センチはあるだろう。
それを向かい側から眺めている少年がいた。それは、ももちが友人とうたっている、ミーロン少年である。
「よかったね。夢が叶うよ。」
「おうよ!なにしろ、日本一大きいチョコレートバナナパフェだぜ?うっひょっひょっひょ!マジで嬉しいわ~」
感激のあまり、ももちはよだれを微量垂らした。
「そんなに嬉しかったんだ。よかったね。」
「早く食おうぜ!おっと、ちょっと待った、その前に写メとろうぜ。ミーロン、隣に来いよ」
「はいはい。」
ミーロンは、のんびりと移動すると、ももちの隣に座った。
「よっしゃ!ほら撮るぞー。もっとパフェの近くに寄れって。あー!バナナに顔が隠れてるって。もうちょい左」
ミーロンは、支持されるたびに「はいはい」と相槌を打った。
「はい!チーズモリモリハンバーグー!」
このチーズモリモリハンバーグとは、ももちが考え出した新しいポージングである。普通はチーズといったら、チョキをだすものだが、この場合、ハンバーグーとなっているため、チョキとグーを同時に出さなければならなかった。
しかし、そのポージングを知っている人はごく少数で、ミーロンは知らなかった。そのために、彼だけはノーマルなチョキを出していた。
「いいのが撮れたぜ。よし、食うぞ。絶対食べきってやる!」
「そうだね。僕も頑張ってみるよ。」
そう言って、2人は30センチの光り輝くロングスプーンを振りかざした。
シャキーン!という効果音を響かせ、そそくさと、バナナパフェの上層部をいじくる。
バナナの間に流れ込む、チョコシロップがグラスのふちで溢れかえる。
生クリームとバナナを絡ませ、それを舌先に転がす。ゆっくりと丁寧に・・・。
その甘ったるい感覚は、しばらく口の中を支配する。
「くぅううううう!うめえええ!」
「うん、おいしいね。」
次に、下のバニラアイスをこねくり回し、軽く練ると、今度は一気に放り込む。
「うをおおお!うめえええ!」
「あはは、おいしいな。」
2人はしばらく、その場で至福の時を過ごしたのである・・・。
その1時間後・・・
「・・・ミーロンは、こっち食って。俺はこっち食うから。」
「ううん、よく見てごらん。ももち君のチョコアイスより、僕のバニラアイスが多いよ?だから、公平じゃないと思うんだー。」
「いやいやいや、おんなじだって。そっちが白いから、膨らんで見えるんだって。白は膨張色だろ?」
「あはは、そうやってすぐにごまかすんだから。はい、どうぞ。」
そう言って、バニラをチョコの陣地に移す。
「ミーロン、いや、ミーロンさん。こちらをどうぞ、おめしあがりくぢゃ、ください。」
「大丈夫?」
「舌が冷たすぎてろれうまわんない。」
「そっか。じゃあ、大丈夫そうだね。」
「何をもってだいじょううなんだらよ。もうちょっと食えって!」
アイスの押し付け合いをし始める2人。茶と白はぐちゃぐちゃに混ざり合い、薄いベニヤ板のような色へと変色していった。
ガンガンに効いている冷房がますます彼らの体温を奪っていく。歯を鳴らしながら、限界になったお腹をさする、ももち。一方ミーロンは、目の前のストローの袋を弄びだした。
「食べきるの・・・諦める?」
やっと口を開いたのは、ミーロンであった。
「諦める・・・諦めるだと・・・?」
すると、ももちは拳を振りかざし、叫んだ。
「俺たちは、そんなやわだったのか?このザマはなんだ。アイスの押し付け合いで、結局は自分のやなことから逃げているだけじゃないか・・・。なあ、ミーロン、男はこういうとき、えーと、なんだ」
「食べきるとか?」
「そうだ!わかってるじゃないか、ミーロン。男はな?こういうとき、意地を張って無理をするもんなんだ。ようし!そうと決まればペースアップだ。」
そういって、彼は再び、ロングスプーンを振り上げた。ドロドロの生ぬるい液体は、そんな彼をあざ笑うかのように、その存在感を大いに出していた。
正直言うと、もう彼らは限界だったのだ。今すぐにでも外の暑い空気を吸いたい。そうも考えた。しかし、ももちは諦めなかった。そんな彼に感化されたのか、ミーロンも男の顔を見せていた。
「もう少し、頑張ろうかなー。今日の夕ごはん、入らないねえー。」
2人はただ黙々と食べ始めた。もはや、無我の境地に達していた。ドリーマーたちは、今夢を叶えるべく再びリングに立ち上がったのだ。
戦え、若者たちよ。今夜の夕食が入らないなど、考えずに一心不乱にただ口に詰め込めばいい。
そんな2人が完食すると同時に満面の笑みを浮かべトイレに直行した。やりきった、夢を叶えた。そしてもう肛門系列は限界の域だ。
「ミーロン、やったな!」
「うん、しばらくは乳製品は控えようかな」
【完】
夢、それは誰もが一度は見るものである。
夢、それは誰もが追いかけてきた希望である。
「俺は今、夢を叶える時がきた!そして、それを友人と共に祝福することができるのだ!」
