姉弟波乱組
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花は見てるだけで気分が晴れやかになる。
大切な人達と見られるなら尚、素敵だと思う。
また来年も見に来れたらいいなぁ…
半月前、奇妙な餓鬼2人と出会った。
攘夷志士のある拠点を摘発した際、数人が逃げだし追いかけた先にその餓鬼はいた。
真選組と関係ある訳ねぇのに、適当にでっちあげて真選組を侮辱した奴らに1人で立ち向かうような馬鹿だった。
総悟が放ったバズーカで事なきを得たが、俺らを見た馬鹿は訳の分からんことを叫んだ。
その後、事件に巻き込まれたことで任意同行し、事情聴取すれば異世界だのトリップだのこれまた訳分からんことをいうので身元を調べさすも何も出てこない。
密入国者、裏社会の者、暗殺者など考えてみたが、それにしては言動が酷い。適当に追い払おうとしたら、入隊したいと言いやがる。
まあ、身寄りのねぇ餓鬼を放っておけない近藤さんは疑うことなく受け入れちまった訳だが…。
そのまま剣術に自信があるってことで腕試しとして餓鬼どもが手合わせた。攘夷志士らに1人で立ち向かったあの馬鹿はまさかの女だったが、それを思わせねぇ動きを目の前で繰り広げた。よく見れば腕や足は痣だらけで相当鍛えているだろうことは分かった。
お互い1本ずつ取ったところで俺は試合を止めた。
真選組に仇なす奴ならその時斬ればいい、なんて珍しく甘い判断に至ったのは、侮辱した奴らに怒ったアイツの態度と、入隊の話をした時の目が覚悟に満ちてたからか…。
それから俺の補佐としてきちんと働くアイツの身元は結局分からずじまいだったが、先日、襲撃された近藤さんを想って馬鹿みたいに泣いて、こっちの記憶が無いことを悔やんでたアイツの姿を見て、少しは信用してやってもいいかだなんて思っている自分がいる。
「トシ、おはよう!」
「おう。…またあいつらを倒したのか」
年下のくせに近藤さんと同じように俺を呼ぶコイツは、朝の稽古にも真面目に出ている。爽やかに笑うコイツは本当に女なのかと隊士達が疑うほど強く、後ろで数人が伸びている。…鍛え直しが必要だなこりゃ。
「でも珍しいね、トシが稽古場に顔出すの」
肩にかけたタオルで汗を拭いながら尋ねてくる。
いつもは仕事の書類やら報告やらで朝から忙しいから稽古場に行くことはほぼない。それを知っているからこその問いに今日は時間ができたから、と返す。
「じゃあ、一手ご教授してもらおうかな」
この世界に来て半月が経った。
初日に一希や隊士たちとやり合って、2日目にはまさかの池田屋で初陣。刀なんて扱ったことないのに意外と躊躇いなく振り回すことができた。
こんな仕事上、斬らないなんて選択肢はほぼ皆無だからおれも例外なく人斬りになった訳だ。親には申し訳ないけど、大事な仲間が殺られるぐらいならおれは斬ると決めた。
そのためにも毎朝稽古は欠かさずに出た。
最初は一希は信じられないと驚いていた。まあ…仕方ない、元の世界の道場じゃサボり魔で有名だったし。
それにしても隊士達を負かすぐらい自分が強いことに違和感はあった。きっとこれも所謂トリップ補正なんだろうなぁ、と思う。
そして、今日も今日とて朝稽古に励んでたら、珍しい人が入口にいた。一通り手合わせが終わってたおれは挨拶して、珍しいね、と素直に訊いたら時間ができたからって。
ならせっかくとトシにご教授願ったんだけど……間違いだったかもしれない。
「おい、どうした。動きが鈍いぞ」
鍔迫り合いの状態でトシが睨んでくる。
いや、だって、推しの顔がこんな近くに迫ったりしたら動きが鈍っても仕方ないでしょう?!人斬りにはなったが、ヲタクはやめてねぇんだよ!!くっそ顔がいい!!!心臓がうるせぇ!!!
「まさかだと思うが…遊んでんのか?」
「んな訳ねぇだろ!こっちから頼んだのに!」
「ならもっと本気で来い」
あああああ!!そんな低い声出すのもやめてもらっていいですかね?!心臓に悪すぎる!!こんなことならお願いしなきゃよかった!!
とにかく今は間合いを取ろうと木刀を押し返す。
そしていつも通り大きめに振りかぶった。大抵こうすると振りあげる時にできる隙に相手が狙ってくるので、それを迎え撃つ。そうやってわざと相手に隙を見せるのがおれの戦法。
まあ…トシにはこれが通用しないけどな?
