姉弟波乱組
名前
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たとえそれが事実であろうが、見知らぬ人にまで
彼らの中の物差しで測られるのは不愉快で。
何より本気で手にしたいなら自分自身で最後まで足掻くべきなのだ。
「一時的とは言え、姫様連れ去るなんてどうゆうつもりだ!」
「いってぇ!!」
あの後、神楽と別れて真選組に戻った綾日にゲンコツを喰らわせたのは土方だ。あまりの痛みに涙目になりながら頭を抱えると、城に帰ったはずのそよ姫が駆け寄ってきた。
「騎士サン、私のせいでごめんなさい!」
「大丈夫大丈夫!それより何で屯所に」
「松平公が来るまで預かることになったんだ」
不思議そうに土方へ視線をやればすぐに答えが返ってきた。なるほど、と納得しているとそよ姫がおずおずと話しかけてくる。
「まさか騎士サンが真選組の隊士さんだったなんて……」
「まあ、今日は非番だったし、おれもそよ姫と遊びたかったからな。黙ってて悪かった」
「いえ、私の方こそご迷惑をおかけして」
「友達なんだから気にするなって。…まあ、それでも気にするってんなら、これからはいつでも呼びつけて下さいな。護衛でも話し相手でも仕事としてなら許されるでしょうし」
未だ申し訳なさそうにするそよ姫にウインクしながら伝えると嬉しそうに返事をしてくれた。
城から自由にはしてあげられないけど、おれにできることはたくさんあるはずだ。隣にいるトシの機嫌は少し悪いけど、これぐらい許されて欲しい。
──そんなことがあったのが昨日の話で。
今はいつも通り補佐として雑務をこなした後、昨日についての始末書を書かされている。
「一緒にいることで安全は保証してたんだから許されても良くねぇ?」
「それでも俺らの捜査を手こずらせたんだ。始末書 ぐらいは書いてもらうぞ」
「鬼め…」
綾日が小さくそう呟くと、土方がギロリと睨むが彼女はどこ吹く風である。相変わらず自身を恐れることのない彼女にため息が出るが、もう一つため息を吐きたくなる書類に目を通す。
「その報告書、よほど酷い事件なのか」
始末書が進まない綾日は土方の表情からそんな疑問を投げかけた。いや、と短く返すと持っていた書類を彼女に手渡す。
「…フンドシ仮面?」
「最近、綺麗な娘ばかりの下着が盗まれる事件が多発してんだとよ」
「へえ、でもコレおれらの管轄じゃなくねぇ?」
「それが…犯行から同一人物だと考えられるんだが、そいつは盗んだ下着をモテねぇ男たちに配ってるようでな。同心からなまじ人気があって捜査が難航してるらしい」
「…これってそうゆうことだったのか!」
綾日は、懐から綺麗なレース生地のフリルがついた下着を取り出して腑に落ちた顔をする。
「てっきり季節外れのお節介なサンタが少しでも女の子らしくしろってプレゼントしたのかと…」
「お前も貰ってんのかい!!」
この報告書が届いた際、近藤や隊士たち数名も同じ被害があったと聞いてはいたが、まさか綾日にすら下着が届けられているなんて誰が思うだろうか。
そして、そんな真実を知ってしまった彼女はふつふつと怒りが湧き上がる。
「ただの変態のくせに一端の義賊気取りかよ、気に食わねぇ!これでもおれは女子から人気あったんだぞコノヤロー!!」
「そうゆうことじゃねぇだろォォォ!!」
下着を強く握りしめ叫んだ綾日に土方がツッコミを入れたのは言うまでもなかったのだった。
*
「ハァ…終わった」
ようやく始末書から解放された綾日は休憩ついでにお茶を取りに廊下を歩いていた。
そして、休憩が終わったら先ほど土方から聞いたフンドシ仮面を捜索しに行くつもりだ。
「捕まえるにしてもなぁ…ここじゃ罠は張れないよな」
相手が下着を狙うのなら自身のものがあるが、下着を届けられた綾日は男と判断されていて、綺麗な娘という条件には当てはまらないのだろう。それに男所帯の真選組屯所で女物の下着を堂々と干すのは後々面倒になるに決まっている。
ならどうしたものかと悩んでいると、前から重そうな荷物を持った近藤がやってきた。
「近藤さん、どうしたんです、その荷物」
「ああ、綾日ちゃんか!フンドシ仮面を捕まえるのに地雷 が使えそうだったんでね」
「え、どこに仕掛けるつもりで…?」
屯所に仕掛けたところで対して成果は得られないのに、と綾日は不思議そうに近藤に問うた。すると彼はとても意気込んだ様子で話しだす。
「実は!愛しのお妙さんまでが奴の汚い手で下着が盗まれたのだ!彼女のが他の男の手に渡ったかもと思うと腹立たしくてな……だが必ず俺がこの手でお妙さんの下着を守ってみせる!」
片手で荷物を抱え、空いた手を握りしめながら誓う近藤に、納得した綾日も恒道館なら好条件だと考え、自身の目的のためにも彼と一緒に屯所を後にするのだった。
