姉弟波乱組
名前
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隊士が運んできた御座を広げ、真ん中にはヘルメットとハンマーが置かれており、それを挟むように3人ずつ向かい合い座っている。
審判役として両陣営から山崎、一希、新八が選ばれた。山崎はゲームと争奪戦のルール説明を始める。
「勝った方はここで花見をする権利+お妙さんを得る訳です」
「何その勝手なルール?!アンタら山賊?!それじゃ僕ら勝ってもプラスマイナスゼロでしょーが!!」
「ならアンタらが勝ったら+姉貴でいいッスよ」
「あ、姉…?」
どうみても男しかいないはずの真選組に姉もとい女がいたことに少年は目を丸くした。それ以上に目を丸くしているのは勝手に景品にされた綾日だった。
「おまっ…外では兄貴って呼べっつっただろ?!」
事前に言っておいたのに、簡単にも女だとバラすなんて思ってもいなくて頭を抱える。恨めしそうに一希を睨みつければ、彼はそんな綾日を見て口角を上げた。
「どうせこの人たちにはその内バレてたッスよ。あ、もし姉貴が嫌なら真選組ソーセージで」
「今朝、屯所の冷蔵庫に入ってたやつだ」
「要するにただのソーセージじゃないですか!!」
「ソーセージだってよ、気張ってこーぜ」
「オウ!」
「馬鹿かァァァ!!お前ら馬鹿か!!」
「待って?!おれソーセージに負けたの?!」
今度は別の意味で綾日は頭を抱えた。そんなこんなで戦利品が決まったところで山崎は試合へと進行する。
1戦目は近藤とお妙の対決だ。
ルール通りジャンケンして負けた近藤がヘルメットを被ったにも関わらず、お妙は何か呪文を説きながらハンマーを振りかぶっている。
「逃げろ!!近藤さん!!」
お妙の意図を知る新八の叫びも虚しくハンマーは近藤に叩きつけられた。ヘルメットを割るほどの威力は彼を気絶させ、それを見ていた全員がルールとは?と心で問うた。
「き、局長ォォォォォ!!」
「何しやがんだ この女 ァ!!」
「あ゙〜〜〜やんのかコラ」
「すいませんでしたァ!!!」
彼女の殺意溢れる目と声に誰もが逆らえるはずもなく、何故か銀時たち含む全員が土下座するのだった。
仕方がないと1戦目は無効試合とし、ルールは守るよう伝えた上で2戦目に進行すると、試合は既に始まっていた。
目にも止まらぬ速さで沖田とチャイナ娘──神楽は叩いてかぶってジャンケンポンをしている。その速さに周りの観戦は盛り上がっていた。
「ほう…総悟とやり合うとは何者だあの娘? 奴ァ頭は空だが、腕は真選組でも最強と謳わる男だぜ」
「互角だァ?ウチの神楽にヒトが勝てると思ってんの?奴はな、絶滅寸前の戦闘種族"夜兎"なんだぜ」
2試合目を見ながら、うちの子自慢に発展した土方と銀時が言い合いを始めるが、もはや小学生並だと新八がツッコんだ。そして、よく見ると彼らはいつの間にか手に杯を持ち、綾日に酌してもらいながら酒を呑んでいる。
「アンタら何飲んでるんですか?!」
「せっかくの花見だし呑まなきゃ損だろ」
「姉ちゃんの言う通り!新八ィ、試合はもう始まってんだよ。次はテキーラだ!」
「上等だコラ!桜海すぐ持ってこい!」
「はいよ!」
「勝手に飲み比べ始めちゃってるよ……」
ほぼできあがっている大人2人に新八は呆れながら呟いた。すると先程から盛り上がりを見せる2戦目が苛烈になり、歓声も一際大きくなる。
「アレ?ちょっと待て、2人とも明らかにヘルメットつけたままじゃねーか!」
「ハンマー持ってねぇし、なんならジャンケンもしてねーぞ!」
しかし、違和感に気がついた隊士が口々に言うと、結局ルールが守られていない試合の勢いは止まることなくただの殴り合いになっていく。
「だからルール守れって言ってんだろーがァァァ!!」
収拾がつかなくなった2戦目もこの調子だと無効試合となるので、最後の3戦目で決着つけるしかないと銀時と土方へ声をかけるが、2人はハイペースで呑んだため吐いていた。
「オイィィィ!!思わずズッコケちゃったじゃねーか!!このままじゃ勝負つかねーよ!!」
新八の渾身のツッコミが炸裂する。
銀時はフラフラと立ち上がると、シロクロはっきりさせようと、真剣を使った"斬って躱してジャンケンポン"を提案する。同じくフラフラしている土方は「上等だコラ」と刀を抜いた。
互いに目が据わったままジャンケンをし、銀時はチョキ、土方はパーを出す。
ジャンケンに勝った銀時は取った!と叫びながら切り倒した。
「心配すんな、峰打ちだ。これに懲りたらもう俺に絡むのはやめるこったな」
切り倒した所を見ながら話すがそこに倒れているのは土方ではなく桜の木だった。土方は彼の後ろで大きな白い犬に向かってジャンケンをしている。
そんなどう見てもカオスな状況を見て、一希と山崎は新八の背中にポンと手を置いた。
「お互い妙な上司がいて大変ですね…一緒に飲みましょうか、グチを肴にして」
「苦労人同士とことん付き合うッスよ」
ニコニコと人懐っこい笑顔で言い、陣地争奪戦が有耶無耶になった今、分け隔てなく皆で桜の下で花見を始めるのであった。
屯所でさえ賑やかだと言うのに、酒を煽りながら笑い合うそれはとても賑やかで、楽しくて時間なんてあっという間に過ぎていく。
まだ一方的な想いがあるかもしれないが、こうしてると皆と仲良くなれた気がしたのだった。
To Be Continued.
