第一訓
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――――⋯⋯⋯
「んだよチキショー!!バカ姉貴がよォォ!!」
才花とお妙が取り立て屋と共に去った後残された新八は庭で木刀を素振りし叫んでいた
「父ちゃん父ちゃんってあのハゲが何してくれたってよ。たまにオセロやってくれたぐらいじゃねーか!!」
「父ちゃんハゲてたのか」
「いや精神的にハゲて…ってアンタまだいたんですか!!しかも人んちで何本格的なクッキングに挑戦してんの!!」
素振りする脇で何故か巨大なワンホールケーキを作っている銀時に突っ込む新八
「いや定期的に甘いもの食わねーとダメなんだ俺も才花も」
「だったらもっとお手軽なものつくれや!!」
「…ねーちゃん追わなくていいのか」
「…知らないっスよ。自分で決めて行ったんだから。アンタの方こそ妹さん追わなくていいんですか?」
「才花なら一人でも何とかするだろーよ。アイツも自分で勝手に行ったんだしよ」
「しゃぶしゃぶ食べ放題と勘違いしていましたけどいいんですか?」
「あー⋯まぁいいだろ」
才花が去り際言ってた言葉に焦りながら尋ねる新八に対し銀時は至って平然としておりしまいには完成したケーキを食べだす
「姉上もやっぱ父上の娘だな。そっくりだ」
そんな銀時を見ながらふと新八は話し出した
「父上も義理だの人情だのそんな事ばっか言ってるお人好しで。そこをつけこまれて友人に借金しょいこまされてのたれ死んだ。どうしてあんなにみんな不器用かな。僕はキレイ事だけ並べてのたれ死ぬのは御免ですよ」
「どんなに時代が変わろうと人には忘れちゃならねーもんがあらァ」
「親が大事にしてたものを
子供が護るのに理由なんているの?」
「今の時代そんなのもってたって邪魔なだけだ。僕はもっと器用に生きのびてやる」
「そーかい…でも」
「俺にはとても
お前が器用になんて見えねーけどな」
そう呟く銀時の前で俯き座る新八の目からは涙が溢れていた
「侍が動くのに理屈なんていらねーさ。そこに護りてェもんがあるなら剣を抜きゃいい」
おもむろに立ち上がり銀時は言う
「姉ちゃんは好きか?」
単純で率直なその問いに新八は歯を食いしばり無言で頷いたー
――――⋯⋯⋯
ブロロロロロロ
道場を出た銀時と新八の二人は原付に乗り連れてかれた才花とお妙の元へ走っていた
「絶景の夕陽を見ながら天国へ
第一便午後四時出航」
チラシを見ながら呟く新八
「ヤバいもう船が出ます!!もっとスピード出ないんですか!!」
「いやこないだ才花と二人してスピード違反で罰金とられたばっかだから」
「んな事言ってる場合じゃないんですって!!姉上がノーパンの危機なんスよ!!」
「うるせー!こっちだってなァ妹がノーパンの危機なんだつーの!!大体ノーパンぐらいでやかましーんだよ!!世の中にはなァ新聞紙をパンツと呼んで暮らす侍もいんだよ」
「チクショー!どこぞの輩に才花のパンツを脱がされるくらいなら俺が脱がしてやるゥゥ!!」
「オイィィ!!
アンタ妹に何するつもりだァァ!!」
原付に乗りながら二人がそんな言い合いをしていると後方からサイレンを鳴らしたパトカーが迫ってきた
<そこのノーヘル止まれコノヤロー道路交通法違反だコノヤロー>
“大江戸警察”と書かれたこのパトカーも天人達の高度な技術により空を走るまで進化していた
「大丈夫ですぅ頭かたいから」
「そーゆー問題じゃねーんだよ!!
