第三訓
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「気にしないネ。江戸の人皆そうアル。人に無関心。それ利口な生き方。お前らのよーなおせっかいの方が馬鹿ネ」
『………』
「でも私そんな馬鹿な方が好きヨ。お前は嫌いだけどな」
笑みを浮かべた少女は新八を見てそう言う
「アレ?
今標準語で辛辣な言葉が聞こえたよーな」
「私メガネ男嫌いなんだよね」
「オイぃぃキャラ変わってんぞ!!」
『これがいわゆる
ギャップ萌えっていうヤツですかい?』
「んなワケあるかァァ!こんなギャップ1ミリたりとも萌えねぇよ!!」
棒読みで感心したような声をあげる才花に突っ込む新八
そうしてる間に駅に電車がやって来る
「んだよもォ!!やってらんねーよここまでやったのに!!」
どこか納得のいかない様子の新八の隣で少女は入っていたゴミ箱から出ようとするが……
「!……アレ?」
「どーしたの?」
「ぬ…抜けないアル」
『あらら』
どうやらゴミ箱に無理して三人で入ったのが祟って抜けなくなってしまった
「エ?アレ」
「ウソッ!僕まで…ウソッ!!ヤベッ…泣きそっ」
新八も身を捩って出ようとしてみるが無理だった
『大変だー。脇腹掻きたくなったらどーしよ』
「そんな心配どーでもいいわ!!」
才花が的はずれな不安を呟いていると
プルルルル
「ヤバイ電車もう出る!!」
駅のホームに電車発車を知らせるベルが鳴る
「もういい転がれ!!」
ゴロゴロゴロゴロ
『うわー目ぇ回るぅ』
出るのを諦めひとまず体を倒し挟まったままゴミ箱ごと転がり電車へ駆け込む三人
ガッ
「「!?」」
『ん?』
だが三人の入ったゴミ箱の回転は誰かの足によって電車まであと少しのところで止められてしまう
「オイオイダメだよ~駆け込み乗車は危ないよ」
見るとそこにはアフロ程のボリュームのパンチパーマをした男がニヤリと笑みを浮かべゴミ箱に片足を乗せてこちらを見下ろしていた
その後ろには同じくパンチパーマの少女を追っていたヤクザ達が数人立っている
『あ、ご親切にどーも』
「ちょっ!才花ちゃん!そこお礼言うとこじゃないから!」
呑気に男へお礼を言う才花に突っ込む新八
「残念だったな神楽ぁ
もうちょっとで逃げれたのに」
「井上…!」
「何も言わずに逃げちゃうなんてつれないねェ。あんなによくしてやったのに」
少女ー神楽に井上と呼ばれた男は話す
その後ろで三人が乗るはずだった電車は虚しくも出発して行ってしまう
「金に困ってんじゃなかったの?いいのかィ?ふりかけご飯の生活に逆戻りだよ?」
「人傷つけてお金もらうもう御免ヨ。何食べてもおいしくないアル。いい汗かいて働く。ふりかけご飯もおいしくなるネ」
「戦うしか能のない蛮族がいうじゃないか。ええ夜兎族さんよ」
「夜兎族?」
『なにそれ暴走族?』
井上の言葉に首を傾げる新八と才花
「おやおや何も知らずにコイツに協力してたのかイ。おたくらも名前くらい聞いた事あるだろう?最強最悪の傭兵部族「夜兎」。姿形は人間と大差ないが驚異的な戦闘能力を誇り数多の星を潰してきたただ戦だけを嗜好する戦闘民族よ」
「お前は隠していたようだがその透けるような肌の色と傘が何よりの証拠。奴らは日の光を嫌い常に日傘を離さないというからな」
「薄っぺらい道義心で本能を拒絶したところで戦うお前は楽しそうだったぞ。お前の本能は血を求めてるんだよ神楽」
「違うネ!!私は…」
ドガッ
「「!!」」
『うぉ?』
神楽の言葉が続く前に井上は三人の入ったゴミ箱を蹴る
ドシャッ
「ぐふっ!!」
『いて…っ』
再び転がったゴミ箱はそのまま駅のホームへ落下してしまう
「戦えないお前に価値はない。サイナラ」
落ちた三人を見下ろし冷ややかに告げる井上
「ちょっ…ちょっと待てェ!!
おいぃぃ!!駅員さん!!」
ゴミ箱に挟まったままホームの線路の上に残された新八は慌てて助けを呼ぶが駅にいた客達はヤクザ達に恐れをなしてとっくにこの場から逃げ出しており人気はなかった
それどころか……
プァ――――
「!!」
遠くから汽笛が聞こえ見ると前方から電車がこちらへ迫っていた
「ウソぉぉぉ!!
漫画みたいなタイミングだ!!」
『へぇーあるんだねぇこーいうこと』
「言ってる場合かァァ!!ちょっ助けてェ!!」
「フンあばよ」
ホーム上を見上げて助けを求めるも井上達は無情にも去って行く