大事な大事な
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「忍くんッ!」
バシャバシャと靴の中に水が入っても、シャツや髪が肌に張り付いていても気にせず走った。
「…あ。」
やっと追いついて駆け寄る。振り返った忍くんは力なく俺の名前を言った。
その表情が弱々しくて泣きそうで 。
「何やってるの。」
自分が着ていたブレザーを忍くんの頭の上にはためかせ、傘代わりにした。できるだけ落ち着いて声をかけた。本当は心配で焦ってる。
「冬雅殿が、濡れ…」
「俺は大丈夫。それよりも、忍くんの方がびしょ濡れだよ。」
顔を歪ませて下を向く。言葉を待っている間も痛いと思うほど雨が降り続ける。
「…冬雅殿の手裏剣、なくして、」
忍くんの声は雨の音に負けていた。耳を澄ませて一つ一つ言葉を拾っていく。
「探しても、ない、でござる。」
「ずっと探してた?」
小さく頷いた。
あんなものをいつから。宝物と言ったって、たかが紙。いつでも誰でも作れるようなもの。
「…ごめんなさい。」
鼻を啜る音が聞こえてハッとした。忍くんの体が冷えきってしまっている。
忍くんが体調崩すのはダメだ。
「忍くん、温かいもの飲みたいね。」
抱き締めて頭を撫でる。俺も忍くんも冷たい。
「冬雅殿、」
「謝らなくていいよ。」
「で、でも…」
「いいのいいの。」
ぎゅうぎゅう腕に力を入れ頭に顔を埋めた。なぜか俺も泣きそうだ。
慰め方も知らないのか俺は。本当に情けない。
「家、帰ろう。」
ブレザーを肩にかけて忍くんの右手を取る。心の中でごめん、と謝って手を引いた。俺の家が近くて良かった。よたよたと歩く忍くんには申し訳ないが、早く体を暖めてほしい。
忍くんは冷たくて意味もない俺のブレザーを離さなかった。
バシャバシャと靴の中に水が入っても、シャツや髪が肌に張り付いていても気にせず走った。
「…あ。」
やっと追いついて駆け寄る。振り返った忍くんは力なく俺の名前を言った。
その表情が弱々しくて泣きそうで 。
「何やってるの。」
自分が着ていたブレザーを忍くんの頭の上にはためかせ、傘代わりにした。できるだけ落ち着いて声をかけた。本当は心配で焦ってる。
「冬雅殿が、濡れ…」
「俺は大丈夫。それよりも、忍くんの方がびしょ濡れだよ。」
顔を歪ませて下を向く。言葉を待っている間も痛いと思うほど雨が降り続ける。
「…冬雅殿の手裏剣、なくして、」
忍くんの声は雨の音に負けていた。耳を澄ませて一つ一つ言葉を拾っていく。
「探しても、ない、でござる。」
「ずっと探してた?」
小さく頷いた。
あんなものをいつから。宝物と言ったって、たかが紙。いつでも誰でも作れるようなもの。
「…ごめんなさい。」
鼻を啜る音が聞こえてハッとした。忍くんの体が冷えきってしまっている。
忍くんが体調崩すのはダメだ。
「忍くん、温かいもの飲みたいね。」
抱き締めて頭を撫でる。俺も忍くんも冷たい。
「冬雅殿、」
「謝らなくていいよ。」
「で、でも…」
「いいのいいの。」
ぎゅうぎゅう腕に力を入れ頭に顔を埋めた。なぜか俺も泣きそうだ。
慰め方も知らないのか俺は。本当に情けない。
「家、帰ろう。」
ブレザーを肩にかけて忍くんの右手を取る。心の中でごめん、と謝って手を引いた。俺の家が近くて良かった。よたよたと歩く忍くんには申し訳ないが、早く体を暖めてほしい。
忍くんは冷たくて意味もない俺のブレザーを離さなかった。