規則だよ規則!!」
「うるせーな。かてーって言ってんだろ」
ガン
「ぶっ!!」
横に並走し原付を止めるように言う警官に銀時は頭突きをしその衝撃で警官の鼻からは鼻血が出る
「ギャアアア!!鼻血が!!いい歳して鼻血出しちゃった!!」
「「!れ」」
警官が騒いでいる隙にパトカーを追い抜くと二人は空を飛ぶ大きな船に気付く
「ノーパンしゃぶしゃぶ天国…出発しちゃった!!どーすんだァ!!あんなに高く…あ゙あ゙あ゙あ゙!!姉上がノーパンにぃ」
原付では空を飛ぶ船には届かない…絶望する新八は嘆き叫ぶ
「なんだとォ!!
ノーヘルのうえノーパンなのか貴様!!」
そこへ何やら勘違いをしている警官が運転するパトカーが再び迫ってくる
それを見て銀時の目が何かを思いついたようにキラリと光った
――――⋯⋯⋯
「お妙でございます。可愛がってくださいまし」
その頃船の上では遊女の格好に着替えたお妙とおかっぱ頭の天人による接客の練習が行われていた
「だから違うゆーとるやろ!!そこでもっと胸の谷間を強調じゃボケッ!!」
メキッ
「胸の谷間なんて十八年生きてきて一回もできた事ないわよ」
「あ、スマン
やりたくてもでけへんかったんかイ」
笑顔を浮かべながら強い力で顔を鷲掴みしてくるお妙に男は慌てて謝った
『ねーねーお肉おかわり~』
「お前は何一人で勝手にしゃぶしゃぶしとるんじゃボケェ!!何のためにここに連れてこられたかわかっとるんか!!」
一方脇にあるテーブルに用意されたしゃぶしゃぶセットで勝手に一人でしゃぶしゃぶを食べている遊女の格好をした才花に今度は怒鳴り声を上げる男
『しゃぶしゃぶ食べ放題でしょ』
「MKレストランちゃうわ!遊郭や!!しゃぶしゃぶすんのは肉やのうてお前らパンツじゃァ!!」
『そんなのしゃぶしゃぶしたって全然おいしくないじゃん』
「真顔で言うなや!ここはそーいうサービスを提供する店なんじゃァ。わかったらお前もはよ接客の一つでもして…」
『すみませーんお肉おかわり~』
「聞けやァァ!!」
しかし才花は男の話を無視し廊下に出てお肉のおかわりを要求していた
「ったく…まァエエわ!!アンタの方は次実技!!パンツを脱ぎ捨ていよいよシャブシャブじゃー!!」
ひとまず才花のことは放っておくことにし男はお妙の方に次は実技の接客をさせる
「どないした!?はよ脱がんかイ!!」
しかし道場を護るためにここまで来たとはいえいよいよパンツを脱ぐとなると躊躇するお妙
「今さら
怖じ気づいたところで遅いゆーねん!!」
「くっ!!」
痺れを切らしお妙の腕を掴みかかる男
『ん?』
それに気付いた才花は出ていた廊下から二人のいる部屋へ戻ってきて男を止めに行こうとするがその前に窓の外から見えるあるものに気付く
「これも道場護るためや!我慢しーや!!」
「キャアアアア!!」
嫌がるお妙を畳に組み敷く男
『ねぇねぇ』
そこへ何とも非常に緊迫感のない軽い口調で声をかけ二人の間に入ってきた才花
「あァ?なんや!」
『外見てみ』
「!?」
そう言われ才花が指差す後ろの窓へ振り向く
ゴゴゴゴゴゴ
「なっ…なんやァァァ」
見るとこちらへ猛スピードで一直線へと飛んでくる物体があった
ドッゴン
そしてそれはそのまま才花達のいる部屋へ轟音を上げ突っ込んだ
ガラッ
「社長ォォォ!!」
「何事ですかァァ!!」
大きな船を揺らす程の衝撃に気付いた部下達が慌てて部屋にやって来る
「船が…つっこんできよった!!」
煙が立ち込める部屋に大穴を開けて突っ込んで来たのは“御用”と書かれた提灯を下げたパトカー
「アカンでコレパトカーやん!!役人が嗅ぎつけて来よったか!!」
「安心しなァ。コイツはただのレンタカーだ」
「「!!」」
役人が来たと焦る天人の男達だが砂煙の中から聞こえてきたのは何とも緊張感の欠ける間延びした男の軽口