第八訓
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『不殺の誓い。逆刃刀だ』
「んなワケあるか!!逆刃っつーか刃自体がほぼねぇだろーが!!」
『うっかりしてたでござる』
「口調で許されると思うなよ」
『ダメでござるか?』
某少年漫画の台詞を言うと当然ながら土方にツッコまれ鋭かった目付きはいつものやる気のない半目に戻り構えていた小太刀もあっさり下ろしてしまう
どこまでも緊張感に欠ける上にこちらが本気で斬りかかって来ても反撃するどころか刀を下ろしてしまう無防備な才花に土方の疑心はさらに強くなり見つめるさらに目は鋭くなる
そんな土方の視線を知ってか知らずか気怠げな様子で才花が口を開く
『まぁ確かに廃刀令なのは知ってるけど……こんな刃こぼれだらけの斬れない刀くらい別にいいでしょうよ』
「斬れようが斬れなかろうが帯刀してることには変わりねぇんだよ。第一そんなふざけた刀…何故わざわざ持ち歩く?」
本来刀とは切るために存在するものでありそれが出来ない鈍な刀など持っていたところで何の役にも立たないただのガラクタも同然だ
なのにそれをわざわざ腰に差す才花の意図が全くわからない
そもそもあの刀は何故あんなにも刃こぼれしているのか……
あれほどひどく刃こぼれした刀は剣を長くやって来た土方でも見たことがなかった
「(一体どんな使い方したらああなる…)」
眉間にシワを寄せた鋭い目が才花を睨むが
『うーん…趣味的な?』
やはりと言うべきか才花からの返答はひどく曖昧なものだった
「やっぱり…テメェとは取り合うだけ時間の無駄だ。ふざけやがって……」
低い声で言い捨てると再び刀を構える土方
「叩っ斬ってやる」
ガキィィン!
瓦を蹴り一直線に才花に向かって行くと二人の刀の刃と刃がぶつかり合う甲高い金属音が一際大きく鳴り響く
傾斜のある屋根において大棟の近くに立っている才花が下から来る土方の刀を上から押さえ込むという有利な形で受け止めた
「(踏み込みは悪くねぇ……。だが…)」
「軽い!」
ブゥゥン!
『……!?』
しかし土方が力一杯刀を振り払うと小柄な才花の体は簡単に弾き飛ばされその姿は大棟を越え屋根の向こう側へと消える
ガン!ズザザザザーッ
『いだだだだ…っ』
飛ばされた才花は受け身も取らずに背中から屋根に落ちるとそのまま瓦の上を転がり落ちていく
そして才花が転がって行く先には背を向けた銀時が座って相変わらず気怠そうに作業をしている
「ん?って…うおおォォォ!?」
ドーン!
才花の声と物音に気付いた銀時が振り向いたが時すでに遅く避ける間も無く二人は激突した
「オイィ!ちょっお前何してんの!?バカと煙は高いとこが好きにしたってテンション上がってはしゃぐにも限度があるだろ!!」
才花の下敷きにされた銀時が声を上げる
『失敬だな煙じゃないし。なんか急にナンパされてしまってさ。いやー困ったよ』
「バカってのを否定しろよ。てか屋根の上でナンパに合うとか何その怪奇現象。大体なァ男は狼って教えただろーが」
「誰がんなガキをナンパするか!!斬りかかって来た相手に対してどんだけポジティブ思考なんだ!」
『あ…あの人。爆弾の時いた』
大棟の上から二人を見下ろしツッコミを入れる土方を才花が指差す
「爆弾!?あ…お前あん時の」
「やっと思い出したか」
才花の爆弾という言葉を聞き池田屋で会った土方の事を銀時もようやく思い出した
「あれ以来どうにもお前のことがひっかかってた。あんな無茶する奴ァ真選組(うち)にもいないんでね」
「近藤さんを負かす奴がいるなんざ信じられなかったがてめーならありえない話でもねェ」
「近藤さん?」
「女とり合った仲なんだろ。そんなにイイ女なのか。俺にも紹介してくれよ」
そう話しながら土方は手にしてた鞘に入った刀を銀時に投げ渡す
「お前あのゴリラの知り合いかよ。…にしても何の真似だこりゃ…」
思わず受け取った銀時だが刀を渡されたワケが分からず土方に尋ねたその時……
ガキィィン!
突如として土方が斬りかかって来たため銀時は鞘から刀を抜く間もなく反射で納刀のまま斬撃を受け止めた
しかし受け止めたまでは良かったものの突然の奇襲に対して足元が甘く踏ん張りが効かなかった
ブァッ
「ぬをっ!!」
ガッ ガタ ゴト
「あだっ!!あだっ!!あだっ!!」
切り飛ばされた銀時は先程の才花と同様に背中から屋根に落ち瓦の上をゴロゴロ転がるが受け身を取り踏み止まった
「何しやがんだてめェ」
「ゴリラだろーがなァ真選組(オレたち)にとっちゃ大事な大将なんだよ」
ゆっくり歩いて近づいて来る土方の話す声と眼光は一際鋭い
「剣(こいつ)一本で一緒に真選組つくりあげてきた俺の戦友なんだよ」
そして手にする刀を目の前に掲げた
「誰にも俺達の真選組は汚させねェ。その道を遮るものがあるならば剣(こいつ)で……叩き斬るのみよォォ!!」
ガゴォン
叫び声と共に再び刀を振り下ろして来た土方だがその振り下ろした先に銀時はおらず土方の斬撃により屋根の瓦は砕け破片による土煙が立ち込める
「刃物プラプラふり回すんじゃねェェ!!」
ゴッ
そこへ素早く背後へ回り込んでいた銀時が声を上げながら土煙の中から飛び出しその飛び蹴りは土方の頭に直撃
体勢を崩し前から転がる土方だがその顔は不敵な笑みを浮かべていた