「ちょっとー、早くしてよ。鍵閉めれないじゃん。」

「え！あ…」

部活が終わって薄暗くなった外。更衣室で考え事をしていたらあっという間にみんな帰ってしまった。痺れを切らした泉ちんが仁王立ちで怒っている。

ハッと意識を戻して下しか着替えていないことに気づく。ここまでぼーっとしてたとは思わなくて急いで制服に着替えた。

「ねぇ。何考え込んでたの。」

まさか泉ちんが聞いてくるなんて。晃輔の疲れを癒すために何が出来るか考えてましたーって言えばなんて思うかな。絶対呆れる。でも心配してくれたからアドバイスとか…




「はぁ…聞いた俺が馬鹿だった。」

「やっぱりそうなるよなぁ…」

晃輔って言った途端顔顰めた。おれと晃輔との関係はなぜかみんなが知っている。先生までも。

「そんなことで悩んでさぁ、アンタが1番わかってるでしょ。」

…そう言われればそうかもしれない。おれが1番晃輔のことを理解していたいしわかっているつもり、なんだけど…

ウソだ、ぜんっぜん思いつかない。

だいたい、おれが晃輔に甘やかされることがほとんどだ。落ち込んだり、疲れ切っていたりすると晃輔は言葉で励ましてくれる。おれが不貞腐れても悲しくても優しく抱きしめてくれる。

そう考えると、おれ何もできてない。

「どどどどうしよう！？おれ恋人失格だ…！」

「はぁっ？！どう考えたらそういう方向に行くのよ？！」