第七訓
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『勝負あり』
一方新八達とは反対に表情を全く崩すことなく冷静な才花が淡々と勝敗を告げた
「甘ェ…天津甘栗より甘ェ
敵から得物借りるなんざよォ~」
仰向けに倒れる男に嘲笑しながら近付く銀時
「厠で削っといた。
ブン回しただけで折れるようにな」
どうやら木刀の刀身が無くなったのは銀時による細工が原因だったようだ
「貴様ァそこまでやるか!」
「こんなことのために誰かが何かを失うのはバカげてるぜ。全て丸くおさめるにゃコイツが一番だろ」
「コレ…丸いか?…」
ガク
その言葉を最後に男は白目を剥き気を失った
「よォ~どうだいこの鮮やかな手ぐ…ちゃぶァ」
ドゴ
橋の上にいる新八と神楽の近くへ意気揚々とした様子で歩いて来る銀時だったが欄干を乗り越え飛び降りてきた二人に容赦無く踏み潰される
「あんなことまでして勝って嬉しいんですかこの卑怯者!!」
「見損なったヨ!!
侍の風上にも置けないネ!!」
「お前姉ちゃん護ってやったのにそりゃないんじゃないの!!」
さらに神楽から羽交い締めにされた上に新八からは蹴られるなどまさに踏んだり蹴ったり
「もう帰る。二度と私の前に現れないで」
「しばらく休暇もらいます」
ボコボコにされ完全に地面に伸びた銀時だが二人の怒りはまだ治ってはおらず倒れた銀時に辛辣な言葉を言い残し足早に去って行ってしまった
「フフ…(全て丸くねェ…)」
橋の上に一人残ったお妙はそんな銀時の姿を見て新八と神楽とは違い小さく笑っていた
「(でも何だかんだで。銀さんが一番泥かぶっちゃったわね)」
「(不器用な人…
でも私はちゃんと分かってますから)」
最後に橋の下の銀時を見つめた後お妙は優しく微笑むと背を向け去っていく
『…………』
そんなお妙の様子を橋の下から見ていた才花
『よっと』
乗っていた石の上から降りると地面に倒れた男の元へ向かう
『ふんどし仕舞わないと風邪引きますよー』
着流しがはだけ下半身が丸見えになっている男に助言をするが白目を剥いている彼に届くはずもなく気を失った男のそばに才花は預かっていた刀を置くとそのまま背を向け離れて行った
『あらまぁ…これじゃあどっちが勝者かわからないですなぁ』
そしてこれまた男と同じように地面に倒れている銀時の元へと近づいていく
ただ男とは違い銀時はうつ伏せで倒れておりまた下半身も白目も晒してはいない
『おーい生きてるー?』
「なんでこんなに惨めな気分?」
しゃがんだ才花に頭を突かれた銀時は起き上がりやつれ気味に呟く
『自分でそうなるように仕込んだんだからしょうがないね。自業自得』
「ちょっとひどくない?体張って頑張ったのにもう少し慰めてくれてもいいんじゃないの」
『痛いの痛いのー飛んでけー』
「お前に慰めるなんて高等な事を頼んだ俺がバカだったわ」
『やーいバカ』
「………」
ワザと嫌味を言ったつもりが全く効いてないどころか逆に嫌味で返され苦虫を噛み潰したような顔になる銀時
『さてと…帰りますかねぇ』
一方そんな銀時の様子など露知らずの才花も立ち上がると新八達同様いまだ地面に伏せったままの銀時を置いて背を向け歩き出していく
「ったく…何だよ。どいつもこいつも冷てぇ奴ばかっかでよォ……」
すっかりいじけてしまった銀時はようやく起き上がると着流しに付いた砂埃を払いながらボヤく
『そんなに拗ねない拗ねない。ゲロかぶっちゃったけど銀時の思った通り丸く収まったんだからさぁいいじゃないの』
「ゲロじゃなくて泥な。悪い方に話盛るのやめて」
『一昨日遅くまで飲んで帰ってきた銀時を介抱してあげてたのにゲロかぶったからつい』
「それ言うならその後俺はお前にボディーブローとアッパーカット食らって半日動けなくなったんだけど」
『痛み分けってことで丸く収まったじゃん』
「どこが痛み分けだ!分けるどころか俺しか食らってねぇだろーが!」
『一昨日も今日も一人泥かぶってエラいエラい』
「勝手に話まとめるな。全然上手くねぇんだよ」
終始銀時に突っ込まれつつものんびりした口調で話す才花は少し離れた所で落ちている折れた銀時の木刀の刀身を拾う
『まぁでもお妙はちゃんと分かってるよ』
シュッ パシッ
「………」
才花が投げ渡してきた木刀の刀身を受け取った銀時はどこかバツが悪そうな顔をして頬を掻く
『だから私にボディーブローとアッパーカット食らっても新八と神楽にフルボッコにされても大丈夫だよ』
「いやそれは全然大丈夫じゃねーよ」
―――⋯⋯
場所は変わり橋の上
お妙が去っていくのと入れ替わるように真選組副長ー土方が現れた
「オイオイ何の騒ぎだ?」
欄干に集まる人集りに気付き何事か尋ねる
「エエ女とり合って決闘らしいでさァ」
「女だァ?くだらねェ…どこのバカが…」
呆れたように呟きながら欄干に寄り橋の下に目を向けた土方
「あ」
だが次の瞬間視線の先にいる人物を見て唖然とする
「近藤局長…」
END