今日は何やら外が騒がしい。

「お店の前で高校生が喧嘩してるみたいよ。」

常連さんが窓を覗いている。

「本当ですか？」

「えぇ。…これじゃあお店にも入れないし、私も出れないじゃない。」

迷惑そうな表情だ。うーん、そうだよね。

「俺、行ってきます。」

大丈夫なの、と心配そうな声が聞こえたけど無視した。人が入ってこないのは苦しいし。あまり大事にはしたくないけど。


「ねぇ、喧嘩は他所でやってくれないかな。」

高校生達に声をかける。同じ制服が３人。１人だけ制服が違う。もしかして３対１？

「アンタ…」

緑の制服を着た人と目が合った。

「あ、君。」

「あぁ？誰だテメェ。」

３人が睨みながら近づいてくる。

「…店の前で喧嘩されるとさ、困るんだよね。」

少し離れたところで人が集まってきた。

…やばいな。下手に動くと。

「テメェにはカンケーねぇだろ！」

全然話聞いてくれない。

「うん、まぁ関係ないけど周りの人やお客さんが迷惑してるんだ。」

なるべく言葉を選ぶ。うむ。面倒な奴らだ。

「なに、テメェが俺らの相手してくれんの？」

「キレーな顔ぶっ潰してやろーか？」

ぎゃはは、と大きな笑い声が響く。

「テメェら黙って聞いてりゃ…」

緑の制服を着た人が呟いた。君が今キレたら意味無いって。


…あーもう。



「うるっせぇな。早くおうち帰ってママに可愛がってもらえよ。」

目障りだ、と付け加える。

「…は。」

「っクソが！」

短気すぎ。

「唾飛ばすな汚ぇ。」

飛んできた拳を手の平で受け止め掴む。そのまま外側に捻ると相手の顔が歪んだ。

「…あ、痛い？ごめんね。」

手を離した途端３人は舌打ちをして走って行った。

とりあえず一件落着らしい。

「…あの。」

背中から声がかかる。


「どうしよう。やっちゃったよ兵頭くん…」

「は。」