That day was dreamy
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シーツが気持ちいい。
ほんのりとするリネンの香りがとても心地良くて、もう少し眠らせて、と思ってしまう。でもそろそろ起きないと大学の授業に間に合わない。今日は夕方からバイトも入ってる。ていうか今日って何曜日だっけ。あれ?土曜日だったっけ?じゃあ、もう少し寝れるのかな。でも、とりあえず今何時なのか気になるから確認したい。そう思い、もぞもぞ手を動かして頭の上の方を探った。でも携帯は見つからなかった。仕方ない、起きるか。だが目を開けて見えたものは、いつもの自分の部屋の天井なんかよりずっと白くて高かった。
「……へ」
自分のベッドじゃない。そもそも部屋が違う。いつもの、勝手知ったる8畳そこそこのものではない。それどころか、この1部屋で自分の住んでるアパートの間取り全部が納まってしまうほどに広い。ぼんやりしていた意識はもうはっきりと覚醒した。ベッドから飛び起きるとそばに姿見があった。映し出された自分を見て再び驚く。着ている服も自分のものじゃない。というか昨日寝間着に着替えた記憶がない。
「昨日……なんだったっけ」
思い出せ。寝癖で派手に乱れた頭を抱えたちょうどその時。控え目なノック音が聞こえた。
「失礼いたします。おはようございます。お目覚めになられましたか?」
部屋のドアが開き目の前に女性が現れた。きっちりと髪をまとめ、服装は膝下までの黒いスカート姿でエプロンをつけている。いわゆるメイド服と呼ばれるやつ。その彼女がにこりと笑いかけてきた。当然琴璃は面識がない。ますます今の状況が分からない。
「あ、あの」
「ご気分はいかがですか?」
「気分は……何がなんだかって感じです」
「まぁ。あまり眠れませんでしたか?」
「いえ、眠れたんですけど、何と言うか」
「恐れながら、お着替えのほうをさせていただきました。昨夜はこちらへ到着された際、よく眠っていらっしゃったので」
それを聞いてだんだんと記憶が蘇ってくる。昨日は、跡部に頼まれて場違いなパーティに出席した。色々気疲れしたけどなんとかやり過ごし、帰りに家まで送ってもらう流れになった。そこまでは思い出せる。でもここは自分の家じゃない。じゃあどこだ。
「景吾様は午前中お仕事に向かわれました。お昼過ぎにはお戻りとのことですのでそれまでお待ちください」
「ま、待って!」
では、と出て行こうとするメイドを引き止める。ここはどこですか昨日何がありましたか私どうなっちゃうんですか。混乱しながら一気に質問した琴璃だが、彼女は丁寧に優しく教えてくれた。
ここは跡部の家らしい。琴璃が今いるこの部屋はゲストルームなるもの。彼は昨夜、酔い潰れた琴璃を抱えて帰ってきて、引き渡された使用人の彼女が世話をしたのだと言う。そして朝早くから仕事で出て行った。
「朝、お嬢様がお目覚めになっていれば出勤前に送っていこうとしてらしたのですが、まだ気持ちよく寝てらしたので起こさずに行かれました」
そこまで笑顔で説明され琴璃は絶句した。
「……さいあく」
ようするに自分は泥酔したということか。今までにお酒を飲んだことはあった。でもほんの1、2回程度でその時は量も大したことなかった。たが昨日は慣れない一気飲みをしたせいで酔いが回りやすかった、多分。そこら辺の記憶が曖昧なので断定はできない。
どうしようどうしようと唸っていると、彼女から朝食とお風呂を勧められたのでどちらも有り難くいただくことにした。とりあえず、大きな失態をしたわけではなさそうだ。ならばひとまず落ち着こう。メイドが出ていき残された琴璃は改めて部屋中を見回す。それにしても、広い。ゲストルームと説明されたここはまるでホテルの一室さながらだった。部屋は1室だけでなくバスルームもついていた。無論そのエリアも無駄に広い。硝子ドアのシャワー室と猫足のバスタブが琴璃を待ち受けていた。
「うそでしょ……」
いちいち独り言を言ってもこの広い部屋には自分しか居ない。湯船に浸かって、いま一度昨日のことを落ち着いて思い出してみる。昨日は突然のことで事態も飲み込めぬまま跡部について行くしかなかった。でも、魔法がかけられたように綺麗に可愛くしてもらった。慣れないメイクもドレスもヒールも、あの時だけはずっと身に纏っていたいと思えた。エスコートしてくれる彼が琴璃の目にはキラキラして映った。夢のようなひと時だった。
そうやって、考えながら湯に浸かっていたらうっかりのぼせそうになりかけたので慌てて風呂から出た。髪を乾かしいつの間にか洗濯されていた洋服に着替えた頃にはテーブルに食事がセッティングされていた。すごく充実したひと時を過ごしている。今日が大学休みの日で良かったと思った。そして、ナイフとフォークが出てくる遅めの朝食をいただき、食後の紅茶を味わいながらいい感じに寛いでいる頃。跡部が帰ってきた。
