姉弟波乱組
名前
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ここまで関わってしまえば、きっと後戻りはできない。
でも、戻る道もきっと見当たらない。
なら目の前にある道をがむしゃらに突き進む!
肌寒さで目を覚ます。いつもなら布団を被り直して2度寝をする所だが、朧げな意識でも使い慣れた自身の寝具ではないと気が付き、勢いよく身体を起こした。
「……夢じゃ、なかった……」
自分が寝ていた部屋を見渡し小さく呟いた。
和室に低い机と少しの荷物、そして寝ていた布団……全てまだ見慣れないものだった。そして、それは昨日起こった事柄が現実のものだと教えてくれる証拠でもあった。
「そっか、夢じゃないんだ。これから真選組の一員として過ごすんだ」
繰り返し自身に言い聞かせるように呟いた綾日は自然と笑みが零れた。高揚する気持ちを抑えながら布団から出て、襖を開けて外を見るとこの部屋から離れた所に隊士を見つける。しかし、まだ朝には早いのか起きてる人は疎らだった。
綾日はそのまま縁側へ座り込んだ。
──あの後、非番の隊士達と手合わせしたんだっけ?気がついたら日が暮れてて……何だか前の世界と変わらないなって思ったなぁ。
異世界へ来たという異常事態の中に前と変わらないものがあったことに安堵した記憶を思い出して小さく笑った。
「おはよう。何か面白いものでもあった?」
いつの間にか隣にいた山崎が笑ってる彼女を不思議に思ったのかそう尋ねた。
「いや、昨日のこと思い出してて……手合わせから寝るまでずっと賑やかだったなあって」
「まあ、こんな若い子達が仮でも入隊したってんなら皆放っておけないんだろうね」
珍しいから、と苦笑いをした山崎を見て納得する。
そして今度は綾日が彼にここに来た理由を尋ねた。
「昨日、早朝に稽古があることを伝えそびれたなと思って。もし寝てたら起こそうと思ってたんだけど」
「なるほど。ならすぐ準備してくるよ」
「あ、後これを」
綾日が身支度するために立ち上がると、山崎は手に持っていた袴などの衣服数着とさらしを彼女へ渡した。
「隊士達は君が女性って知ってるけど、世間には公表する予定はないと副長が言ったんだ。女を雇うなんてって問題視されるだろうしね。だからあくまで男として振舞って欲しい」
真剣な眼差しでそう伝えてくる山崎に首を縦に振る。彼に言われずとも元よりそのつもりだった綾日だが、改めて気を引き締めようと胸に刻んだ。
山崎は用を済ますと先に稽古場へと向かった。
ふと最初に見ていた方へ視線をやると、隊士達がぞろぞろと稽古場に向かってる様子が伺えたので、出遅れまいと身支度するため綾日は部屋に戻るのだった。
*
朝稽古も終え、手合わせをした隊士達と話をしていると土方から姉弟揃って局長室へ呼び出される。
稽古着のままその部屋へ向かうと、昨日姉弟を取り調べた4人が既に座っていた。
「そこに座ってくれるかな」
部屋の外で立ち尽くす2人に近藤が自身の前に座るよう促す。2人が素直に彼の前に座ると、次は隣にいた土方が口を開いた。
「近藤さんと話し合った結果、俺と総悟の補佐としてお前らを仮入隊させることに決定した」
「補佐?!」
「そんな役職もらっていいんスか?!」
「いつでもお前らを見張れるようにした結果だ」
「あ〜…まだ疑ってはいるんスもんね」
当たり前だと言わんばかりに一瞥をやると、土方は煙草を一本取り出し火をつけた。
「そのアンタらの異世界人ってことは他の隊士達には内密でさァ。帰る場所のねぇ餓鬼をたまたま拾って隊士にしたってことにしまさァ」
「まあ、そっちの方がまだ自然だわな」
沖田の説明に納得していると、近藤が自身の傍らにおいてあった制服を姉弟に手渡す。
「早速で悪いが、最近大使館近くで連続爆破テロが多発していてな。それも含め今から会議をするから、それに着替えて君たちも参加してくれ」
そう伝えると2人の頭を豪快に撫でる。
子供扱いされた気がした姉弟は少し不服な表情を浮かべたが、すぐに元気よく返事をしたのだった。
→
でも、戻る道もきっと見当たらない。
なら目の前にある道をがむしゃらに突き進む!
