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9. 共に歩む決意
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―――数日後。
明け方。
"コン、コンコン…"
「?」
白雪は、何かが窓を叩く音で目を覚ました。
寝ぼけ眼でカーテンを開けると…
「オビ!?」
何ごとかと、慌てて窓を開ける。
「やぁ、おはようお嬢さん。もうすぐ夜明けだよ?」
「え、な、何、どうかしたの?」
「へ~、ここの宿舎って、部屋こんな感じなんだね~」
「人の話を聞いてっ」
「お嬢さん、今日非番だよね?」
「え? うん…」
「ちょっと付き合ってほしいんだけど。準備出来たら、城の入り口まで来てくれる?」
「え、用件は何なの?」
「そんじゃ。俺ミシャも起こしに行かないといけないから」
「ちょ、オビ!?」
白雪に有無を言わせず、オビは行ってしまった。
ところ変わって、ミシャの部屋の窓。
"コツコツ"
「ミシャ~、起きてるか~? …って、んなわけないけど」
元々夜ふかしが多めで、朝は弱い。
"シャッ……ガチャ…"
「ん~……
ミシャは目を閉じたまま、カーテンを開けて窓を開けた。
「おはよ~」
「んん……」
ミシャは、のそのそと布団の中へ戻る。
「え、あれ、ちょっと?」
「まだ、日も……昇って、にゃ……」
言いかけて、眠りに落ちた。
「あらら…」
オビは部屋の中に入り、相変わらず置物だらけの床を器用に通り抜けて、ベッド横にしゃがむ。
横向きで丸まったミシャの肩は、規則正しく上下していた。
あどけなく無防備な寝顔が、そこに在る。
「……」
オビは指の背で、そっとミシャの頬に触れてみた。
…しかし、ミシャは起きない。
(こういうのには敏感なんじゃないのか?)
オビは苦笑しながら、指先でミシャの頬を撫で始める。
もっちりしていて滑らかで、見た目通り子供のような肌だ。
「おーい、ミシャー」
「……んぅ…」
「起ーきろー」
「……んん…」
「……あんまり無防備にしてると…」
オビは親指で、ミシャの唇をなぞり、耳元で囁いた。
「襲うよ」
「!」
吐息が耳にかかってくすぐったかったのか、ミシャはびくっと肩を揺らし、目を開いた。
オビはニヤリと口角を上げる。
「よし、起きたな?」
ミシャは慌てふためき飛び起きた。
「んにゃっ、
「何って、起こしに来たんだけど?」
「
「だって、ミシャが自分から窓開けたくせにまた寝るから」
「んにゃとぉ!?」
ミシャは開かれた窓を振り返り、あんぐりと口を開けた。
どうやら、さっきまでのことは何も覚えていないらしい。
オビはその頭にポンと手を乗せる。
「主が呼んでるよ? 俺、部屋の前で待ってるから。早く支度しておいで」
そう言うと、一旦部屋の外へ出ていった。
ところ変わって、城の入り口付近。
「遅いぞ、お前ら」
オビがミシャを連れてやって来ると、ゼン、白雪、ミツヒデ、木々が待っていた。
「いや~ミシャがなかなか起きなくて」
「…いつか後ろから刺してやるにゃ」
「はいはい悪かったって」
朝から通常運転なオビに、ゼンがつかつかと詰め寄る。
「オビ」
「え、はい、何すか?」
「お前、窓から白雪を起こしたそうだな」
「そうですけど?」
「何が"そうですけど"だぁ?」
「いだだだだっ」
ミツヒデが半目でため息をつく。
「お前、非常識だぞ…」
「だってその方が早いじゃないですかぁ」
木々が苦笑しながら、機嫌の悪そうなミシャに訊いた。
「ミシャも窓から起こされた?」
「窓どころじゃにゃーよ。起きたら目の前に居た」
ゼンがため息をついて、締め上げていたオビを離す。
「ったくお前は…」
「あはは~」
今日は珍しく、6人全員の休みが合う日。
そこで、みんなでどこかへ遠出しようという話になったのだ。
"ガラガラガラ…"
馬車に揺られながら、白雪が笑う。
「なんかいいなぁ、こういうの」
白雪の笑顔に、ゼンも頬を緩めた。
「そうだな。…しかし、何でオビとミシャは馬なんだ?」
馬車の少し後ろで、馬が一頭、オビとミシャを乗せて駆けている。
木々が答えた。
「オビは、馬車が性に合わないからって言ってたけど」
「どんな性だよ…」
「ミシャは、乗り物に酔いやすいからね。馬車も船も苦手だよ。馬だけは酔わないんだって」
白雪が何かを思い出すように、視線を巡らせる。
「そういえば、耳の器官が敏感ですもんね」
ミツヒデが苦笑した。
「しかしミシャの奴、朝はオビに怒ってたくせに、もう機嫌直ったのか?」
木々がわずかに口角を上げる。
「本気では怒ってなかったってことでしょ。……そもそも、ミシャが寝てる間に部屋に入るなんて、ほぼ不可能だよ。それが出来たってことは、オビはそれだけ信頼されてるってことなんじゃない?」
4人は、2人が乗っている馬を見た。
オビがミシャを抱えるようにして乗り、手綱を握っている。
オビがミシャの耳元で何かを言うと、ミシャは笑ったり、ムっとしたり、赤面したり…
2人の様子に、4人は思わず微笑んでいた。