第六訓
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ドカ
立派な門のすぐ横に下げられた“大江戸警察所”と大きく書かれた看板にひと蹴りかます銀時
「命張って爆弾処理してやったってのによォ三日間もとり調べなんざしやがって腐れポリ公」
「もういいじゃないですか。テロリストの嫌疑も晴れたことだし」
『カツ丼出なかったなぁ』
全てはあの戌威星大使館爆発に始まり桂に匿われた池田屋での真選組とのいざこざ、そして神楽が誤って作動させてしまった爆弾をどうにかこうにか処理した後銀時達だったが大使館爆発の件もありテロリスト疑惑で三日間の取り調べを受けていたのだ
「どーもスッキリしねェ。ションベンかけていこう」
「よっしゃ私ゲロ吐いちゃるよ」
「器の小さいテロすんじゃねェェ!!」
怒りが治らない銀時は腹いせにと警察所の門前でズボンのファスナーを下ろそうとしそれに乗った神楽は口の奥に指を突っ込むと新八が叫ぶ
『そうそう。どうせするならピンポンダッシュぐらいはしようよ』
「それも大して変わんねーよォ!」
「アンタらにかまってたら何回捕まってもキリないよ。僕先に帰ります。ちゃんと真っすぐ家帰れよバカトリオ!!」
そう言うと新八は銀時達を置いて先に帰って行ってしまった
「オイオイツッコミいなかったらこの漫画を原作沿いしてる小説成立しねーぞ。…しゃーねぇな今回は俺がツッコミでいくか。オイ才花あんまボケんなよ。ツッコむの面倒だからよォ」
『善処してみる。あと神楽がゲロ吐いた』
「オェ!」
ビチャビチャ
去っていく新八の背中を見送りながら呟いていた銀時だが才花の言葉を聞き足元を見ると本当に神楽がゲロを吐いていた
「おまっ…どこにゲロ吐いて…くさっ!!」
ピィイイ
「ん?」
神楽のゲロの臭さに銀時が顔を歪めて叫んでいるとついさっき銀時達が出てきた警察所から警笛の音が聞こえ同時に塀の屋根から一人の男が三人の目の前に飛び降りて来た
ズルッ
「!!」
ガン
「ゔえ゙!!」
裸足で見事着地したがその場所は不運にもたった今神楽がゲロを吐いた場所でそれに足を滑らせた男は後ろに倒れ後頭部を思いっきり地面にぶつける
「いだだだだだだ!!それにくさっ!!」
『ダブルで災難ですな』
痛む後頭部をおさえながら叫ぶ男に才花が声をかけているともう一度警笛音が聞こえ見ると数人の役人が門から飛び出てきた
「オイそいつ止めてくれ!!脱獄犯だくさっ!!」
どうやら塀から飛び降りて来た男はここの警察所に収容されていた囚人のようで今まさに脱獄しようとしているようだ
「はィ?」
「ちっ」
「!!」
事の展開に付いていけず役人の言葉に銀時が間の抜けた返事をしていると脱獄犯の男は咄嗟に近くにいた神楽を捕まえ人質に取る
「来るんじゃねェ!!このチャイナ娘がどーなってもいいのか」
「貴様!!」
「オイそこの白髪免許もってるか?」
「普通免許はもってっけど」
そう男に聞かれた銀時は神楽が人質取られているが特に焦ったり動揺などする様子もなく平然と答えた
――――⋯⋯⋯
ブロロロ
「なんでこ~なるの?」
『テロリスト容疑かけられて取り調べ受けた後にゲロ吐いたらこうなる』
あの後警察所のパトカーを一台拝借し男に指示されるがまま車を運転する銀時の問いに助手席に座る才花が答える
こんな事に巻き込んだ脱獄犯の男はというと後部座席に座っており人質の神楽は捕まったまま堂々と寝ていた
「…おじさーんこんな事してホント逃げ切れると思ってんの」
「いいから右曲がれ」
「今時脱獄完遂するなんざ宝クジの一等当てるより難しいって」
『そーそー。まだチョコボールで金のエンゼル当てる方が楽だよ』
「逃げ切るつもりなんてねェ…今日一日だ。今日一日自由になれればそれでいい」
何やら事情を抱えているらしい男の言葉を聞き後ろ目に見つめる銀時と才花
「特別な日なんだ今日は…」
―――⋯⋯
「みなさーん今日はお通のライブに来てくれてありがとうきびウンコ!」
「「とうきびウンコォォォ!!」」
マイクを持ちステージに立つサイドテールをした一人のアイドルのコールに男と神楽は同じようにレスポンスして叫ぶ
周りの客席には二人同様ノリノリで叫ぶ彼女のファンである男達が大勢いる
そんな中銀時と才花の二人だけはただ呆気に取られ茫然と立っていた
「今日はみんな浮世の事なんて忘れて楽しんでいってネクロマンサー!!」
「「「ネクロマンサー」」」
「じゃあ一曲目「お前の母ちゃん何人?」!!」
「…なんだよコレ」
『なんだろーねコレ』
「今人気沸騰中のアイドル
寺門通ちゃんの初ライブだ」
二人の問いに答える男
「てめェェェ人生を何だと思ってんだ!!」
ガゴン
その脳天に華麗なかかと落としを決めながら叫ぶ銀時
「アイドル如きのために脱獄だ?一時の享楽のために人生棒にふるつもりか。そんなんだからブタ箱にぶち込まれんだバカヤロー」
「一瞬で人生を棒にふった俺だからこそ人生には見落としてならない大事な一瞬があることを知ってるのさ」
『大事な一瞬……』
真剣な男の言葉にポツリと呟く才花