姉弟波乱組
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山崎の報告通りホテル池田屋へ向かう。
他の隊士たちもホテルを囲むように集まっており、着々と突撃する準備を進めていた。
「さてと、本当に覚悟決めねぇとな」
いくら喧嘩の経験や腕に自信があると言っても、真剣を使ったことはもちろんない。今回は乱戦にならないだろうが、刀は抜くのだから多少の不安はあった。
綾日はそんな不安を吹き飛ばすように両頬をバチンッと叩いて気合いを入れる。
「行くぞ」
土方がそう言うと全員がホテルへ入っていく。
テロリスト達がいる部屋まで辿り着くと、扉を蹴破った。
「御用改めである!神妙にしろテロリストども!!」
「しっ…真選組だァ!!!」
「いかん、逃げろ!!」
「一人残らず討ち取れぇ!!!」
土方の号令と共に隊士たちは突撃したが、テロリストたちは捕まらまいと逃げ出す。そして一瞬にして刀と刀のぶつかり合う音と慌ただしい足音が響き渡る。
綾日と一希は通路へ逃げ出した輩を土方と沖田たちと一緒に追いかける。前でギャイギャイと言い合っているのが分かった。
「オイ」
それを遮るように土方は銀髪の男へ勢いよく刀を突き出した。咄嗟に体勢を低くすることで避けた彼を土方が見下ろす。
「銀ちゃん!!」
近くにいたチャイナ服を着た女の子が駆け寄ろうとするが、それを阻止するように綾日は刀を振り下ろした。女の子は避けずに持っていた傘でその太刀を受け止める。
「悪いけど君の相手はおれなんだわ」
「やめとけヨ、お前じゃ役不足アル」
「手厳しいなあ」
辛辣な彼女の言葉に苦笑いをする。一度互いに距離を取るが、それは一歩踏み込めば斬れる間合いだ。しかし綾日は彼女のことを知ってるが故、なかなか踏み込めないでいた。
「逃げるこたァねーだろ。せっかくの喧嘩だ、楽しもうや」
「おいおい、お前本当に役人か?よく面接通ったな、瞳孔開いてんぞ」
「人のこと言えた義理かてめぇ!死んだ魚のような目しやがって!」
そう言いながら横たえている相手に刀を振り下ろす。彼は横に転がって攻撃を避け、離れたところで立ち上がる。
「いいんだよ、いざと言う時キラめくから」
「嘘つくんじゃねぇ!!」
土方はもう一度相手の腹に目がけて刀を突く。
再び躱されたが、突き出したまま手首を捻り横一直線に刀を振るう。銀髪の男はその瞬時の攻撃を間一髪のところで後ろに飛びずさり躱す。
「やるじゃねぇか。この変化に大抵の奴は追いついてこれないんだがな」
「危ねぇな。本当に当たったらどうすんだよ」
「馬鹿野郎!こちとら斬るために喧嘩してんだ!!」
息付く間もなく刀を振り回す土方に、彼は木刀で太刀を受け止め鍔迫り合いになる。睨み合っていると、離れたところから沖田と一希が現れる。
「危ないですぜ、土方さん」
急に声をかけられ目線をそちらへやると発砲音と共に弾が飛んできた。対峙していた2人はすんでのところで避けたが爆発に巻き込まれる。
「初めてにしちゃなかなか筋が良いでさァ」
「本当ッスか!」
「ああ。土方さん、生きてやすかィ」
先程の発砲音は沖田と一希が撃ったバズーカのものだった。2人でキョロキョロと着弾地点の辺りを見渡すと、軽く吹き飛ばされた土方の姿があった。
「何してんだ!おっ死ぬところだったぞ」
「チッ…しくじったか」
「しくじったって何だ?!あと何でそいつにもバズーカ使わせてんだ!おい、こっち見やがれ総悟!!」
土方は怒鳴るが2人とも知らぬ顔をするので、仕方なくため息を吐いて立ち上がった。すると、チャイナ娘と対峙していた綾日が3人の元へ駆け寄ってくる。
「すまねぇ、さっきの爆発の隙に逃げられた」
「ったく……奴らは?」
「副長、こちらです」
