夢主の名前を決めて下さい。
11. 守りたいもの
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
20分後。
王城シェナザードにて。
「お待ちしていました、白雪殿、ミシャ殿」
出迎えに来た、ラジ王子の側近・サカキを前に、白雪とミシャは並んで背筋を伸ばし、オビはその一歩後ろに控えた。
「ラジ王子の元へご案内致します。どうぞこちらへ」
サカキは踵を返して歩き出す。
その後を、3人もついていった。
白雪は緊張からか、唇をきゅっと引き結ぶ。
ミシャはそれを横目にチラリと見て、そっと白雪の背中に手を伸ばした。
"ポンポン…"
「!」
白雪はビクッと肩を揺らし、ミシャを見た。
ミシャはニヤリと笑みを浮かべて、横目に白雪を見上げる。
白雪は数回まばたきを繰り返すと、ふっと表情を緩めた。
少し、緊張が和らいだようだ。
オビは2人のやりとりを、後ろから微笑ましく眺めていた。
"ガチャ、ギイイィィィ……"
荘厳な装飾の施された扉が、開く。
部屋の奥に、ラジ王子が立っているのが見えた。
周囲に、大臣や使用人と思しき人々が何人も立っている。
「遠いところ、よく来てくれた。再び会えて嬉しく思う。白雪殿、ミシャ殿」
(…あれ?)
白雪は何か違和感を覚えながらも、練習してきた通りに、挨拶を返した。
「お招き頂きまして光栄です、王子」
白雪が頭を下げるのに倣い、ミシャとオビも頭を下げた。
ラジはキリっとした顔で微笑を浮かべ、こちらを見ている。
(ラジ王子って、こんな感じだっけ…?)
「うむ、やはりこんな所では話をするにも落ち着かんな。別の部屋で茶でも飲むとしようか。…サカキ、ミシャ殿には別途話があるのだろう?」
「はい」
「では白雪殿、こちらへ。ついて参られよ」
「は、はいっ」
ラジが別室へと歩き出す。
白雪とオビはその後を追った。
…3人が遠のくと、サカキはフっと小さく息をつく。
ミシャは微笑を作って言った。
「頑張っておられましたね、ラジ王子」
サカキも微笑を作って返す。
「お気づきでしたか」
「私の聴力はご存知でしょう。微かな息遣いから、心中の動揺を察することも可能です」
「流石ですね」
「今回は、笛の奏法の指南のため、私をお招き下さったとのことですが」
「はい。明日より夜会までの5日間、宜しくお願い致します。詳細は夕食後、宮廷楽団長が説明致しますので」
「承知致しました」
「長旅でお疲れでしょう。すぐにお部屋へご案内致します。夕食までは、ごゆっくりお休みください」
「お気遣い、感謝致します」
ミシャが丁寧に頭を下げると、女中が1人歩み寄ってきた。
ミシャはその女中に従い、城内の部屋へと向かった。
ところ変わって、ラジと白雪とオビの居る部屋では…
「下がって良い」
「失礼致します」
お茶を運んできた女中が去り、3人だけになるところだった。
ラジは紅茶を一口飲む。
「白雪殿」
「あ、はいっ」
「……何故来た」
「……え?」
白雪が唖然として見ると、ラジの顔色は真っ青になっていた。
「ラジ王子、先程までと様子が…」
何だか、クラリネスで見た時と同じ様子に戻っている。
「他の者たちが居る前で、君に会うのにあれ以上どうしろというのだ…」
「夜会に招待して頂いたと聞いていますが」
「…そうだ。礼をしようと思い呼んだのだ。クラリネスの城で、君に世話になったという気になった。…何故かはよく分からん」
そこに、ミシャと話し終えたサカキが合流した。
「と、このように、いつまでも煮え切らない様子なので、私共が気を利かせてみたというわけです」
「煮え切らんとは何だ! 私は考えているところだったのだ!」
「ちょうど、ミシャ殿をお招きしたいと考えておりましたので、ならば御一緒にと。お1人でいらっしゃるより、心強いかと思いまして」
「そうなんですか…。お気遣い頂き、ありがとうございます。…あの、ミシャは今どこに…」
「既にお部屋にご案内しております」
「そうですか」
ラジはチラリと、白雪の後方へ目を向けた。
「ところで、その者は? 初めて見るが」
「あ、クラリネスから共に参りました」
オビは丁寧に頭を下げ、いつもとは違う恭しい声の調子で挨拶をした。
「お初にお目にかかります、王子。この度、我が主・ゼン殿下より、白雪殿の道中護衛役兼付き人を任されております、オビと申します」
「ゴホッ」
ラジは思わず紅茶を吹いた。
「…白雪殿」
「は、はい、何でしょう」
「ゼン殿は、今回の招致に何か言っておられたか? 私に伝言などは…」
「いえ、特に何も」
「そ、そうか…」
サカキが無表情のまま、サラリと言う。
「そうですラジ王子、白雪殿の滞在中は、出来る限り一緒におられては?」
「なっ!?」
「何を驚いておられるのです。あなたがお呼びしたのですから、あなたがもてなさなければ」
サカキに向いていたラジと白雪の視線が、互いにかち合った。
ラジは0.2秒で顔を逸らす。
そして、苦々しそうに額に手を置いた。
「…何故 何も言わないのだ。君にとっていい話か、これは」
白雪は数回まばたきを繰り返し、ふっと表情を緩める。
「分かりません。私は、ラジ王子と長く一緒に居たことがありませんので。…ですが、二度と無い機会だとも思います」
「…そうだろうな」
「では、ラジ王子」
「?」
「一緒にいてみませんか?」
「な……っ」
思わず呆けた、ラジ。
代わって、サカキが答えた。
「勿論です」
「待たんか! ……ん、ゴホン」
ラジは、サカキが返事をしたせいだ、と言いたげな面持ちで立ち上がった。
「白雪殿がどうしてもと言うのならば、仕方ない。私も歓迎するとしよう」
白雪は苦笑いを浮かべる。
「今日は長旅で疲れているだろう。部屋で休むといい。案内させる」
「はい、ありがとうございます」