ほんのりとするリネンの香りがとても心地良くて、もう少し眠らせて、と思ってしまう。でもそろそろ起きないと大学の授業に間に合わない。今日は夕方からバイトも入ってる。ていうか今日って何曜日だっけ。あれ?土曜日だったっけ?じゃあ、もう少し寝れるのかな。でも、とりあえず今何時なのか気になるから確認したい。そう思い、もぞもぞ手を動かして頭の上の方を探った。でも携帯は見つからなかった。仕方ない、起きるか。だが目を開けて見えたものは、いつもの自分の部屋の天井なんかよりずっと白くて高かった。
「……へ」
自分のベッドじゃない。そもそも部屋が違う。いつもの、勝手知ったる8畳そこそこのものではない。それどころか、この1部屋で自分の住んでるアパートの間取り全部が納まってしまうほどに広い。ぼんやりしていた意識はもうはっきりと覚醒した。ベッドから飛び起きるとそばに姿見があった。映し出された自分を見て再び驚く。着ている服も自分のものじゃない。というか昨日寝間着に着替えた記憶がない。
「昨日……なんだったっけ」
思い出せ。寝癖で派手に乱れた頭を抱えたちょうどその時。控え目なノック音が聞こえた。
「失礼いたします。おはようございます。お目覚めになられましたか?」
部屋のドアが開き目の前に女性が現れた。きっちりと髪をまとめ、服装は膝下までの黒いスカート姿でエプロンをつけている。いわゆるメイド服と呼ばれるやつ。その彼女がにこりと笑いかけてきた。当然琴璃は面識がない。ますます今の状況が分からない。
「あ、あの」
「ご気分はいかがですか?」
「気分は……何がなんだかって感じです」
「まぁ。あまり眠れませんでしたか?」
「いえ、眠れたんですけど、何と言うか」
「恐れながら、お着替えのほうをさせていただきました。昨夜はこちらへ到着された際、よく眠っていらっしゃったので」
それを聞いてだんだんと記憶が蘇ってくる。昨日は、跡部に頼まれて場違いなパーティに出席した。色々気疲れしたけどなんとかやり過ごし、帰りに家まで送ってもらう流れになった。そこまでは思い出せる。でもここは自分の家じゃない。じゃあどこだ。
「景吾様は午前中お仕事に向かわれました。お昼過ぎにはお戻りとのことですのでそれまでお待ちください」
「ま、待って!」
では、と出て行こうとするメイドを引き止める。ここはどこですか昨日何がありましたか私どうなっちゃうんですか。混乱しながら一気に質問した琴璃だが、彼女は丁寧に優しく教えてくれた。
ここは跡部の家らしい。琴璃が今いるこの部屋はゲストルームなるもの。彼は昨夜、酔い潰れた琴璃を抱えて帰ってきて、引き渡された使用人の彼女が世話をしたのだと言う。そして朝早くから仕事で出て行った。
「朝、お嬢様がお目覚めになっていれば出勤前に送っていこうとしてらしたのですが、まだ気持ちよく寝てらしたので起こさずに行かれました」
そこまで笑顔で説明され琴璃は絶句した。
「……さいあく」
ようするに自分は泥酔したということか。今までにお酒を飲んだことはあった。でもほんの1、2回程度でその時は量も大したことなかった。たが昨日は慣れない一気飲みをしたせいで酔いが回りやすかった、多分。そこら辺の記憶が曖昧なので断定はできない。
どうしようどうしようと唸っていると、彼女から朝食とお風呂を勧められたのでどちらも有り難くいただくことにした。とりあえず、大きな失態をしたわけではなさそうだ。ならばひとまず落ち着こう。メイドが出ていき残された琴璃は改めて部屋中を見回す。それにしても、広い。ゲストルームと説明されたここはまるでホテルの一室さながらだった。部屋は1室だけでなくバスルームもついていた。無論そのエリアも無駄に広い。硝子ドアのシャワー室と猫足のバスタブが琴璃を待ち受けていた。
「うそでしょ……」
いちいち独り言を言ってもこの広い部屋には自分しか居ない。湯船に浸かって、いま一度昨日のことを落ち着いて思い出してみる。昨日は突然のことで事態も飲み込めぬまま跡部について行くしかなかった。でも、魔法がかけられたように綺麗に可愛くしてもらった。慣れないメイクもドレスもヒールも、あの時だけはずっと身に纏っていたいと思えた。エスコートしてくれる彼が琴璃の目にはキラキラして映った。夢のようなひと時だった。
そうやって、考えながら湯に浸かっていたらうっかりのぼせそうになりかけたので慌てて風呂から出た。髪を乾かしいつの間にか洗濯されていた洋服に着替えた頃にはテーブルに食事がセッティングされていた。すごく充実したひと時を過ごしている。今日が大学休みの日で良かったと思った。そして、ナイフとフォークが出てくる遅めの朝食をいただき、食後の紅茶を味わいながらいい感じに寛いでいる頃。跡部が帰ってきた。