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5. 従者お試し期間
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3日後。
北方までやって来たゼン・ミツヒデ・木々・オビは、白雪をラクスドへ続く道まで送り届け、砦へと向かった。
雪に囲まれ、凛々しく建つ石の外壁。
ゼンと木々が、並んで見上げた。
「…さて、着いたはいいが」
「見張りの姿が見えないね」
ミツヒデが声を張る。
「おーい! 誰か居ないのか! 近衛兵団の者だが!」
…すると、外壁の小窓が開いた。
「あっ、お、お待ちを!」
"カコン……ドゴッ"
「あいたっ」
"バキッ、ゴロゴロッ、ガシャ~ンッ"
何かにつまずいたりぶつかったり。
色んな音をさせながら、少年が1人、走り出てきた。
「はぁっ、はぁっ、み、ミツヒデ殿っ、木々殿! で、殿下までっ」
「ここへ送った使者が帰らなくてな。迎えに来たんだ」
「だ、ダメです! ここに居ては殿下までっ」
「主~!」
外壁の上から、オビが降ってきた。
ボスっと雪の上に着地する。
「砦の中で、みんな寝てますよ?」
「寝てる?」
少年は青ざめた。
「こっ、この者はいったい…」
オビはにんまりと、満面の笑みを浮かべる。
「主の従者ですよ」
ゼンは半目でため息をついた。
「まだお試し期間だがな。…邪魔するぞ」
「いっ、いけません殿下! この砦の中には魔物が!」
「魔物?」
4人は砦の中へ入った。
すると、一番大きな部屋で、兵士たちが全員寝込んでいる。
「…原因は分かりませんが、20日程前から、皆次々に体の異常を訴え出したんです。体が重いとか、目の前が暗いとか…。多くが平衡感覚を失っているようで、治療士も皆を診ているうちに倒れました。使いの方も、何か手掛かりをと一晩留まられて、それで…」
「お前は平気なのか?」
「自分は皆ほどではないんです。…しかし、とても雪道を下れる状態ではなく…」
ミツヒデが頷いた。
「なるほど、それで連絡が途絶えたわけか」
ゼンは砦の廊下を歩き出す。
「中を少し見させてもらうぞ」
「えっ、いえ、しかし! 殿下にまで何かあっては…」
「それでは意味がないからな。無理はしないさ。お前は休め。今まで、よく堪えていてくれた」
言って、ゼンは少年の頭に手を乗せる。
「っ……はい!」
4人は砦内を見回り始めた。
木々が最初に忠告しておく。
「ゼン、日没前には出て貰うよ?」
「日没…か。ミツヒデは外で見張りに立ってくれ。全員が中にいるのは避けたい」
「了解」
オビは頬を引きつらせた。
(普通は主が外だろ…)
そして、冗談交じりに笑って言う。
「なんかの病だったら、お手上げですよね」
「それがどこから起きたか分かれば、手ぶらで戻るよりまだいいんだがな」
見張りに立ったミツヒデを除いて、ゼン、木々、オビの3人は、砦を
食糧庫や物置、兵士たちの部屋まで。
「ここは武器庫か」
"ギィィ…"
「あれ、鍵が開いてる…」
「主、ないっすよ、中身」
「これは…」
3人は、一旦屋上へ上がった。
ミツヒデと合流し、これからの動向を決めるためだ。
「お、戻ってきたな、ゼン。何か分かったのか?」
「いいや。この中では何も。訓練場は、すぐには調べられないな。雪掻きもされていないから…。ただ、武器庫がカラになっていた」
「武器庫? 何でまた…」
オビが屋上の縁に飛び乗る。
「見習いの少年君も、ついさっき初めて知ったそうですよ。鉤爪の痕らしきものもあったし、兵が倒れてるこの隙を狙われたんでしょう」
オビは懐から武器を取り出した。
「盗賊退治に切り替えますか? そっちなら得意分野だ」
「仕舞え、アホ」
"得意分野"という言葉で、木々は
「白雪を応援に呼んだらどう?」
「…白雪を?」
「あの子なら、兵たちの身に何が起きてるか分かるかもしれない。すぐそこの街に居るわけだし」
ゼンは口角を上げた。
「そうしよう。ここを助けることが先決だ。ミツヒデ!」
「あぁ!」
白雪を迎えに行くべく、ミツヒデは砦の階段を駆け下りていった。