姉弟波乱組
名前
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こうして原作に関わることは止めるべきか…
なんて躊躇うほどの性格は持ち合わせてない。
だから、やりたいことはやってしまえと決めた。
花見から数週間後、満開だった桜は散り、葉が主張し始めた頃、ようやく綾日は1人での外出が許された。相変わらず身元の情報は一切ないが、攘夷志士との繋がりなど怪しいところも一切ないと判断されたのだ。
そして今日、非番である綾日は男のように着流しを着て、かぶき町まで遊びに来ている。
「んー…ここら辺のはずだけどなあ」
キョロキョロと建物を見渡して1人呟く。見回り中や屯所にあった地図で見た記憶を頼りにある場所を目指していた。
「あれ…アンタは」
いよいよ交番に尋ねるかと踵を返すと、探していた人物がそこにいた。先に綾日に気がついた銀時が声を漏らした。
「よかった、今万事屋に行こうと思ってて」
「警察が何の御用で?」
「あー…見ての通り今日は非番だ。花見の時に神楽や新八に遊びに行くって約束して」
池田屋から先日の花見までずっと対峙してた為か訝しげな顔をする銀時に説明をする。あの日土方と飲み比べして酔い潰れていた彼は「あー、なるほどね」と納得して、そのまま万事屋まで連れて行ってくれた。
「ただいま〜」
「銀さん、朝早くからどこ行ってたんですか」
「ちょっとな」
口では濁すものの右手が何かを回す動きをするので、綾日は銀時がどこへ行っていたのか察した。きっと新台でも入ったのだろう。
玄関で出迎え、同じく察した新八も呆れたのかため息をつくと、彼の後ろにいる綾日に気がついた。
「あ、綾日さん!来てくれたんですね」
「久しぶり〜」
ひらひらと手を振ると中に案内してくれて、今お茶を出しますね、とキッチンへと姿を消す。綾日はお言葉に甘えて居間にあるソファに腰をかけると向かい側に銀時と神楽が座った。
「ちゃんと約束のものは持って来たアルか」
座るなり不穏な空気を漂わせながら綾日に問う。そんな彼女に戸惑うことなく口角を上げながら「もちろん」と答え、懐から酢昆布10箱を献上するかのように差し出した。
「キャッホーイ!さすが綾日姉ネ!」
「神楽ちゃん!あれほどたかるなって言ったのに」
飛び跳ねるほど喜ぶ神楽に満足しながら、申し訳なさそうな顔をしたままお茶を出してくれる新八にも手土産に持って来たお菓子を渡す。
「気にしないで、どうせ経費だし」
「それは一番気にするでしょうが!!」
ヘラヘラ答えた綾日に漫画でよく見た新八の鋭いツッコミが飛んでくる。それが嬉しくてどうしてもニヤけてしまうのを手で覆い隠した。
「にしても女にゃ見えねぇな」
ふと1人蚊帳の外だった銀時が顎に手を添え、そんなことを呟いた。その言葉にも新八は律儀に「失礼ですよ!」なんて反応する。
「最近、自分でもそう思うわ」
今じゃ真選組内で女の子扱いするのは近藤さんだけだ。稽古を重ねる度、おれの扱いが雑というか、男同士のような態度だが、それが居心地がよくて助かってる。
隊士になって1ヶ月のことを思い出してると、銀時の隣に座った新八が少し心配そうな顔をする。
「でも、真選組って男所帯で大変じゃないですか?姉上も近藤さんに何もされてないかって心配してましたよ」
「ヤダ新八く〜ん、大変って何?ヤラシイことでも考えたの?AVの見すぎじゃね?」
「これだからダメガネが。しばらく私に近づかないで」
「オイィィィ!!誰もそんなこと言ってねーよ!!神楽ちゃんに至っては語尾なくなってるからァァァ!!」
今まで画面越しだった万事屋のやり取りが目の前で繰り広げられて思わず噴き出した。そんな綾日が新鮮だったのか3人とも言い合いを止めて彼女を見る。
「あ、いや…賑やかでいいな、と」
「賑やかさならお宅のが上だろう」
何言ってんだ、とケラケラ笑う銀時に、それもそうか、と返そうとした瞬間、彼の顔が大きな白いモフモフで覆われてしまい綾日は絶句する。
「いだだだだ!!おい、神楽ァ!ちゃんと躾けろっつっただろ?!」
「銀ちゃんの日頃の行いが悪いからヨ。定春、そろそろ散歩の時間アルか?」
神楽が撫でながら聞くと、わんっ!と銀時の頭から口を離して元気よく吠える。
「せっかくだし、綾日姉も一緒に行くアル!」
急な出来事に言葉を失っていた綾日は、神楽に腕を引っ張られて我に返る。居間に残された新八と血塗れの銀時に「また来るから!」と短い挨拶をして、万事屋を後にしたのだった。
→
