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8. ユリスの鳥
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というわけで、白雪は薬草採集をしながら、少女・キハルの話を聞くことになった。
その間、ミシャとオビは、キハルの愛鳥であるポポと戯れる。
"ピュ~~イッ"
ミシャが指笛を吹くと、ポポは宙を旋回する。
「すげぇ、回った」
「オビもやってみ?」
"ピ~~イッ"
「……あれ?」
「にゃから音程違うって」
「分かんねぇよ…」
「しっかし、よく訓練されてるにゃあ。山の鳥じゃあこうはいかにゃーったから」
「やっぱ鳥使いだったんじゃん」
「違うにゃ。ミーはただ、おいしそうにゃ鳥を鳴き声マネて呼び寄せてたにゃけ」
「あぁ、狩りの一環か」
「そういうこと」
"ピュイッ、ピュイッ、ピュイッ"
ミシャが再び指笛を吹くと、ポポは花を1輪くわえてきて、オビの頭の上にとまり、花を乗せた。
「にゃははっ、似合う似合う」
「あのなぁ…」
そこに、話を終えたのか、キハルと白雪がやってくる。
「あなた、ミシャ、だっけ? ホントにすごいわね。私たちは笛の吹き方だけでも何年も訓練するのに」
「吹き方によって、鳥が
「えぇ」
「それ、笛の削り方の問題じゃにゃー? 吹き方で音程が変わっちゃうから、鳥も迷っちゃうんにゃよ」
「え?」
「ちょっと見して」
キハルはミシャに笛を見せた。
「ん~……ちょっと削ってもいい? 悪いようにはしにゃーからさ?」
「えっ、それは困るわ! その笛が壊れたら、二度とポポを呼べなくなるもの!」
「それもそっか…。…あ、じゃあ、まだ穴の開いてにゃー胡桃石とか、持ってたりしにゃー?」
「それはあるけど…。胡桃石は、石によって音が違うから、同じように削っても、同じ音は出ないわよ?」
「その辺は聞きながら調節するんにゃよ」
ミシャは、ちょうだい、と手を差し出した。
キハルは半信半疑で、鞄から胡桃石を幾つか取り出し、渡す。
「殿下に謁見するときに、見せる機会があるかと思って持ってきたんだけど…」
ミシャは石を1つ1つ爪で弾き、音を聞いていった。
「ん、これが一番近い音にゃね。穴開けても大丈夫?」
「えぇ。構わないわ。加工前の胡桃石なら、沢山あるから」
「んじゃ、試作してみよ~う!」
ミシャは自分のウエストポーチから、金属の道具らしきものを幾つか取り出した。
ゼンや白雪にあげた、角の笛を作るときの道具だ。
作業を始めると、キハルがその手元を覗き込む。
「慣れてるのね。笛とか作るの?」
「うん。雪ちゃんが持ってるやつ」
白雪は、首にさげた笛を、キハルに見せた。
「これを吹くと、ミシャが来てくれるの」
「へぇ、綺麗…。動物の角で作ってある」
「あ、そうにゃ。雪ちゃん」
「うん?」
「その笛、穴を半分塞いで吹いてみにゃ?」
「えっと、こう?」
白雪は指先で穴を押さえ、笛に息を吹き込んだ。
いつも通り、音は鳴らない。
…しかし。
"バサッ"
ポポが白雪の頭にとまった。
「わわっ」
キハルは目を見開く。
「うそっ、今、何も音してなかったのに…」
「にゃはは。普通、人には聞こえにゃー高さにゃからね。でも、ハルちゃんの持ってる笛と同じ、5つの音が
「5つの音?」
「その胡桃石の笛、吹くと5つの音が同時に
「そ、そうなの? 1つにしか聞こえないんだけど…」
「……そっか、それが普通か…。胡桃石は、複数の音が同時に
白雪はミシャに貰った笛を見た。
「そうだったんだ…」
ミシャは、話しながら削っていた胡桃石を、試しに吹く。
削っては吹き、また削っては吹き、何度か微調整を繰り返した。
「…よーし、こんにゃもん?」
出来上がった笛は、キハルの笛とは少し形が違っていた。
「んじゃ、いっくよ~?」
"ピュイィーーーッ"
ミシャが作った笛は、キハルの笛と同じ音が鳴った。
ポポは大きく旋回したあと、ミシャの腕にとまる。
キハルは目を見開いた。
「うそ…。違う石で作った笛なのに、ポポが反応してる…」
「そりゃあ、同じ音
「あなた何者…」
「宮廷楽師」
「城の音楽家って凄いのね。その笛なら、吹き方の訓練をしなくても、誰でもポポを飛ばせるわ」
「この笛、持ってく?」
「いいの!?」
「ミーは持ってても仕方にゃーし。この笛はポポちゃん専用にゃから」
「今度、うちの村に来てよ! みんなの分も作ってくれない!?」
「んー……長期で休みもらえたらにゃあ」
途端、キハルは表情に影を落とした。
「…そうよね。あなた、城の人だものね」
キハルはポポを腕にとまらせたまま、どこかへ歩き出した。
白雪は眉根を下げてその後を追おうとする。
「キハルっ「お嬢さん」
オビが、白雪を制した。
白雪は、その理由を察し、キハルを追うことを諦める。
「…何とか、してあげられないのかな」
「まぁ、あの鳥がよほど有益なものでない限り、無理だろうねぇ」
「胡桃石も、そんにゃ高価じゃにゃーし、魚の群れを見つけられるってだけじゃ、弱いにゃ」
「…うーん」
白雪はその日1日、何か方法は無いかと悩んでいた。