このテンション全開少年の名はももち。手元にはながーいロングスプーンを持っている。おおよそ、30センチはあるだろう。
それを向かい側から眺めている少年がいた。それは、ももちが友人とうたっている、ミーロン少年である。
「よかったね。夢が叶うよ。」
「おうよ!なにしろ、日本一大きいチョコレートバナナパフェだぜ?うっひょっひょっひょ!マジで嬉しいわ~」
感激のあまり、ももちはよだれを微量垂らした。
「そんなに嬉しかったんだ。よかったね。」
「早く食おうぜ!おっと、ちょっと待った、その前に写メとろうぜ。ミーロン、隣に来いよ」
「はいはい。」
ミーロンは、のんびりと移動すると、ももちの隣に座った。
「よっしゃ!ほら撮るぞー。もっとパフェの近くに寄れって。あー!バナナに顔が隠れてるって。もうちょい左」
ミーロンは、支持されるたびに「はいはい」と相槌を打った。
「はい!チーズモリモリハンバーグー!」
このチーズモリモリハンバーグとは、ももちが考え出した新しいポージングである。普通はチーズといったら、チョキをだすものだが、この場合、ハンバーグーとなっているため、チョキとグーを同時に出さなければならなかった。
しかし、そのポージングを知っている人はごく少数で、ミーロンは知らなかった。そのために、彼だけはノーマルなチョキを出していた。
「いいのが撮れたぜ。よし、食うぞ。絶対食べきってやる!」
「そうだね。僕も頑張ってみるよ。」
そう言って、2人は30センチの光り輝くロングスプーンを振りかざした。
シャキーン!という効果音を響かせ、そそくさと、バナナパフェの上層部をいじくる。
バナナの間に流れ込む、チョコシロップがグラスのふちで溢れかえる。
生クリームとバナナを絡ませ、それを舌先に転がす。ゆっくりと丁寧に・・・。
その甘ったるい感覚は、しばらく口の中を支配する。
「くぅううううう!うめえええ!」
「うん、おいしいね。」
次に、下のバニラアイスをこねくり回し、軽く練ると、今度は一気に放り込む。
「うをおおお!うめえええ!」
「あはは、おいしいな。」
2人はしばらく、その場で至福の時を過ごしたのである・・・。
その1時間後・・・
「・・・ミーロンは、こっち食って。俺はこっち食うから。」
「ううん、よく見てごらん。ももち君のチョコアイスより、僕のバニラアイスが多いよ?だから、公平じゃないと思うんだー。」
「いやいやいや、おんなじだって。そっちが白いから、膨らんで見えるんだって。白は膨張色だろ?」
「あはは、そうやってすぐにごまかすんだから。はい、どうぞ。」
そう言って、バニラをチョコの陣地に移す。
「ミーロン、いや、ミーロンさん。こちらをどうぞ、おめしあがりくぢゃ、ください。」
「大丈夫?」
「舌が冷たすぎてろれうまわんない。」
「そっか。じゃあ、大丈夫そうだね。」
「何をもってだいじょううなんだらよ。もうちょっと食えって!」
アイスの押し付け合いをし始める2人。茶と白はぐちゃぐちゃに混ざり合い、薄いベニヤ板のような色へと変色していった。
ガンガンに効いている冷房がますます彼らの体温を奪っていく。歯を鳴らしながら、限界になったお腹をさする、ももち。一方ミーロンは、目の前のストローの袋を弄びだした。
「食べきるの・・・諦める?」
やっと口を開いたのは、ミーロンであった。
「諦める・・・諦めるだと・・・?」
すると、ももちは拳を振りかざし、叫んだ。
「俺たちは、そんなやわだったのか?このザマはなんだ。アイスの押し付け合いで、結局は自分のやなことから逃げているだけじゃないか・・・。なあ、ミーロン、男はこういうとき、えーと、なんだ」
「食べきるとか?」
「そうだ!わかってるじゃないか、ミーロン。男はな?こういうとき、意地を張って無理をするもんなんだ。ようし!そうと決まればペースアップだ。」
そういって、彼は再び、ロングスプーンを振り上げた。ドロドロの生ぬるい液体は、そんな彼をあざ笑うかのように、その存在感を大いに出していた。
正直言うと、もう彼らは限界だったのだ。今すぐにでも外の暑い空気を吸いたい。そうも考えた。しかし、ももちは諦めなかった。そんな彼に感化されたのか、ミーロンも男の顔を見せていた。
「もう少し、頑張ろうかなー。今日の夕ごはん、入らないねえー。」
2人はただ黙々と食べ始めた。もはや、無我の境地に達していた。ドリーマーたちは、今夢を叶えるべく再びリングに立ち上がったのだ。
戦え、若者たちよ。今夜の夕食が入らないなど、考えずに一心不乱にただ口に詰め込めばいい。
そんな2人が完食すると同時に満面の笑みを浮かべトイレに直行した。やりきった、夢を叶えた。そしてもう肛門系列は限界の域だ。
「ミーロン、やったな!」
「うん、しばらくは乳製品は控えようかな」
【完】