姉弟波乱組
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
裏路地から出ると何度も見たことのある街並みに
着物を着た人、服を着た異様な姿の化け物…
紙や映像で見たものが目の前にある衝撃は凄まじかった
狭くも広くもない部屋に、よくあるステンレス製の机とパイプ椅子がある。ドラマなどでよく見る所謂取り調べ室に綾日と一希はいた。
「巻き込んでしまってすまなかったね」
机を挟んで向かい側に座るガタイのいい男性が申し訳なさそうに話す。
「いえ、むしろ助けてもらったので」
綾日は鍛えているとはいえ、流石に複数人の男達と戦ったことなどなく、今冷静になってみるときっとあの後自分はやられていただろうと思い返す。
そして、自分たちが下敷きにして気絶させてしまった男も含め、あの男達全員が過激派の攘夷浪士だったらしい。ある一つの拠点を突き詰めたところ逃走され、追いかけていたところに綾日と一希がいたという訳だ。
事件に関わってしまったため任意同行として真選組の屯所へ連れられ、事情聴取をされているのだった。
「じゃあ、名前も聞いてもいいかな?」
「おれは桜海綾日です」
「僕が桜海一希です」
「自宅はあの近くかい?」
「いえ、おれらは空から降ってきました」
「何?!」
「嘘つくならもっとマシな嘘をつくんだな」
思わぬ返答をした綾日の言葉に驚いた彼だったが、その横で煙草を吸っている男性が冷たく言葉を返した。
そんな反応を見て綾日は「ですよねー」と苦笑いをした。
「信じてもらえないだろうけど本当なんスよ」
「漫画や小説じゃあるまいし、空から降ってきただなんて信用できるか」
「密入国の類じゃねぇですかィ?」
「…可能性はあるな。山崎調べてこい」
「はいよ」
後ろ側でメモを取っていた彼はそのまま部屋を出ていってしまった。そんな今までの光景を見て綾日は落ち着きのない子供のようにソワソワしだす。
「(うわあ〜目の前に近藤さん、トシ、総悟がいるなんて!あのメールまじで夢叶えてくれたんだ…!!)」
今いるこの世界に行きたいと夕飯前に送信したメールのことを思い出す。まさか本当に叶えてくれるとは思いもしなかった彼女は取調べ中にも関わらず目をキラキラと輝かせる。
「とりあえずもう一度君たちがどうしてあそこにいたか話してくれるかい?」
困ったような顔をした近藤がまた問う。
目を輝かせていた綾日はこの事態をどう話そうかと短く悩んだ後、何か吹っ切れたように話し出した。
「おれたちは気がついたらあそこにいたんです。それまでは真っ白な空のような所を落ちていて…まあ簡単に言うと別世界から来ました!」
「ちょ!姉貴?!」
まさかそこまでカミングアウトするとは思ってなかった一希は横に座る彼女を見る。しかし彼女は気に止めもせず話し続ける。
「おれらがいた世界ではこの世界は漫画でした。おれがあるメールにこの世界に行きたいと願ったら来れたって感じですかね!」
「近藤さん、まずこいつを精神病院へ連れていきやしょう」
呆れた声で提案した沖田に一希は頷きたくなった。綾日が言っていることは間違ってないが、話してしまえばおかしい人だと思われて仕方ないのだ。
「副長、山崎です」
取調べ室のドアのノックとともに声がする。
呼ばれた土方は短く返事をし山崎を中へと入れた。
「どうだった?」
「残念ながら2人ともの情報が全く出てきませんでした。密入国という線も薄いです」
そう山崎が答えると土方は小さく舌打ちをした。
そして何故か綾日は「ほらね?」と得意げに口角を上げた。
「……何の情報もねぇとは」
「ただ巻き込まれたそこら辺の餓鬼だと思ってたんですがねィ」
「どうする近藤さん」
「うーん、別世界かあ」
難しい顔をして自分たちを見る近藤を見て、あと一押しと綾日は彼らの知っている情報を開示した。
それぞれの誕生日、身長体重、性格や好きな物など世界に影響を及ぼさないだろうと彼女が独自に判断したもののみだった。
「これだけ知ってるんです、信じてくれますか?