なんて躊躇うほどの性格は持ち合わせてない。
だから、やりたいことはやってしまえと決めた。
友達×捜索
姫様は連れ去られるか、城から逃げ出すもの
姫様は連れ去られるか、城から逃げ出すもの
花見から数週間後、満開だった桜は散り、葉が主張し始めた頃、ようやく綾日は1人での外出が許された。相変わらず身元の情報は一切ないが、攘夷志士との繋がりなど怪しいところも一切ないと判断されたのだ。
そして今日、非番である綾日は男のように着流しを着て、かぶき町まで遊びに来ている。
「んー…ここら辺のはずだけどなあ」
キョロキョロと建物を見渡して1人呟く。見回り中や屯所にあった地図で見た記憶を頼りにある場所を目指していた。
「あれ…アンタは」
いよいよ交番に尋ねるかと踵を返すと、探していた人物がそこにいた。先に綾日に気がついた銀時が声を漏らした。
「よかった、今万事屋に行こうと思ってて」
「警察が何の御用で?」
「あー…見ての通り今日は非番だ。花見の時に神楽や新八に遊びに行くって約束して」
池田屋から先日の花見までずっと対峙してた為か訝しげな顔をする銀時に説明をする。あの日土方と飲み比べして酔い潰れていた彼は「あー、なるほどね」と納得して、そのまま万事屋まで連れて行ってくれた。
「ただいま〜」
「銀さん、朝早くからどこ行ってたんですか」
「ちょっとな」
口では濁すものの右手が何かを回す動きをするので、綾日は銀時がどこへ行っていたのか察した。きっと新台でも入ったのだろう。
玄関で出迎え、同じく察した新八も呆れたのかため息をつくと、彼の後ろにいる綾日に気がついた。
「あ、綾日さん!来てくれたんですね」
「久しぶり〜」
ひらひらと手を振ると中に案内してくれて、今お茶を出しますね、とキッチンへと姿を消す。綾日はお言葉に甘えて居間にあるソファに腰をかけると向かい側に銀時と神楽が座った。
「ちゃんと約束のものは持って来たアルか」
座るなり不穏な空気を漂わせながら綾日に問う。そんな彼女に戸惑うことなく口角を上げながら「もちろん」と答え、懐から酢昆布10箱を献上するかのように差し出した。
「キャッホーイ!さすが綾日姉ネ!」
「神楽ちゃん!あれほどたかるなって言ったのに」
飛び跳ねるほど喜ぶ神楽に満足しながら、申し訳なさそうな顔をしたままお茶を出してくれる新八にも手土産に持って来たお菓子を渡す。
「気にしないで、どうせ経費だし」
「それは一番気にするでしょうが!!」
ヘラヘラ答えた綾日に漫画でよく見た新八の鋭いツッコミが飛んでくる。それが嬉しくてどうしてもニヤけてしまうのを手で覆い隠した。
「にしても女にゃ見えねぇな」
ふと1人蚊帳の外だった銀時が顎に手を添え、そんなことを呟いた。その言葉にも新八は律儀に「失礼ですよ!」なんて反応する。
「最近、自分でもそう思うわ」
今じゃ真選組内で女の子扱いするのは近藤さんだけだ。稽古を重ねる度、おれの扱いが雑というか、男同士のような態度だが、それが居心地がよくて助かってる。
隊士になって1ヶ月のことを思い出してると、銀時の隣に座った新八が少し心配そうな顔をする。
「でも、真選組って男所帯で大変じゃないですか?姉上も近藤さんに何もされてないかって心配してましたよ」
「ヤダ新八く〜ん、大変って何?ヤラシイことでも考えたの?AVの見すぎじゃね?」
「これだからダメガネが。しばらく私に近づかないで」
「オイィィィ!!誰もそんなこと言ってねーよ!!神楽ちゃんに至っては語尾なくなってるからァァァ!!」
今まで画面越しだった万事屋のやり取りが目の前で繰り広げられて思わず噴き出した。そんな綾日が新鮮だったのか3人とも言い合いを止めて彼女を見る。
「あ、いや…賑やかでいいな、と」
「賑やかさならお宅のが上だろう」
何言ってんだ、とケラケラ笑う銀時に、それもそうか、と返そうとした瞬間、彼の顔が大きな白いモフモフで覆われてしまい綾日は絶句する。
「いだだだだ!!おい、神楽ァ!ちゃんと躾けろっつっただろ?!」
「銀ちゃんの日頃の行いが悪いからヨ。定春、そろそろ散歩の時間アルか?」
神楽が撫でながら聞くと、わんっ!と銀時の頭から口を離して元気よく吠える。
「せっかくだし、綾日姉も一緒に行くアル!」
急な出来事に言葉を失っていた綾日は、神楽に腕を引っ張られて我に返る。居間に残された新八と血塗れの銀時に「また来るから!」と短い挨拶をして、万事屋を後にしたのだった。
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