→
彼らの中の物差しで測られるのは不愉快で。
何より本気で手にしたいなら自分自身で最後まで足掻くべきなのだ。
義賊×下帯
矜持を持った泥棒を人は怪盗と呼ぶ
矜持を持った泥棒を人は怪盗と呼ぶ
「一時的とは言え、姫様連れ去るなんてどうゆうつもりだ!」
「いってぇ!!」
あの後、神楽と別れて真選組に戻った綾日にゲンコツを喰らわせたのは土方だ。あまりの痛みに涙目になりながら頭を抱えると、城に帰ったはずのそよ姫が駆け寄ってきた。
「騎士サン、私のせいでごめんなさい!」
「大丈夫大丈夫!それより何で屯所に」
「松平公が来るまで預かることになったんだ」
不思議そうに土方へ視線をやればすぐに答えが返ってきた。なるほど、と納得しているとそよ姫がおずおずと話しかけてくる。
「まさか騎士サンが真選組の隊士さんだったなんて……」
「まあ、今日は非番だったし、おれもそよ姫と遊びたかったからな。黙ってて悪かった」
「いえ、私の方こそご迷惑をおかけして」
「友達なんだから気にするなって。…まあ、それでも気にするってんなら、これからはいつでも呼びつけて下さいな。護衛でも話し相手でも仕事としてなら許されるでしょうし」
未だ申し訳なさそうにするそよ姫にウインクしながら伝えると嬉しそうに返事をしてくれた。
城から自由にはしてあげられないけど、おれにできることはたくさんあるはずだ。隣にいるトシの機嫌は少し悪いけど、これぐらい許されて欲しい。
──そんなことがあったのが昨日の話で。
今はいつも通り補佐として雑務をこなした後、昨日についての始末書を書かされている。
「一緒にいることで安全は保証してたんだから許されても良くねぇ?」
「それでも俺らの捜査を手こずらせたんだ。
「鬼め…」
綾日が小さくそう呟くと、土方がギロリと睨むが彼女はどこ吹く風である。相変わらず自身を恐れることのない彼女にため息が出るが、もう一つため息を吐きたくなる書類に目を通す。
「その報告書、よほど酷い事件なのか」
始末書が進まない綾日は土方の表情からそんな疑問を投げかけた。いや、と短く返すと持っていた書類を彼女に手渡す。
「…フンドシ仮面?」
「最近、綺麗な娘ばかりの下着が盗まれる事件が多発してんだとよ」
「へえ、でもコレおれらの管轄じゃなくねぇ?」
「それが…犯行から同一人物だと考えられるんだが、そいつは盗んだ下着をモテねぇ男たちに配ってるようでな。同心からなまじ人気があって捜査が難航してるらしい」
「…これってそうゆうことだったのか!」
綾日は、懐から綺麗なレース生地のフリルがついた下着を取り出して腑に落ちた顔をする。
「てっきり季節外れのお節介なサンタが少しでも女の子らしくしろってプレゼントしたのかと…」
「お前も貰ってんのかい!!」
この報告書が届いた際、近藤や隊士たち数名も同じ被害があったと聞いてはいたが、まさか綾日にすら下着が届けられているなんて誰が思うだろうか。
そして、そんな真実を知ってしまった彼女はふつふつと怒りが湧き上がる。
「ただの変態のくせに一端の義賊気取りかよ、気に食わねぇ!これでもおれは女子から人気あったんだぞコノヤロー!!」
「そうゆうことじゃねぇだろォォォ!!」
下着を強く握りしめ叫んだ綾日に土方がツッコミを入れたのは言うまでもなかったのだった。
*
「ハァ…終わった」
ようやく始末書から解放された綾日は休憩ついでにお茶を取りに廊下を歩いていた。
そして、休憩が終わったら先ほど土方から聞いたフンドシ仮面を捜索しに行くつもりだ。
「捕まえるにしてもなぁ…ここじゃ罠は張れないよな」
相手が下着を狙うのなら自身のものがあるが、下着を届けられた綾日は男と判断されていて、綺麗な娘という条件には当てはまらないのだろう。それに男所帯の真選組屯所で女物の下着を堂々と干すのは後々面倒になるに決まっている。
ならどうしたものかと悩んでいると、前から重そうな荷物を持った近藤がやってきた。
「近藤さん、どうしたんです、その荷物」
「ああ、綾日ちゃんか!フンドシ仮面を捕まえるのに
「え、どこに仕掛けるつもりで…?」
屯所に仕掛けたところで対して成果は得られないのに、と綾日は不思議そうに近藤に問うた。すると彼はとても意気込んだ様子で話しだす。
「実は!愛しのお妙さんまでが奴の汚い手で下着が盗まれたのだ!彼女のが他の男の手に渡ったかもと思うと腹立たしくてな……だが必ず俺がこの手でお妙さんの下着を守ってみせる!」
片手で荷物を抱え、空いた手を握りしめながら誓う近藤に、納得した綾日も恒道館なら好条件だと考え、自身の目的のためにも彼と一緒に屯所を後にするのだった。
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