第一訓
名前変換
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「どーも万事屋でーす。しゃぶしゃぶ食べ放題に行った妹を迎えに来ましたー」
「姉上ェ!!まだパンツははいてますか!!」
パトカーから現れたのは銀時と新八だった
「……新ちゃん!!」
「おのれら何さらしてくれとんじゃー!!」
二人の登場に驚くお妙と男
「姉上返してもらいに来た」
「アホかァァ!!どいつもこいつももう遅いゆーのがわからんかァ!!」
どこか吹っ切れ顔にも自信と力強さが見える新八は護るようにお妙の前に立つ
「新八お前
こんな真似さらして道場タダですまんで!!」
「道場なんてしったこっちゃないね」
男の脅しに対しても臆せず言う新八
「俺は姉上がいつも笑ってる道場が好きなんだ。姉上の泣き顔見るくらいならあんな道場いらない」
「新ちゃん」
新八の言葉にお妙は目を見開く
「ボケがァァ!!たった二人で何できるゆーねん!!いてもうたらァ!!」
男の言葉を合図に部屋の奥からもさらに現れた部下達およそ十数人が銀時達四人を取り囲む
「オイ俺と才花がひきつけといてやるからてめーは脱出ポッドでも探して逃げろ」
「あんたらは!?」
「てめーは姉ちゃんを護ることだけ考えろや。俺は俺の護りてェもん護る」
そう言うと銀時は立ち塞がる男達の前へと進み出て行き自分の脇に立つ才花を見た
「いいか才花…やるぞ」
『着物で動きにくいからパス』
「オイ!ふざけんな。ここはフツー主役らしくやる気見せるとこだろーがよ!!ほらこれ返すから…動ける範囲だけでもやれ」
『うぃー』
銀時が木刀と一緒に腰に差してた小太刀を取り才花に投げ渡すと緊張感とやる気のない返事と共にそれを受け取る才花
「何をゴチャゴチャぬかしとんじゃ死ねェェ!!」
そんな二人に痺れを切らした男は懐から出した銃を向けながら叫ぶ
ドカ!ゴドン!
しかし木刀を抜いた銀時に一瞬にして傍にいた部下もろとも吹き飛ばされた
「はイイイイ次ィィィ!!」
それだけではなく銀時は叫びながら木刀を降り周りにいる部下達を次々となぎ払っていく
『おらー』
ドカン!
「ぐぉっ!」
また暴れまわる銀時の脇では才花が気が抜けるような抑揚のない棒読みの声を上げながら鞘に納めたままの小太刀で自分の近くにくる男達を殴り倒していた
「なっ…なんだコイツらぁ!?」
思ってもいなかった銀時と才花の立ち回りと強さに驚愕する男達
「何!?でっ…でたらめだけど…強い!!」
それは新八とお妙の二人も同じだった
「新一ぃぃぃ!!いけェェェ!!」
「新八だボケェェ!!」
名前を間違う銀時に突っ込みながら新八はお妙の手を引き部屋から逃げ出す
―――⋯⋯
「新ちゃんいいのあの人達…いくらなんでも多すぎよ敵が」
新八に手を引かれ脱出ポッドを探して船内を走るお妙が不安そうに言う
「なんであそこまで私達のこと…それにあの子も…なんで私と一緒にここまで…」
「そんなのわかんないよ!!でもアイツらは戻ってくる!!だってアイツらの中にはある気がするんだ。父上が言ってたあの…」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
「!!」
そう言う新八の言葉を遮り後方から突如叫び声が聞こえてきた
「ホントに戻ってきた!!」
「キツかったんだ!!才花もいるしイケると思ったけど思ったよりキツかったんだ!!」
『ただいまー』
見ると才花を小脇に抱えながら走りこっちに男達から逃げて来る銀時がいた
「ちょっと!!頼みますよ!一ページしかもってないじゃないですか!!」
「バカヤロー!!小説家にとっての一ページはスゲー長いんだぞ」
『大体ページの割り振りなんて小説家のさじ加減だし…細かく区切れば三ページくらいには出来るよ』
「いいから脱出ポッド探せ!!」
「そこは!?」
そんな言い合いをしながらあわてて銀時達は近くにあった部屋へ逃げ込む
「んだココ!?」
「動力室!?」
だがそこは脱出ポッドではなく逃げ場のないこの船の動力室だった
「いきどまりや追いかけっこしまいやでェ」
さらに入口では数人の部下を連れた男が勝ち誇った笑みを浮かべながら銃をこちらに向けていた
「哀れやの~昔は国を守護する剣だった侍が今では娘っ子一人護ることもでけへん鈍や」
「おたくらに護れるもんなんてもうなんもないで。この国も…空もわしら天人のもんやさかい」
