しばらく浮かんでいてそろそろ上がろうかなと身体を起こした。足は地に着かずふよふよと浮いている。

なずな、まだ話してるとか。

「喉乾いた。何か飲み物買ってくるね。」

「うむ。我も行く。」

蓮巳はとっくに海から出てパラソル下のビーチチェアに座っていた。俺と神崎くんはひたすら泳いでた。

だいぶ時間が経ったけど、時間を忘れて日焼け止めクリーム塗り忘れることはしてないよね…なずなはすぐ赤くなるから心配だ。

水面をかき分けて足が着きそうな所まで泳ぐ。

すると前からすごいスピードで走ってくる人が1人。


「晃輔ーっ！！」

「…え？」

ドッパーンッ、と盛大な水飛沫。俺の上にできる影。同時に降ってきたなずな。

「晃輔殿？！」

なずなを身体全体で受け止めて2人で海に沈む。怪我させないように腰と頭に手を置き、ぐっと引き寄せた。ぶくぶくと泡が地上へと上がっていく。

突然の出来事で頭がついていかない。なずなが空から…

「っぷはぁ！」

「ゲホッゲホ…」

やばい、海水口の中入った。しょっぱい。それよりも。

「なずな！危ないだろ…っ！」

なずなの肩を掴んで身体を離す。もし怪我でもしたら。そう考えるだけでゾッとする。

「…晃輔、」

「あんな危険な真似二度とするな…！」

海の中でなずなを力いっぱい抱きしめた。いくら身体能力が高いからって、ふざけてやったからといって、俺、本当に心臓止まるかと思ったんだからな。

なずな、わかって。俺はなずなが大切なんだよ。

「ごめん、なさい。」

なずなが弱々しく背中に手を回した。

「俺こそ怒鳴ってごめん。」

「……。」

腕を首に回させ持ち上げる。黙って抱っこされているなずなは肩に頭を乗せた。そのまま歩き出して蓮巳がいる所に向かう。

「首と肩、赤くなってる。日焼け止め塗らなかったの？」

「ん。」

「持ってきたパーカーは…もちろん着てないよね。」

「ん。」

やっぱり。太陽の光がよく当たるところが真っ赤になっている。痛々しい。早く俺が気づいて注意するべきだったな。

「大丈夫か。」

「なずな日焼けしちゃったみたい。」

鬼龍が心配してた。蓮巳達に一言声をかける。静かになったなずなを抱えて帰る支度をした。