佐久間咲也【えすり】
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夢を見た。湊さんが手を離す夢。オレが手を伸ばしてもどんどん離れていく湊さん。お願い行かないで
「…咲也。」
頭上で優しいあの人の声が聞こえた気がする。この声、好き。安心する。これも夢かな。匂いも温もりもずっとこのままでいれるなら目を覚ましたくない。さっきの夢、もう見ない気がする。
「咲也、起きて。」
「ん、…?」
「やっと起きた。おはよう。」
「…え。」
目の前には呼吸音と一緒に上下動く胸板。恐る恐る見上げると湊さんの顔。あの匂い。
「っうわぁ!?」
飛び起きて壁に背中をつける。膝を曲げ壁伝いにベッドの隅に行く。天井がこれより低かったら頭をぶつけていただろう。湊さんも身体を起こして首を傾げた。
「咲也?」
「…なんで、」
ここに来たんですか
そう伝えると湊さんは目を見開いた。湊さんと目を合わせられなくて咄嗟に下を向く。自然と口が開いた。
「か、彼女さんとのデート、は…」
「何言ってるの。」
怒りに似た声色に肩が震える。自分でも何言ってるかわかってない。影が俺を覆い、近くに寄ってきたことがわかる。
怖い。湊さんに嫌われるのがすごく怖い。一年前に出会って、恋を知って、二ヶ月前に初めてキスをして。どんどん欲張りになっていく自分が嫌だ。
「オレ、全然平気ですよ!だから、早く彼女さんのとこっ…」
笑って湊さんを見上げる。気持ちと言葉が反対で。
「おいバカ。」
「うっ…」
ぺしっと軽くだけど頭を叩かれた。そのまま頭を労るように撫でる手に視界がぼやけてくる。
「なんか勘違いしてるぞ。彼女ってもしかして今日店で話してた女のことか?見たの?」
「ごめん、なさい。」
「あーいいよ。咲也に隠すような事じゃないから。」
優しい手つきで目の下を撫でた。そこでやっとオレが泣いていることに気づく。湊さんはゆっくりと口を開いた。
「ただの幼なじみ。前に一度俺が書いた脚本を演じてくれたやつ。そいつがさ、結婚するんだと。」
「え、あ…」
「しかもその相手俺の慕ってた先輩だよ?なんか嬉しくてさ。咲也は見えなかっただろうけど、しっかり左手の薬指に指輪ついてた。多分俺への見せつけ。」
ストンと何かが落ちて身体が軽くなった。更に出てくる涙は止めたくても止められない。
「ここの監督さんから連絡きたんだ。咲也の様子がおかしいって。もう話中断してきちゃった。」
楽しそうに笑う湊さんにオレは焦る。大事な時間を、
「ご、めんなさ…!」
オレが言い切る前に湊さんに手を引かれ、腕の中に収まった。
「もう謝ったらダメ。もともと詳しく説明しなかった俺が悪いし。ごめんね。」
「いえ、そんな…」
「もっと何でも言っていいのに。恋人だよね、俺たち。違う?そう思ってたの俺だけ?」
「…あ、」
違わない、オレも
額に唇を落とされ、涙がいくらか引っ込む。黒い感情ももうない。湊さんにぎゅってされるとこんなに安心するんだ。
「ま、俺は嬉しいけど。初めてヤキモチ妬いてくれて。」
「やきもちっ…?!」
「ははっ、好きだよ。」
「お、オレだって!大好き…わっ、わぁっ?!」
「…咲也。」
頭上で優しいあの人の声が聞こえた気がする。この声、好き。安心する。これも夢かな。匂いも温もりもずっとこのままでいれるなら目を覚ましたくない。さっきの夢、もう見ない気がする。
「咲也、起きて。」
「ん、…?」
「やっと起きた。おはよう。」
「…え。」
目の前には呼吸音と一緒に上下動く胸板。恐る恐る見上げると湊さんの顔。あの匂い。
「っうわぁ!?」
飛び起きて壁に背中をつける。膝を曲げ壁伝いにベッドの隅に行く。天井がこれより低かったら頭をぶつけていただろう。湊さんも身体を起こして首を傾げた。
「咲也?」
「…なんで、」
ここに来たんですか
そう伝えると湊さんは目を見開いた。湊さんと目を合わせられなくて咄嗟に下を向く。自然と口が開いた。
「か、彼女さんとのデート、は…」
「何言ってるの。」
怒りに似た声色に肩が震える。自分でも何言ってるかわかってない。影が俺を覆い、近くに寄ってきたことがわかる。
怖い。湊さんに嫌われるのがすごく怖い。一年前に出会って、恋を知って、二ヶ月前に初めてキスをして。どんどん欲張りになっていく自分が嫌だ。
「オレ、全然平気ですよ!だから、早く彼女さんのとこっ…」
笑って湊さんを見上げる。気持ちと言葉が反対で。
「おいバカ。」
「うっ…」
ぺしっと軽くだけど頭を叩かれた。そのまま頭を労るように撫でる手に視界がぼやけてくる。
「なんか勘違いしてるぞ。彼女ってもしかして今日店で話してた女のことか?見たの?」
「ごめん、なさい。」
「あーいいよ。咲也に隠すような事じゃないから。」
優しい手つきで目の下を撫でた。そこでやっとオレが泣いていることに気づく。湊さんはゆっくりと口を開いた。
「ただの幼なじみ。前に一度俺が書いた脚本を演じてくれたやつ。そいつがさ、結婚するんだと。」
「え、あ…」
「しかもその相手俺の慕ってた先輩だよ?なんか嬉しくてさ。咲也は見えなかっただろうけど、しっかり左手の薬指に指輪ついてた。多分俺への見せつけ。」
ストンと何かが落ちて身体が軽くなった。更に出てくる涙は止めたくても止められない。
「ここの監督さんから連絡きたんだ。咲也の様子がおかしいって。もう話中断してきちゃった。」
楽しそうに笑う湊さんにオレは焦る。大事な時間を、
「ご、めんなさ…!」
オレが言い切る前に湊さんに手を引かれ、腕の中に収まった。
「もう謝ったらダメ。もともと詳しく説明しなかった俺が悪いし。ごめんね。」
「いえ、そんな…」
「もっと何でも言っていいのに。恋人だよね、俺たち。違う?そう思ってたの俺だけ?」
「…あ、」
違わない、オレも
額に唇を落とされ、涙がいくらか引っ込む。黒い感情ももうない。湊さんにぎゅってされるとこんなに安心するんだ。
「ま、俺は嬉しいけど。初めてヤキモチ妬いてくれて。」
「やきもちっ…?!」
「ははっ、好きだよ。」
「お、オレだって!大好き…わっ、わぁっ?!」