第七訓
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ある日の夜のスナックすまいる
新八の姉ーお妙が接客する男性客はひどく沈んだ様子で項垂れていた
「どーせ俺なんてケツ毛ボーボーだしさァ。女にモテるわけないんだよ」
「そんなことないですよ。男らしくて素敵じゃありませんか」
「じゃあきくけどさァもしお妙さんの彼氏がさァケツが毛だるまだったらどーするよ?」
「ケツ毛ごと愛します」
お妙のその言葉に男は目を見開く
「(菩薩…全ての不浄を包みこむ。まるで菩薩だ)」
たったそれだけで男はすっかり心を奪われた
――――⋯⋯⋯
「何ィィィ!!結婚申しこまれたって!?」
翌日恒道館道場に新八の叫び声が響く
「マジでございますか姉上!!」
「マジですよ。お店のお客さんに昨日突然ね」
居間で姉弟揃ってお茶を飲む中でお妙は昨夜の男性客からあの後求婚されたらしくその話をしていた
「で…何て?」
「フフ…勿論丁重にお断りしたけどびっくりしたわ~初めて会ったのにあんなにしつこく迫ってくるなんて。あんまりしつこいから鼻にストレートキメて逃げてきたの」
「そ…そーですか。…どんな人か僕も見たか…」
きれいな笑顔も崩すことなくさらっと暴力的な発言をするお妙に引き気味の新八が話しているとふと家の塀近くの電柱をよじ登る人影が目にとまる
「お妙さァァァん!!結婚してくれェェェ!!」
そう大声で叫ぶ人物はまさに丁度二人が話していた昨夜の男だった
昨夜お妙から食らったストレートパンチの後遺症なのか鼻には絆創膏が貼ってある
「一度や二度フラれたくらいじゃ俺は倒れんよ!!女はさァァ愛するより愛される方が幸せなんだよ!!って母ちゃんが言ってた」
「こらァァァ何やってんだ近所迷惑だ。降りてこいコノヤロー!!」
すると男の大声に近所の住人達だけでなくお巡りまで騒ぎを聞きつけやってきた
「お巡りさんおちつけェェ!!俺は泥棒は泥棒でも恋泥棒さ!!」
「何満ち足りた顔してんだ!!全然うまくねーんだよ!!降りてこい!!」
だがお巡りが来ても登った電柱にセミのごとくしがみついたまま降りてこない男
「お妙さァァん!!
顔だけでも出してくれないかな~!!」
懲りずに男が叫んでいるとお妙は重量感のありそうな灰皿を片手に持ちゆっくりと立ち上がると縁側に出てくる
「お妙さん!!」
ゴッ
「!!」
願いが届いたと笑顔になる男だったがその瞬間顔面にお妙が投げた灰皿が鈍い音を立て直撃
ドサッ
そのまま電柱から夏の終わりを迎えたセミのように地面へと落ちた
――――⋯⋯⋯
「よかったじゃねーか
嫁のもらい手があってよォ」
数日後志村姉弟はファミレスに銀時達を呼び相談しに来たがパフェを食べながら話を聞いた銀時の開口一番がこれだ
「帯刀してたってこたァ幕臣かなんかか?玉の輿じゃねーか。本性がバレないうちに籍入れとけ籍!」
「それどーゆー意味」
ガッ パリン
『わぁーお』
お妙はテーブルを跨ぎ銀時の頭を掴むとパフェのグラスに顔を叩きつける
銀時の隣に座り同様にパフェを食べていた才花は棒読みで一応驚きの声を上げておく
「最初はねそのうち諦めるだろうと思ってたいして気にしてなかったんだけど………気がついたらどこに行ってもあの男の姿がある事に気づいて。ああ異常だって」
ある時は八百屋で買い物中に商品に紛れていたり、またある時はタクシーに乗り移動していると隣を並走していたりとここしばらくのストーカー被害を話すが……
「ハイあと30秒」
「ハイハイラストスパート。噛まないで飲みこめ神楽。頼むぞ金持ってきてねーんだから」
『ファイトー』
「きーてんのアンタら!!」
肝心な銀時達は“ジャンボラーメン3分以内に食べれば食事代無料”に挑戦しており全く聞いていない
「んだよ。俺らにどーしろっての。仕事の依頼なら出すもん出してもらわにゃ」
「銀さん僕もう2か月給料もらってないんスけど。出るとこ出てもいいんですよ」
「ストーカーめェェ!!どこだァァァ!!成敗してくれるわっ!!」
新八のその言葉を聞くと突然手のひらを返すかのように依頼を引き受ける銀時
そんな銀時の姿を見て新八は「扱いやすい奴」と呟いていると
「なんだァァァ!!
やれるものならやってみろ!!」
「ホントにいたよ」
『あっ!やせいの
ストーカーが とびだしてきた!』
「才花ちゃんポケ◯ンみたいに言わないの」
客がいる近くのテーブル席の下から例の男が叫びながら当たり前のように出てきた
「ストーカーと呼ばれて出てくるとはバカな野郎だ。己がストーカーであることを認めたか?」
「人は皆愛を求め追い続けるストーカーよ」
ストーカーとまで呼ばれてもなお男は折れる様子は微塵もなくそれどころか堂々とさえしている
「ときに貴様。先程よりお妙さんと親しげに話しているが一体どーゆー関係だ。うらやましいこと山の如しだ」
「許嫁ですぅ。私この人と春に結婚するの」
咄嗟にそう嘘をついて諦めさせそうと作戦に出たお妙は微笑みながら銀時と腕を組みそう告げる
「そーなの?」
『おめでとー。幸せな家庭を築いて下さい』
ただ話の展開に付いていけてない銀時は才花に尋ね問われた才花の方は棒読みでベタな祝いの言葉と拍手を送る
「もうあんな事もこんな事もしちゃってるんです。だから私のことは諦めて」
「あ…あんな事もこんな事もそんな事もだとォォォォォ!!」
「いやそんな事はしてないですよ」
『あんな事もこんな事もそんな事も……じゃあ次はどんな事をするんだ!』
「だからそんな事はしてないしどんな事もしねーよ」
新八の冷静なツッコミが連続で決まった