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第四巻
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「う~~ん、太ったよなァ……」
ある日の終業間際。
閻魔大王は、OFFにしてある浄玻璃鏡で、自分の姿を見ていた。
「今日、仕事終わりにジムにでも行こうかなぁ」
その呟きを聞いた鬼灯は、巻物整理をしていた手を止めた。
「ジム……」
脳内で、ひょろりと細長くなった閻魔を思い描く。
「いいですね! 行きましょう!」
「ぇえっ!? いい予感が一つもしないんだけど!?」
「そうと決まれば、ダイエットメニューは私に任せて下さい」
「ちょっと待って! 自主的にやるからさ! ねぇちょっと! 聞いてる!?」
閻魔は有無も言わせてもらえず、鬼灯に引きずられていった。
"ガンッ!"
「はい、あと100回!」
「ひぇぇぇぇぇっ!」
ジムに来て早々、鬼灯はどこからか竹刀を持ち出してきて、閻魔に無茶なメニューをやらせ始めた。
「
「ネタが古い! あと200回!」
「増えたァ!?」
傍では、ランニングマシーンで走っていたシロが、息を切らせて寝転ぶ。
「へぁ~、コレきっつい……」
鬼灯の鋭い眼差しが、横目にシロを捉えた。
「シロさん、へばるのが早すぎますよ?」
「うぎっ……」
「あと10kmは走りなさい!」
「ひぁっ、はいぃぃ!!」
鬼灯はため息をひとつつき、閻魔に向けて、何かを投げ渡す。
「はい、次は縄跳び1000回です」
"ドゴッ"
「お、重っ!?」
「鉛やイリジウムが入っていますから、当然です」
「激しすぎる運動は逆に良くないんじゃないの!?」
「2000回の方がよろしいですか?」
「ひっ、せ、1000回でいいよ!」
閻魔は青い顔で、せっせと縄跳びを回し始めた。
「あ~、しかし、何でこんなに太るんだろうなァ。なるべくコーラじゃなくて、カロリーゼロのジュースにしてるんだけど……」
「おやつに供物の菓子、デザートにケーキ、風呂上がりにアイスを食べているからじゃないですか?」
「うっ……」
「好きなものを全てやめろとまでは言いませんが、その分 米を減らすとか、何かしらの具体策を講じないと、脂肪は減りませんよ」
「くっそぉ、淡々と正論言いやがって。今、全国の女子が素知らぬ顔してるぞ?」
「あとは酒ですよ、酒。大酒かっくらうのをやめない限り、腹は出続けますよ」
「チクショー! 今度は全国のお父さんがドキっと来てるぞぉ!」
「ちなみに、1kgを亡者の脂肪で表すと、だいたいこのくらいです」
言って、鬼灯は粘土の山のようなものを取り出した。
「うぐっ……け、結構凄いんだね……」
「こういうのが、貴方の体にまんべんなくべっとりと「やめろォ! 聞きたくない!」
閻魔とシロは、一緒に腹筋マシーンに乗る。
そして腹筋を始めると……
「お、何だよ、こんなとこに居たのか」
ジムの戸口から、ひょこっと椿が覗いた。
鬼灯が振り向いてまばたきを繰り返す。
「おや、どうしました? 今日は残業になるようなことはなかったはずですが……」
「それがそうもいかなくなったんだよ。……つーか、お前らこそ何してんだ?」
「大王のダイエットにつき合っているところです」
「だいえっと? 何だそりゃ」
「痩せようとすることです」
「ふーん」
痩せようと思ったことなど一度もなさそうな椿に、閻魔は呆れ顔をした。
「いいよねぇ、キミたちみたいに太りにくい体質の人はさァ。椿ちゃんなんて、わしよりも食べてるのに全然太らないし、鬼灯君だって、それ、大食らいの体型じゃないでしょ」
「何の努力もしてないみたいに言わないでくださいよ。椿さんは体質かもしれませんが、私は運動量が違います」
「そうかなぁ」
「私は常に運動しているんです。大王を持ち上げたり、投げたり、戯れたり……その積み重ねの賜物です」
「太る一方のわしは、キミの体型維持に一役買ってたわけ!?」
「ほらほら、腹筋が止まってますよ! 700回追加!」
「ひぇぇぇぇっ!」
「……で? 椿さんの用件は?」
「ん、あぁ、そうだ。これなんだけどよ……」
椿は持ってきた資料を、鬼灯に見せた。
……そうして、仕事の話を始める姿を、偶然にもジムに居合わせていたお香が、密かに見つめる。
(あんな体型に、なってみたいわね……)
お香の視線の先には、露出された椿の腹部。
無駄な脂肪が全くなく、うっすらと腹筋の線が入っている。
二の腕や太腿も、適度に筋肉質で、無駄な肉付きは全くなかった。
お香は小さくため息をつき、鏡を振り返る。
「何だか、全然痩せないわね……」
その呟きを聞いた、唐瓜。
お香がジムに来るのを知って、偶然を装ってついてきていたのだ。
「痩せることないっスよ! お香姐さんは、今が一番キレイです!」
「あら、唐瓜ちゃん。ありがとう」
「あ、あの、ですから、もしよければ、俺と団子でも「唐瓜っ、唐瓜~っ」
「先日見つけた、みたらし団子の美味い店がありまし「からうり~っ!!」
「何だようるせぇな!」
茄子の声に邪魔されて、不機嫌MAXな声で振り向いてみれば……
「た、助けてっ……」
茄子は、100kgのバーベルを持ち上げ、よろよろと唐瓜の方へ近づいていた。
「こっ、この状態から動けなくなった……」
「ぅぉおああっ!? 馬鹿! そっと降ろせばいいだろうが!」
「今 力抜くとガッキーンてなる!」
「ンなこと言ったって他にやりようねぇだろ!」
ギャアギャアと騒がしくなり始めた室内。
鬼灯に仕事の相談をしていた椿は、眉をひそめて舌打ちした。
「おい、誰だ騒いでんのは!」
その声で、唐瓜は鬼灯と椿に気づき、涙目で助けを求める。
「たっ、助けて下さい! 鬼灯様! 椿様!」
椿は状況を察し、ため息混じりに近寄った。
「降ろせなくなるくらいなら、最初から持ち上げんじゃねぇよ」
言って、茄子が持っていたバーベルを、片手で持つ。
途端、茄子は体が軽くなって、まばたきを繰り返した。
「お? あれ?」
「ほら、さっさと手ぇ離せ」
茄子は両手を離し、半信半疑で振り返る。
椿は顔色一つ変えずに、バーベルを元の場所へ戻しに行った。
茄子と唐瓜は、揃って唖然とする。
「椿様すっげぇ……」
「あの細腕のどこにそんな力が……」
バーベルを戻した椿は、鬼灯の元へ戻った。
「んじゃ、さっき話した通りで進めといていいか?」
「えぇ、お願いします。……本当に手伝わなくて大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ねぇよ。お前ここんとこ残業続きだったんだから、今日くらい早めに休んどけ。んじゃな」
「はい。お疲れ様です」
椿はひらひらと手を振り、ジムから出ていった。
……その後、ダイエットのために閻魔たちが八寒地獄に迷い込み、翌日の裁判が遅れることになるなんて、誰も予想していなかった。
→ ##B4_1061529_955157:28,中国現世に妖怪が広まった訳##