初陣×出会
婆になってもあだ名で呼べる友人を作れ
婆になってもあだ名で呼べる友人を作れ
肌寒さで目を覚ます。いつもなら布団を被り直して2度寝をする所だが、朧げな意識でも使い慣れた自身の寝具ではないと気が付き、勢いよく身体を起こした。
「……夢じゃ、なかった……」
自分が寝ていた部屋を見渡し小さく呟いた。
和室に低い机と少しの荷物、そして寝ていた布団……全てまだ見慣れないものだった。そして、それは昨日起こった事柄が現実のものだと教えてくれる証拠でもあった。
「そっか、夢じゃないんだ。これから真選組の一員として過ごすんだ」
繰り返し自身に言い聞かせるように呟いた綾日は自然と笑みが零れた。高揚する気持ちを抑えながら布団から出て、襖を開けて外を見るとこの部屋から離れた所に隊士を見つける。しかし、まだ朝には早いのか起きてる人は疎らだった。
綾日はそのまま縁側へ座り込んだ。
──あの後、非番の隊士達と手合わせしたんだっけ?気がついたら日が暮れてて……何だか前の世界と変わらないなって思ったなぁ。
異世界へ来たという異常事態の中に前と変わらないものがあったことに安堵した記憶を思い出して小さく笑った。
「おはよう。何か面白いものでもあった?」
いつの間にか隣にいた山崎が笑ってる彼女を不思議に思ったのかそう尋ねた。
「いや、昨日のこと思い出してて……手合わせから寝るまでずっと賑やかだったなあって」
「まあ、こんな若い子達が仮でも入隊したってんなら皆放っておけないんだろうね」
珍しいから、と苦笑いをした山崎を見て納得する。
そして今度は綾日が彼にここに来た理由を尋ねた。
「昨日、早朝に稽古があることを伝えそびれたなと思って。もし寝てたら起こそうと思ってたんだけど」
「なるほど。ならすぐ準備してくるよ」
「あ、後これを」
綾日が身支度するために立ち上がると、山崎は手に持っていた袴などの衣服数着とさらしを彼女へ渡した。
「隊士達は君が女性って知ってるけど、世間には公表する予定はないと副長が言ったんだ。女を雇うなんてって問題視されるだろうしね。だからあくまで男として振舞って欲しい」
真剣な眼差しでそう伝えてくる山崎に首を縦に振る。彼に言われずとも元よりそのつもりだった綾日だが、改めて気を引き締めようと胸に刻んだ。
山崎は用を済ますと先に稽古場へと向かった。
ふと最初に見ていた方へ視線をやると、隊士達がぞろぞろと稽古場に向かってる様子が伺えたので、出遅れまいと身支度するため綾日は部屋に戻るのだった。
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朝稽古も終え、手合わせをした隊士達と話をしていると土方から姉弟揃って局長室へ呼び出される。
稽古着のままその部屋へ向かうと、昨日姉弟を取り調べた4人が既に座っていた。
「そこに座ってくれるかな」
部屋の外で立ち尽くす2人に近藤が自身の前に座るよう促す。2人が素直に彼の前に座ると、次は隣にいた土方が口を開いた。
「近藤さんと話し合った結果、俺と総悟の補佐としてお前らを仮入隊させることに決定した」
「補佐?!」
「そんな役職もらっていいんスか?!」
「いつでもお前らを見張れるようにした結果だ」
「あ〜…まだ疑ってはいるんスもんね」
当たり前だと言わんばかりに一瞥をやると、土方は煙草を一本取り出し火をつけた。
「そのアンタらの異世界人ってことは他の隊士達には内密でさァ。帰る場所のねぇ餓鬼をたまたま拾って隊士にしたってことにしまさァ」
「まあ、そっちの方がまだ自然だわな」
沖田の説明に納得していると、近藤が自身の傍らにおいてあった制服を姉弟に手渡す。
「早速で悪いが、最近大使館近くで連続爆破テロが多発していてな。それも含め今から会議をするから、それに着替えて君たちも参加してくれ」
そう伝えると2人の頭を豪快に撫でる。
子供扱いされた気がした姉弟は少し不服な表情を浮かべたが、すぐに元気よく返事をしたのだった。
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