20.08.21.
審判役として両陣営から山崎、一希、新八が選ばれた。山崎はゲームと争奪戦のルール説明を始める。
「勝った方はここで花見をする権利+お妙さんを得る訳です」
「何その勝手なルール?!アンタら山賊?!それじゃ僕ら勝ってもプラスマイナスゼロでしょーが!!」
「ならアンタらが勝ったら+姉貴でいいッスよ」
「あ、姉…?」
どうみても男しかいないはずの真選組に姉もとい女がいたことに少年は目を丸くした。それ以上に目を丸くしているのは勝手に景品にされた綾日だった。
「おまっ…外では兄貴って呼べっつっただろ?!」
事前に言っておいたのに、簡単にも女だとバラすなんて思ってもいなくて頭を抱える。恨めしそうに一希を睨みつければ、彼はそんな綾日を見て口角を上げた。
「どうせこの人たちにはその内バレてたッスよ。あ、もし姉貴が嫌なら真選組ソーセージで」
「今朝、屯所の冷蔵庫に入ってたやつだ」
「要するにただのソーセージじゃないですか!!」
「ソーセージだってよ、気張ってこーぜ」
「オウ!」
「馬鹿かァァァ!!お前ら馬鹿か!!」
「待って?!おれソーセージに負けたの?!」
今度は別の意味で綾日は頭を抱えた。そんなこんなで戦利品が決まったところで山崎は試合へと進行する。
1戦目は近藤とお妙の対決だ。
ルール通りジャンケンして負けた近藤がヘルメットを被ったにも関わらず、お妙は何か呪文を説きながらハンマーを振りかぶっている。
「逃げろ!!近藤さん!!」
お妙の意図を知る新八の叫びも虚しくハンマーは近藤に叩きつけられた。ヘルメットを割るほどの威力は彼を気絶させ、それを見ていた全員がルールとは?と心で問うた。
「き、局長ォォォォォ!!」
「何しやがんだ この
「あ゙〜〜〜やんのかコラ」
「すいませんでしたァ!!!」
彼女の殺意溢れる目と声に誰もが逆らえるはずもなく、何故か銀時たち含む全員が土下座するのだった。
仕方がないと1戦目は無効試合とし、ルールは守るよう伝えた上で2戦目に進行すると、試合は既に始まっていた。
目にも止まらぬ速さで沖田とチャイナ娘──神楽は叩いてかぶってジャンケンポンをしている。その速さに周りの観戦は盛り上がっていた。
「ほう…総悟とやり合うとは何者だあの娘? 奴ァ頭は空だが、腕は真選組でも最強と謳わる男だぜ」
「互角だァ?ウチの神楽にヒトが勝てると思ってんの?奴はな、絶滅寸前の戦闘種族"夜兎"なんだぜ」
2試合目を見ながら、うちの子自慢に発展した土方と銀時が言い合いを始めるが、もはや小学生並だと新八がツッコんだ。そして、よく見ると彼らはいつの間にか手に杯を持ち、綾日に酌してもらいながら酒を呑んでいる。
「アンタら何飲んでるんですか?!」
「せっかくの花見だし呑まなきゃ損だろ」
「姉ちゃんの言う通り!新八ィ、試合はもう始まってんだよ。次はテキーラだ!」
「上等だコラ!桜海すぐ持ってこい!」
「はいよ!」
「勝手に飲み比べ始めちゃってるよ……」
ほぼできあがっている大人2人に新八は呆れながら呟いた。すると先程から盛り上がりを見せる2戦目が苛烈になり、歓声も一際大きくなる。
「アレ?ちょっと待て、2人とも明らかにヘルメットつけたままじゃねーか!」
「ハンマー持ってねぇし、なんならジャンケンもしてねーぞ!」
しかし、違和感に気がついた隊士が口々に言うと、結局ルールが守られていない試合の勢いは止まることなくただの殴り合いになっていく。
「だからルール守れって言ってんだろーがァァァ!!」
収拾がつかなくなった2戦目もこの調子だと無効試合となるので、最後の3戦目で決着つけるしかないと銀時と土方へ声をかけるが、2人はハイペースで呑んだため吐いていた。
「オイィィィ!!思わずズッコケちゃったじゃねーか!!このままじゃ勝負つかねーよ!!」
新八の渾身のツッコミが炸裂する。
銀時はフラフラと立ち上がると、シロクロはっきりさせようと、真剣を使った"斬って躱してジャンケンポン"を提案する。同じくフラフラしている土方は「上等だコラ」と刀を抜いた。
互いに目が据わったままジャンケンをし、銀時はチョキ、土方はパーを出す。
ジャンケンに勝った銀時は取った!と叫びながら切り倒した。
「心配すんな、峰打ちだ。これに懲りたらもう俺に絡むのはやめるこったな」
切り倒した所を見ながら話すがそこに倒れているのは土方ではなく桜の木だった。土方は彼の後ろで大きな白い犬に向かってジャンケンをしている。
そんなどう見てもカオスな状況を見て、一希と山崎は新八の背中にポンと手を置いた。
「お互い妙な上司がいて大変ですね…一緒に飲みましょうか、グチを肴にして」
「苦労人同士とことん付き合うッスよ」
ニコニコと人懐っこい笑顔で言い、陣地争奪戦が有耶無耶になった今、分け隔てなく皆で桜の下で花見を始めるのであった。
屯所でさえ賑やかだと言うのに、酒を煽りながら笑い合うそれはとても賑やかで、楽しくて時間なんてあっという間に過ぎていく。
まだ一方的な想いがあるかもしれないが、こうしてると皆と仲良くなれた気がしたのだった。
To Be Continued.
20.08.21.