「つくづく女とは思えねぇ戦い方だな」
「そりゃどーも!」
「褒めてねぇよ」
綾日がわざと隙を作っていると土方は知っているので、わざわざ打ち込まない。次はどうしようかと打ち込みながら次の一手を考えていると、彼はスッと横に避けて打ち込まれた木刀をいなした。
綾日は勢いを殺せずにそのまま土方の横を通り過ぎていく。急いで振り返ろうとするが、それより先に土方が背中に木刀を打ち込んだ。
「痛ーーッ!!普通女に容赦なく撃ち込む?!」
「お前、容赦されたら怒るだろうが」
「よくご存知で!!」
流石に背中を打たれた痛みで目に涙を溜め、膝をつく綾日は恨み言を言うがそれも一蹴される。勝てるとは思ってなかったが、あっさりと終わってしまったことに少し悔しい反面、ホッとしている自分がいたのだった。
→
大切な人達と見られるなら尚、素敵だと思う。
また来年も見に来れたらいいなぁ…
花見 × 合戦
ケンカと酒は大江戸の華
ケンカと酒は大江戸の華
半月前、奇妙な餓鬼2人と出会った。
攘夷志士のある拠点を摘発した際、数人が逃げだし追いかけた先にその餓鬼はいた。
真選組と関係ある訳ねぇのに、適当にでっちあげて真選組を侮辱した奴らに1人で立ち向かうような馬鹿だった。
総悟が放ったバズーカで事なきを得たが、俺らを見た馬鹿は訳の分からんことを叫んだ。
その後、事件に巻き込まれたことで任意同行し、事情聴取すれば異世界だのトリップだのこれまた訳分からんことをいうので身元を調べさすも何も出てこない。
密入国者、裏社会の者、暗殺者など考えてみたが、それにしては言動が酷い。適当に追い払おうとしたら、入隊したいと言いやがる。
まあ、身寄りのねぇ餓鬼を放っておけない近藤さんは疑うことなく受け入れちまった訳だが…。
そのまま剣術に自信があるってことで腕試しとして餓鬼どもが手合わせた。攘夷志士らに1人で立ち向かったあの馬鹿はまさかの女だったが、それを思わせねぇ動きを目の前で繰り広げた。よく見れば腕や足は痣だらけで相当鍛えているだろうことは分かった。
お互い1本ずつ取ったところで俺は試合を止めた。
真選組に仇なす奴ならその時斬ればいい、なんて珍しく甘い判断に至ったのは、侮辱した奴らに怒ったアイツの態度と、入隊の話をした時の目が覚悟に満ちてたからか…。
それから俺の補佐としてきちんと働くアイツの身元は結局分からずじまいだったが、先日、襲撃された近藤さんを想って馬鹿みたいに泣いて、こっちの記憶が無いことを悔やんでたアイツの姿を見て、少しは信用してやってもいいかだなんて思っている自分がいる。
「トシ、おはよう!」
「おう。…またあいつらを倒したのか」
年下のくせに近藤さんと同じように俺を呼ぶコイツは、朝の稽古にも真面目に出ている。爽やかに笑うコイツは本当に女なのかと隊士達が疑うほど強く、後ろで数人が伸びている。…鍛え直しが必要だなこりゃ。
「でも珍しいね、トシが稽古場に顔出すの」
肩にかけたタオルで汗を拭いながら尋ねてくる。
いつもは仕事の書類やら報告やらで朝から忙しいから稽古場に行くことはほぼない。それを知っているからこその問いに今日は時間ができたから、と返す。
「じゃあ、一手ご教授してもらおうかな」
この世界に来て半月が経った。
初日に一希や隊士たちとやり合って、2日目にはまさかの池田屋で初陣。刀なんて扱ったことないのに意外と躊躇いなく振り回すことができた。
こんな仕事上、斬らないなんて選択肢はほぼ皆無だからおれも例外なく人斬りになった訳だ。親には申し訳ないけど、大事な仲間が殺られるぐらいならおれは斬ると決めた。
そのためにも毎朝稽古は欠かさずに出た。
最初は一希は信じられないと驚いていた。まあ…仕方ない、元の世界の道場じゃサボり魔で有名だったし。
それにしても隊士達を負かすぐらい自分が強いことに違和感はあった。きっとこれも所謂トリップ補正なんだろうなぁ、と思う。
そして、今日も今日とて朝稽古に励んでたら、珍しい人が入口にいた。一通り手合わせが終わってたおれは挨拶して、珍しいね、と素直に訊いたら時間ができたからって。
ならせっかくとトシにご教授願ったんだけど……間違いだったかもしれない。
「おい、どうした。動きが鈍いぞ」
鍔迫り合いの状態でトシが睨んでくる。
いや、だって、推しの顔がこんな近くに迫ったりしたら動きが鈍っても仕方ないでしょう?!人斬りにはなったが、ヲタクはやめてねぇんだよ!!くっそ顔がいい!!!心臓がうるせぇ!!!
「まさかだと思うが…遊んでんのか?」
「んな訳ねぇだろ!こっちから頼んだのに!」
「ならもっと本気で来い」
あああああ!!そんな低い声出すのもやめてもらっていいですかね?!心臓に悪すぎる!!こんなことならお願いしなきゃよかった!!
とにかく今は間合いを取ろうと木刀を押し返す。
そしていつも通り大きめに振りかぶった。大抵こうすると振りあげる時にできる隙に相手が狙ってくるので、それを迎え撃つ。そうやってわざと相手に隙を見せるのがおれの戦法。
まあ…トシにはこれが通用しないけどな?
「つくづく女とは思えねぇ戦い方だな」
「そりゃどーも!」
「褒めてねぇよ」
綾日がわざと隙を作っていると土方は知っているので、わざわざ打ち込まない。次はどうしようかと打ち込みながら次の一手を考えていると、彼はスッと横に避けて打ち込まれた木刀をいなした。
綾日は勢いを殺せずにそのまま土方の横を通り過ぎていく。急いで振り返ろうとするが、それより先に土方が背中に木刀を打ち込んだ。
「痛ーーッ!!普通女に容赦なく撃ち込む?!」
「お前、容赦されたら怒るだろうが」
「よくご存知で!!」
流石に背中を打たれた痛みで目に涙を溜め、膝をつく綾日は恨み言を言うがそれも一蹴される。勝てるとは思ってなかったが、あっさりと終わってしまったことに少し悔しい反面、ホッとしている自分がいたのだった。
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