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7. 雨
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その頃。
「雨あがりますかね、リュウ」
「…たぶん。向こうの空が明るいから」
「おお、確かに…」
白雪は今日も朝から、薬剤師見習いの仕事に励んでいた。
そこに…
"コンコン"
「失礼~!」
ノックの音と、聞き覚えのある声が響いてくる。
「あ、はい!」
白雪は小走りで出迎えた。
"ガララッ"
「どう……ぞ?」
扉を開けて、目を見開く。
「やぁ、お嬢さん」
「仕事中に悪いね、白雪」
そこに居たのは、満面の笑みを浮かべるオビと、無表情の木々。
「何だか、初めて見る組み合わせ…」
「いやいや、俺と木々嬢は、2人仲良く見張り番したこともある仲さ」
「記憶にない」
「ありゃ…」
2人は薬室内にお邪魔した。
木々が白雪にオビのことを説明する。
「ゼンが、しばらくコイツを白雪のところに置いてくれって」
「え!?」
「薬室長は?」
「あ、はい、こちらに…」
木々は薬室長の元へ赴くと、ゼンから預かった書状を渡した。
「……ふむ、なるほど。殿下の意向なら、こちらは構いません。男手は邪魔になりませんしね」
「宜しく頼みます。…それから、ミシャも諜報の仕事がないときは、出来るだけこちらに来させたいとのことですが、そちらも宜しいですか?」
「えぇ、構いませんよ。ミシャの鼻は、薬剤調合に重宝しますからね。本人は嫌がるでしょうけど」
「宜しくお願いします」
「はい。承りました」
ガラクの了承を得ると、木々は白雪を振り返った。
「それじゃ、白雪の判断で追い返してもいいから、ひとまず宜しく」
「えっ、あの」
"ガラララ……ピシャン"
「木々さん!?」
木々は有無を言わせず、行ってしまった。
白雪はどうしたものかと固まる。
オビは笑顔を作って傍に寄った。
「とりあえず、自己紹介いる? オビです。偽名もあります。あとはいろいろ秘密です」
「は、はぁ…」
「はははっ、信用ならないよね! まぁ、あとはお嬢さんの判断に任せるから」
「それが一番困るんだけどなぁ…」
とりあえず、オビは白雪の傍に置かれることとなった。
…とはいえ。
「1つで足りますかね…」
「いや、足りん。2つだ」
「すみません、リュウ、さっきの品番、糖衣コートどうしましょう」
「…あぁ、アレね」
薬学知識のないオビには、何が何だか分からない。
ぶっちゃけ、暇だった。
「暇そうだねぇ、オビ君」
「ん、薬室長」
ぼうっと突っ立っていると、ガラクが声を掛けてきた。
「君は以前、ミシャと一緒にここに来たことがあったね」
「あ~…ミシャが薬貰いに来たときに」
「そのときは、ミシャの監視下にあると聞いた気がするけど、一体どういう経緯で?」
「ん~、まぁ、ミシャが俺1人に構ってられるほど、暇じゃなかったってことですよ」
「なるほどね。…ところで、今日はミシャに会った?」
「いーえ? ミシャは雨の日は部屋に籠るそうですし」
「そうなんだよ。…ってわけで、コレ、ミシャに届けてきてくれるかな?」
ガラクはオビに、薬の袋を渡した。
「確か、今日の分で終わるんだよ、ミシャの薬。今日もし部屋から出てこなかったら、明日の朝に困るでしょ?」
「確かに」
「んじゃ、ヨロシク~」
「はーい」
オビは、忙しく動いている白雪をチラリと見て、今は護衛は必要ないと思い至り、ミシャの部屋へ向かった。