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第七話 あつい

これは私が体験したことなんだけど、前の職場で朝トイレに行くとね、毎日必ずあついーあついーって言う人がいたの。本当に些細なことなんだけど、私はそのあついーって言う声の質?なんていうのかな、なんか平坦な感じですごく嫌な声だなーって思ったから覚えてたの。トイレから出る頃にはいなくなってて顔も見たことなかったし、流石に特定しようとするほどの興味はなかったんだけどね。
で、秋口くらいから乗る電車の時間が変わったりでタイミングが合わなくなったからか単に涼しくなったからかその声は聞こえなくなった。だから私もある時まではその声のことなんて忘れてたの。
でもね、それから冬のよく冷える日、トイレの中で今日は一段と冷えるなーって思ってたら……あついーあついーって、声が聞こえたの。こんな冬の寒い日に???って思うまもなく、あついーあついー!あつい!!!あつい!!!あつい!!!と声は激しくなっていった。明らかに様子がおかしくて、怖くて怖くて、個室の中でただふるえてた。
幸い、ほかの人が入ってきた気配と同時に声は消えて、私は逃げるようにトイレから出ていった。扉を開くときはまだナニカがいるんじゃないかってすごく怖かった。
あとから調べたんだけど、職場があった場所、昔火災があって亡くなった方もいたみたい。
つまりあれって暑いっていってたんじゃなくて熱い、熱いって言ってたんだよね……。


カム菜
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