第二訓
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ある日のかぶき町ー
…にある「万事屋銀ちゃん」の玄関先は朝から何やら騒がしかった
「しるかボケェェ!!金がねーなら腎臓なり金玉なり売って金つくらんかいクソッたりゃー!!」
「家賃如きでうるせーよウンコババア!!こないだアレ…ビデオ直してやったろ!アレでチャラでいいだろが!!」
「いいわけねーだろ!五ヶ月分の家賃だぞ!!大体あのビデオまた壊れて「鬼平犯科帳」コンプリート失敗しちまったわい!!」
「バカヤロー
諦めんなきっとまた再放送するさ!!」
「んなこたァいいから家賃よこせっつーんだよこの天然パーマメント!!」
「んだコラァ
お前に天然パーマを苦しみがわかるか!!」
銀時と言い合いをしているのは万事屋銀ちゃんの下で「スナックお登勢」の女将をやっておりまたこの建物の大家でもある女性ーお登勢
二人の揉め事の原因は銀時が五ヶ月も滞納している家賃にあった
「ハァ~~またやってんのか」
コンビニ袋を片手に階段を登りやってきた新八は何度と見た光景に溜め息をこぼす
⋯ー早いもので僕がここに来て半月
フリーターから心機一転あの男のもとで働き始めた僕だが万事屋なんていかがわしい商売そう儲かるわけもなくじり貧の生活は相変わらずだった
果たして
このままあの男についていっていいものか
そしてー⋯
新八が思案していると
『新八おはよー』
階段下から抑揚のないユル~い声がした
「あ、才花ちゃんおはよう」
声の主は銀時の妹で新八と同じ万事屋の従業員の才花だった
毛先が不揃いのボサボサなしかしサラサラした黒髪を揺らしながら新八のいる階段の踊り場まで登ってくる才花
「ほら見て。またやってるよ」
『あらら』
「あの人ったら
ホントに…全くどうしたらいいもんか……」
『そーだね。無いもんは無いんだから毎回来たってしょうがないのにね』
「えェそっちぃ!?」
自分と同じく家賃を滞納する銀時に呆れているもんだと思って同意を求める新八だがまさかの才花は何度も家賃を徴収しにやって来るお登勢の方に呆れていたのだ
⋯ー見た目が全然似てないので時々忘れそうになるがあの男の妹で性格もどことなく似ている彼女にもこのままついていっていいものか
最近悩んでいる
「とにかくそろそろ止めないと近所迷惑だし」
『しょーがいなぁ』
新八に言われて面倒くさそうに呟きながら先に階段を登る才花
「ちょっと…アンタらいい加減」
それに続いて階段を登りながら言い合う銀時とお登勢に声をかせる新八が階段上の二人へ視線を上げた時…
ぶわっ
「!!」
『ん?』
お登勢に投げ飛ばされてこちらへ飛んで来る銀時が見えた
「ぎゃああああ!!」
ドォーン!
びっくりして思わず悲鳴を上げた新八だったが幸い遅れて階段を登ってきてた為に何ともなく代わりに先を歩いていた才花が巻き込まれ銀時と共に階段から転がり落ちる
「だっ…大丈夫才花ちゃ…!?」
慌てて二人に駆け寄った新八は目の前の光景に目を見開く
そこにあったのはぶつけて額を赤くし仰向けに倒れている才花とその上に覆い被さって同じく倒れている銀時の姿だった
しかも銀時の顔は才花の胸に埋もれていたー
――――⋯⋯⋯
『銀時これで9回目』
「記念すべき10回目まであと1回だな」
ドスッ
「ぶっ!!」
デスクにふんぞり返って座る銀時の反省も謝罪も見えない発言にソファーで赤くなった額を氷で冷やす才花の手からジャンプが飛んで来る
「前にもこんなことが…?」
額にジャンプの角が直撃し倒れる銀時の尻目に才花の向かいのソファーでお茶を飲む新八が尋ねた
『この前は玄関で言い合ってるところに入ったらジャンプが顔に飛んできて…その前は銀時の肘が鼻に当たった』
「………」
相変わらず抑揚のない声で淡々と語っているがいつもぼーっとしてる才花がここまでしっかり覚えている辺り…多少は怒っているのだろうと察する新八
『あーあ今度は銀時のせいで胸がつぶれたー』
「元々大してない胸だろーが。俺だってお前とあんなTo LOVEるなんざごめんだ」
すると才花と同じく額を赤くした銀時が復活し起き上がってきた
『………』
「ま…まぁまぁ才花ちゃん落ち着いてっ」
だがやはり謝罪をする様子のない銀時に今度はお茶の入った急須を手にし投げようとする才花を慌てて止める新八
「それで…
どーすんスか生活費までひっぱがされて」
才花が思いとどまり急須を置くと新八は話し出す
「今月の僕の給料ちゃんと出るんでしょーね。頼みますよ。僕んちの家計だってキツいんだから」
「腎臓ってよォ
二つもあんのなんか邪魔じゃない?」
「売らんぞォォ!!
何恐ろしー事考えてんだ!!」
「カリカリすんなや。金はなァがっつく奴の所には入ってこねーもんさ。なぁ才花?」
『そーだね。だからウチも銀時がパチンコ行くせいでお金が入ってこないんだね』
生活費までも奪われた危機的状況でありながら銀時は大して焦ったりする様子もなくテレビを付け妹に同意を求めたが返ってきたのは冷たい言葉