隊士に案内された部屋の扉は歪んでいた。しかし、中から机などの大きな家具を置いて入口を塞いでいるようだ。立て篭もるテロリスト達に外から投降するよう呼びかける。
「出てこないと本当に撃っちゃうぞ〜」
「練習も兼ねて撃っちゃうッスよ〜」
「いつの間に一希も使ってんの?!」
「ガンガン前線に突っ込む姉貴とバランスを取ろうと思って」
「取らなくていいわ!」
まさか一希がこの齢にして火器を扱うなんて思ってなかったが、この世界なら仕方ないだろうと無理矢理自身を納得させた。
すると沖田が何か思い出したように口を開く。
「土方さん、夕方のドラマの再放送始まっちまいますぜ」
「やべぇ、録画予約すんの忘れてた。さっさと済まそう」
土方が発射用意と指示を出すと、一斉に扉へ銃口を向ける。しかし、バズーカは発射されることはなかった。何故ならその瞬間立て篭っていたはずの彼らが扉を蹴破って飛び出してきたからだ。
「何やってんだ!止めろォォ!!」
「止めるならこの爆弾を止めてくれ!!爆弾処理班とかさ…何かいるだろ?!」
「コイツ爆弾持ってるぞ!!!」
銀髪の男の手には丸い時限爆弾があり、それを見た隊士たちは真っ直ぐ向かってくる彼から逃げ出した。
「みんな行っちゃったッスね」
「急いで追いかけるぞ!」
取り残された土方と沖田たちも後を追う。
だが、もう時間がなかったのかチャイナ娘が爆弾を持った彼ごと傘で殴り飛ばした。ものすごい速さで窓まで吹っ飛び、そのまま外へと割って出ると、彼は空へと爆弾を投げた。
「銀さーん!!!」
「銀ちゃんさよ〜なら〜」
空中で爆発し、被害は最少で済んだ。吹き飛ばされた彼も向かい側のビルに垂らさがっていた幟に何とかしがみついている。
隙を見て屋上へと逃走した桂はそんな彼の姿を見て少し呆れていた。
「美しい生き方だと?アレのどこが美しいんだか……だが昔の友人が変わらずにいるというのも悪くないものだな」
そう呟くと仲間たちと空へと飛び立つのだった。
To Be Continued.
他の隊士たちもホテルを囲むように集まっており、着々と突撃する準備を進めていた。
「さてと、本当に覚悟決めねぇとな」
いくら喧嘩の経験や腕に自信があると言っても、真剣を使ったことはもちろんない。今回は乱戦にならないだろうが、刀は抜くのだから多少の不安はあった。
綾日はそんな不安を吹き飛ばすように両頬をバチンッと叩いて気合いを入れる。
「行くぞ」
土方がそう言うと全員がホテルへ入っていく。
テロリスト達がいる部屋まで辿り着くと、扉を蹴破った。
「御用改めである!神妙にしろテロリストども!!」
「しっ…真選組だァ!!!」
「いかん、逃げろ!!」
「一人残らず討ち取れぇ!!!」
土方の号令と共に隊士たちは突撃したが、テロリストたちは捕まらまいと逃げ出す。そして一瞬にして刀と刀のぶつかり合う音と慌ただしい足音が響き渡る。
綾日と一希は通路へ逃げ出した輩を土方と沖田たちと一緒に追いかける。前でギャイギャイと言い合っているのが分かった。
「オイ」
それを遮るように土方は銀髪の男へ勢いよく刀を突き出した。咄嗟に体勢を低くすることで避けた彼を土方が見下ろす。
「銀ちゃん!!」
近くにいたチャイナ服を着た女の子が駆け寄ろうとするが、それを阻止するように綾日は刀を振り下ろした。女の子は避けずに持っていた傘でその太刀を受け止める。
「悪いけど君の相手はおれなんだわ」
「やめとけヨ、お前じゃ役不足アル」
「手厳しいなあ」
辛辣な彼女の言葉に苦笑いをする。一度互いに距離を取るが、それは一歩踏み込めば斬れる間合いだ。しかし綾日は彼女のことを知ってるが故、なかなか踏み込めないでいた。
「逃げるこたァねーだろ。せっかくの喧嘩だ、楽しもうや」
「おいおい、お前本当に役人か?よく面接通ったな、瞳孔開いてんぞ」