「国だ空だァ?くれてやるよんなもん。こちとら目の前のもん護るのに手一杯だ。それでさえ護りきれずによォ今まで幾つ取り零してきたかしれねェ」
『…………』
「俺にはもうなんもねーがよォせめて目の前で落ちるものがあるなら拾ってやりてェのさ」
「しみったれた武士道やの~もうお前はエエわ…去ねや」
嘲笑う男は銀時に銃口を向ける
「ちょっあきまへんで社長!!アレに弾あたったらどないするんですか」
しかし隣にいた部下が銃の引き金を引こうとする男を慌てて止める
そう銀時達の後ろにあるのはこの船の動力
もし誤って動力に弾が当たりでもしたらこの船は墜落してしまう
「船もろともおっ死にますよ」
「ア…アカン忘れとった」
部下に言われ気付いた男は思い留まるが……
「よいしょよいしょ」
『がんばれー』
「って…登っちゃってるよアイツら!!おいィィ!!」
背中に才花を背負った銀時が上から伸びる管を伝って動力目指し登っていたのだ
「ちょっ待ちィィ!!アカンでそれ!!この船の心臓…」
動力の上に乗りそれぞれ木刀と小太刀を構える二人に男は青ざめながら必死に止める
「客の大事なもんは俺達の大事なもんでもある」
『だから』
「そいつを護るためなら俺らはぁなんでもやるぜ!!」
『そーいうこと』
ズゴン
「!!」
銀時の叫び声と才花のユルいかけ声と共に二人は動力に手にした刀を突き刺す
その衝撃で船の核である動力は大きくヒビ割れ壊れる
「きいやァァァァァ
ホンマにやりよったァァ!!」
それを見て男達は絶望したように悲鳴を上げる
ゴゴゴゴゴ
「!!」
そして動力源を失った船は大きく傾く
「何この浮遊感気持ち悪っ!!」
「落ちてんのコレ!?落ちてんの!?」
『わー落ちるー』
「ギャアアアアアア!!」
ドボォン
船はそのまま海へと墜落した
――――⋯⋯⋯
すでに夕暮れ時になった空は茜色になっていた
海面に船首だけ見える沈んだ船をただぼーっと眺めている才花
『おも…』
ぼそっと呟き頭に刺さった簪を取ると軽く頭を振り高く結い上げられていた髪がさらさらと解け肩に落ちる
『まだ終わんないのかなー』
そうぼやき見つめる先には一人の警官を何やら言い合いをしている銀時
ポイッ ポチャン…ッ
『よっこいしょ』
才花は取った簪を海に放り捨てると立ち上がり着物の裾をぞろ引きながら銀時と元へと歩いて行くのだった
「幸い海の上だったからよかったようなものの街に落ちてたらどーなってたことやら」
一方少し離れた別のところでは新八とお妙が話をしていた
「あんな無茶苦茶な侍見たことない」
「でも結局助けられちゃったわね」
二人が見つめる先には警官と言い合いをし揉めている銀時の姿
「んだよォ!!江戸の風紀を乱す輩の逮捕に協力してやったんだぞ!!パトカー拝借したのくらい水に流してくれてもいいだろが!!」
「拝借ってお前パトカーも俺もボロボロじゃねーか!!ただの強盗だボケ」
「元々ボロボロの顔じゃねーか!!かえって二枚目になったんじゃねーか」
「マジでか!!どのへん!?」
揉めている原因は銀時が船へと突っ込んだ時に勝手に拝借したパトカーにあるようだ
『ねーまだ終わらないの?
着物重いし…疲れた。早く帰ろ』
「俺だって早く帰りてーよ。だけどなァいい歳こいて鼻血出すこの警官がしつけーんだよ」
「何だとお前コノヤロー!大体鼻血出たのもお前のせいだろーが!!」
『まぁまぁおじさん落ち着いて。とりあえず車の事はトイレだけに水に流して』
「トイレだけにって何だよ!トイレって単語初登場なんだけどォ!?」
そこへ才花もやって来ると話は収まるどころかさらにややこしくなるばかり
そんな光景を見つめていた新八は何か決意したように口を開く
「…姉上俺…」
「行きなさい。
あの人達の中に何か見つけたんでしょ」
しかしすでにそれを察してたお妙は静かに言う
「行って見つけてくるといいわあなたの剣を」
「私は私のやり方を探すわ。大丈夫もう無茶はしないから。私だって新ちゃんの泣き顔なんて見たくないからね」
「…姉上」
「例え剣を捨てる時が来ても魂におさめた真っすぐな剣だけはなくすな」
ー父上
この兄妹の魂いかなるものか
ひどくわかり辛いですがそれは鈍く…確かに光っているように思うのです
今しばらく傍らでその光…
眺めてみようと思います
ついには取っ組み合いの喧嘩になりだした銀時達の元へ新八は駆け出していくのだった
END