まだダメなら真選組の隊長や隊士の名前を順に言っていきますけど?」
「きっとそんじゃそこらの攘夷浪士さえ知らないと思うッスよ!!」
姉がここまで話すならと一希もフォローをし始める。簡単には知りえないであろう情報を淡々と話す彼女に目の前にいる4人は少しだけ驚きを隠せないでいた。
「ここまで言われたら信じるしかないだろう」
原作通りお人好しで優しい近藤に安堵した。
しかし姉弟にとって本題はこれからだったのだ。
→
着物を着た人、服を着た異様な姿の化け物…
紙や映像で見たものが目の前にある衝撃は凄まじかった
取調×保護
有り得ない状況が続くと逆に冷静になるよね
有り得ない状況が続くと逆に冷静になるよね
狭くも広くもない部屋に、よくあるステンレス製の机とパイプ椅子がある。ドラマなどでよく見る所謂取り調べ室に綾日と一希はいた。
「巻き込んでしまってすまなかったね」
机を挟んで向かい側に座るガタイのいい男性が申し訳なさそうに話す。
「いえ、むしろ助けてもらったので」
綾日は鍛えているとはいえ、流石に複数人の男達と戦ったことなどなく、今冷静になってみるときっとあの後自分はやられていただろうと思い返す。
そして、自分たちが下敷きにして気絶させてしまった男も含め、あの男達全員が過激派の攘夷浪士だったらしい。ある一つの拠点を突き詰めたところ逃走され、追いかけていたところに綾日と一希がいたという訳だ。
事件に関わってしまったため任意同行として真選組の屯所へ連れられ、事情聴取をされているのだった。
「じゃあ、名前も聞いてもいいかな?」
「おれは桜海綾日です」
「僕が桜海一希です」
「自宅はあの近くかい?」
「いえ、おれらは空から降ってきました」
「何?!」
「嘘つくならもっとマシな嘘をつくんだな」
思わぬ返答をした綾日の言葉に驚いた彼だったが、その横で煙草を吸っている男性が冷たく言葉を返した。
そんな反応を見て綾日は「ですよねー」と苦笑いをした。
「信じてもらえないだろうけど本当なんスよ」
「漫画や小説じゃあるまいし、空から降ってきただなんて信用できるか」
「密入国の類じゃねぇですかィ?」
「…可能性はあるな。山崎調べてこい」
「はいよ」
後ろ側でメモを取っていた彼はそのまま部屋を出ていってしまった。そんな今までの光景を見て綾日は落ち着きのない子供のようにソワソワしだす。
「(うわあ〜目の前に近藤さん、トシ、総悟がいるなんて!あのメールまじで夢叶えてくれたんだ…!!)」
今いるこの世界に行きたいと夕飯前に送信したメールのことを思い出す。まさか本当に叶えてくれるとは思いもしなかった彼女は取調べ中にも関わらず目をキラキラと輝かせる。
「とりあえずもう一度君たちがどうしてあそこにいたか話してくれるかい?」
困ったような顔をした近藤がまた問う。
目を輝かせていた綾日はこの事態をどう話そうかと短く悩んだ後、何か吹っ切れたように話し出した。
「おれたちは気がついたらあそこにいたんです。それまでは真っ白な空のような所を落ちていて…まあ簡単に言うと別世界から来ました!」
「ちょ!姉貴?!」
まさかそこまでカミングアウトするとは思ってなかった一希は横に座る彼女を見る。しかし彼女は気に止めもせず話し続ける。
「おれらがいた世界ではこの世界は漫画でした。おれがあるメールにこの世界に行きたいと願ったら来れたって感じですかね!」
「近藤さん、まずこいつを精神病院へ連れていきやしょう」
呆れた声で提案した沖田に一希は頷きたくなった。綾日が言っていることは間違ってないが、話してしまえばおかしい人だと思われて仕方ないのだ。
「副長、山崎です」
取調べ室のドアのノックとともに声がする。
呼ばれた土方は短く返事をし山崎を中へと入れた。
「どうだった?」
「残念ながら2人ともの情報が全く出てきませんでした。密入国という線も薄いです」
そう山崎が答えると土方は小さく舌打ちをした。
そして何故か綾日は「ほらね?」と得意げに口角を上げた。
「……何の情報もねぇとは」
「ただ巻き込まれたそこら辺の餓鬼だと思ってたんですがねィ」
「どうする近藤さん」
「うーん、別世界かあ」
難しい顔をして自分たちを見る近藤を見て、あと一押しと綾日は彼らの知っている情報を開示した。
それぞれの誕生日、身長体重、性格や好きな物など世界に影響を及ぼさないだろうと彼女が独自に判断したもののみだった。
「これだけ知ってるんです、信じてくれますか?
まだダメなら真選組の隊長や隊士の名前を順に言っていきますけど?」
「きっとそんじゃそこらの攘夷浪士さえ知らないと思うッスよ!!」
姉がここまで話すならと一希もフォローをし始める。簡単には知りえないであろう情報を淡々と話す彼女に目の前にいる4人は少しだけ驚きを隠せないでいた。
「ここまで言われたら信じるしかないだろう」
原作通りお人好しで優しい近藤に安堵した。
しかし姉弟にとって本題はこれからだったのだ。
→