第六訓
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「さぁ楽しもう!!L・O・V・Eお・つ・う!!L・O・V・E…」
『今がその大事な一瞬なの?』
体で「LOVE」を表しながらさらに熱が入る声援をお通へ送る男に才花が尋ねたが周りで同じように叫ぶ男達の喉太い声援にかき消された
「やってらんねェ。帰るぞ才花、神楽」
「えーもうちょっと見たいんきんたむし」
「影響されてんじゃねェェェ!!」
二人を連れて帰ろとするが神楽はすっかりアイドル寺門通の世界の影響を受けてしまった様子
『そーだよ神楽。何でもかんでもすぐに影響されるのは良くないと思ウーパールーパー』
「オメェもだよォォォ!!」
かと思えば神楽に続き才花までもすでに影響を受けており銀時のツッコミがダブルで決まる
「ほとんど宗教じみてやがるな。なんか空気があつくてくさい気がする」
『神楽の吐いたゲロも中々の臭さだったヨードチンキ』
「もういいつってんだろ。大体女の子がチンコなんて言うんじゃありません」
『一言も言ってない』
会場の出口を目指す二人が話しながら歩いていると客席のとある一角で青色の揃いの法被を着た数人の集団が目に入った
「「「L・O・V・E・お・つ・う」」」
「もっと大きい声で!!」
よく見ると声を揃えてお通へ声援を送る男達の前には木刀を持つどこか見覚えのある人物が立っており彼らへダメ出しを出している
「オイそこ何ボケッとしてんだ声張れェェ!!」
「すんません隊長ォォ!!」
「オイいつから隊長になったんだオメーは」
「俺は生まれた時から
お通ちゃんの親衛隊長だァァ!!」
その人物とは新八だった
「って…ギャアアアア銀さん!?才花ちゃんまで!?なんでこんな所に!?」
「こっちがききたいわ」
銀時と才花に気付いた新八はひどく驚く
「てめーこんな軟弱なもんに傾倒してやがってたとはてめーの姉ちゃんに何て謝ればいいんだ」
「僕が何しようと勝手だろ!!
ガキじゃねーんだよ!!」
『おぉ反抗期ですか隊長?』
三人が客席の間の階段で言い合っていると
「ちょっとそこのアナタ達」
喉太い男の声ばかりがする会場において珍しい女性の厳しい声が聞こえてきた
「ライブ中にフラフラ歩かないで下さい。他のお客様の御迷惑になります」
見ると三人がいる階段の上から眼鏡をかけた中年ぐらいの女性が降りてきた
「スンマセン。マネージャーさん俺が締め出しとくんで」
どうやらこの女性は寺門通のマネージャーのようで新八が敬礼しながらどこかイキったように言うと銀時がその後ろで「やってみろやコラ」と呟く
「あぁ親衛隊の方?お願いするわ。今日はあの娘の初ライブなんだから必ず成功させなくては…」
キリッと眼鏡を上げ言うマネージャーは新八達親衛隊がいるのとは反対側の客席から聞こえてくる声援にふと目を向ける
「L・O・V・E・お・つ・う!!
L・O・V・E・お・つ・う!!」
そこには最早目を血張らせながら叫び声援を送るあの男がいた
「………!!アナタ…?」
男を見た途端マネージャーは目を見開き呟くと男の方もそれに気づき振り向く
二人の間には暫しの沈黙が生まれたー
―――⋯⋯
騒がしかったライブ会場から場所を変え人気の少ない静かなエントランスに移動した女性マネージャーと男
「ーーそうかおめぇがお通のマネージャーやってたなんてな。親子二人でここまでのし上がったわけか。たいしたもんだ」
「アナタに言われても何も嬉しくないわ。今さらよく平然と顔出せたわね」
煙草を吸いながら外を見つめベンチに座る男とは目を合わせず話すマネージャーー⋯もといお通の母
「それにアナタまだ服役中じゃなかったの。なんでこんな所にいるのよ」
問いに男は何も言わないが元妻である彼女はすぐに察した
「あきれた…十三年前から何も成長してないのね。あなたが好き勝手生きるのは結構だけど私達親子のようにその陰で泣きを見る者がいるのを考えたことある?」
男はまたしても何も言わない
「消えてちょうだい。そして二度と私達の前に現れないで」
灰皿に煙草を捨てると背を向け歩き去りながらお通の母はさらに言う
「あの娘に嫌なこと思い出させないでちょうだい。父親が人殺しなんて」
一人ベンチに残されたまま男が項垂れていると隣からふとガムが差し出された
「ガム食べる?」
差し出してきたのは銀時でその奥隣には才花も座っており二人とも揃ってガムを噛んでいた
「んなガキみてーなもん食えるか」
「人生を楽しく生きるコツは童心を忘れねーことだよ」
『そーそー』
パン
『ふがっ』
大きな風船ガムを膨らませながら頷いていた才花だったが何故が銀時に風船を突かれ破れたガムが口周りにへばり付いてしまい小さくもがく
「まァ娘の晴れ舞台見るために脱獄なんざガキみてーなバカじゃないとできねーか?」
へばり付いたガムに苦戦する妹を横目に見ながらお通の父である男に尋ねる銀時
「………そんなんじゃねェバカヤロー。昔約束しちまったんだよ」
――――⋯⋯⋯
「ラ~~ラララ~」
「ワハハハハやっぱりお前も俺の娘だな。音痴にも程があるぞ」
小さな木箱の上に立ちしゃもじをマイク代わりにして歌う幼いお通に父は笑いながらからかう
「フン今に見てな。練習してうまくなっていつか絶対歌手になってやる!」
「お前が歌手になれるならキリギリスでも歌手になれるわ」
「うるさいわボケ!
なるっつったらなるって言ってんだろ」
「面白ぇじゃねーか。もしお前が歌手になれたらよォ百万本のバラもって俺がいの一番に見に行ってやるよ」
「絶対だな」
「あぁ約束だ」
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