「人のこと言えた義理かてめぇ!死んだ魚のような目しやがって!」
そう言いながら横たえている相手に刀を振り下ろす。彼は横に転がって攻撃を避け、離れたところで立ち上がる。
「いいんだよ、いざと言う時キラめくから」
「嘘つくんじゃねぇ!!」
土方はもう一度相手の腹に目がけて刀を突く。
再び躱されたが、突き出したまま手首を捻り横一直線に刀を振るう。銀髪の男はその瞬時の攻撃を間一髪のところで後ろに飛びずさり躱す。
「やるじゃねぇか。この変化に大抵の奴は追いついてこれないんだがな」
「危ねぇな。本当に当たったらどうすんだよ」
「馬鹿野郎!こちとら斬るために喧嘩してんだ!!」
息付く間もなく刀を振り回す土方に、彼は木刀で太刀を受け止め鍔迫り合いになる。睨み合っていると、離れたところから沖田と一希が現れる。
「危ないですぜ、土方さん」
急に声をかけられ目線をそちらへやると発砲音と共に弾が飛んできた。対峙していた2人はすんでのところで避けたが爆発に巻き込まれる。
「初めてにしちゃなかなか筋が良いでさァ」
「本当ッスか!」
「ああ。土方さん、生きてやすかィ」
先程の発砲音は沖田と一希が撃ったバズーカのものだった。2人でキョロキョロと着弾地点の辺りを見渡すと、軽く吹き飛ばされた土方の姿があった。
「何してんだ!おっ死ぬところだったぞ」
「チッ…しくじったか」
「しくじったって何だ?!あと何でそいつにもバズーカ使わせてんだ!おい、こっち見やがれ総悟!!」
土方は怒鳴るが2人とも知らぬ顔をするので、仕方なくため息を吐いて立ち上がった。すると、チャイナ娘と対峙していた綾日が3人の元へ駆け寄ってくる。
「すまねぇ、さっきの爆発の隙に逃げられた」
「ったく……奴らは?」
「副長、こちらです」
隊士に案内された部屋の扉は歪んでいた。しかし、中から机などの大きな家具を置いて入口を塞いでいるようだ。立て篭もるテロリスト達に外から投降するよう呼びかける。
「出てこないと本当に撃っちゃうぞ〜」
「練習も兼ねて撃っちゃうッスよ〜」
「いつの間に一希も使ってんの?!」
「ガンガン前線に突っ込む姉貴とバランスを取ろうと思って」
「取らなくていいわ!」
まさか一希がこの齢にして火器を扱うなんて思ってなかったが、この世界なら仕方ないだろうと無理矢理自身を納得させた。
すると沖田が何か思い出したように口を開く。
「土方さん、夕方のドラマの再放送始まっちまいますぜ」
「やべぇ、録画予約すんの忘れてた。さっさと済まそう」
土方が発射用意と指示を出すと、一斉に扉へ銃口を向ける。しかし、バズーカは発射されることはなかった。何故ならその瞬間立て篭っていたはずの彼らが扉を蹴破って飛び出してきたからだ。
「何やってんだ!止めろォォ!!」
「止めるならこの爆弾を止めてくれ!!爆弾処理班とかさ…何かいるだろ?!」
「コイツ爆弾持ってるぞ!!!」
銀髪の男の手には丸い時限爆弾があり、それを見た隊士たちは真っ直ぐ向かってくる彼から逃げ出した。
「みんな行っちゃったッスね」
「急いで追いかけるぞ!」
取り残された土方と沖田たちも後を追う。
だが、もう時間がなかったのかチャイナ娘が爆弾を持った彼ごと傘で殴り飛ばした。ものすごい速さで窓まで吹っ飛び、そのまま外へと割って出ると、彼は空へと爆弾を投げた。
「銀さーん!!!」
「銀ちゃんさよ〜なら〜」
空中で爆発し、被害は最少で済んだ。吹き飛ばされた彼も向かい側のビルに垂らさがっていた幟に何とかしがみついている。
隙を見て屋上へと逃走した桂はそんな彼の姿を見て少し呆れていた。
「美しい生き方だと?アレのどこが美しいんだか……だが昔の友人が変わらずにいるというのも悪くないものだな」
そう呟くと仲間たちと空へと飛び立つのだった。
To Be Continued.