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第四巻
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いつものように、よく晴れた桃源郷。
『うさぎ漢方 極楽満月』は、今日も朝から通常通り営業していた。
「ふ~んふっふふ~ん」
カウンターテーブルで、何やら楽し気に作業している白澤。
傍の水道で、桃太郎は調合に使った器を洗っていた。
「何してるんスか? 白澤様」
「ん~? 週末の学会の資料作り~」
「学会?」
「東洋医学の研究発表会みたいなものだよ」
「へぇ~、そんなのあるんスか」
桃太郎は水道の栓を閉めて、手を拭き拭き近寄った。
作業中の白澤の手元を覗き込む。
そして……
(……何だコレ)
描かれていた絵に固まった。
文章の合間に、ミミズが這っているような絵が、ちょこちょこ描かれている。
「ただいまですよ~」
戸口の方で声がした。
振り返れば、兎姿の薺が、白兎たちを連れて店に入ってくる。
朝の日課の薬草摘みから戻ったようだ。
「あ、おかえりなさい」
「おかえり~薺ちゃん」
「ただいまです! ……資料づくりですか?」
「うん」
ご機嫌に鼻歌まで歌いながら、絵の続きを描いていく白澤。
薺は手を洗うため、人の姿になって、水道に立った。
それを見計らい、桃太郎が耳元で訊く。
「あの~……白澤様の絵って……」
薺は桃太郎の疑問を察し、苦笑する。
「……見ちゃいました?」
「資料の挿絵、あれで大丈夫なんですか?」
「あ、ははは……あとでこっそり、修正版を描いて配布しますから」
「……それ、最初から薺さんが描けばいいんじゃないですか?」
「いえ、白澤さまの研究ですから、一度はああして描いていただかないと、白澤さまのお伝えしたいものがわからないので……」
「なるほど……。それにしても、云百年も描き続けてあれですか?」
「いえ、白澤さまはすでに、1億4千万年ほど過ごしておられますから……」
「どんだけ芸術の才能に嫌われてるんスか……」
桃太郎が引き気味に白澤を見ると、未だ、上機嫌で挿絵を描き続けていた……
ところ変わって、地獄、閻魔殿。
昼休憩の時間、鬼灯は閻魔と共に、閻魔殿の城壁の前に立っていた。
「ここの壁画も、随分とボロボロになったもんだねぇ」
「200年程前に、綺麗な絵を描いてもらったんですがね」
鬼灯が壁に触れると、ボロボロと乾いた絵の具が落ちる。
鬼灯は自分の手をチラリと見下ろし、隣の閻魔の服にこすりつけた。
「やはり外ですし、熱風や雨による剥落は、仕方ないですね」
「……キミねぇ、何事も無いようにワシの服で拭かないでよ」
「こう、飛び出すような……インパクトある絵で、壁を塗り直したいですよね」
「もう一度、この絵を描いた人に頼むの?」
「いえ、それは難しいかと。見つけ出して連れてくるまでに、絵が完全に消えてしまいます」
「……誰、その幻のポケ●ン級の画家」
「とにかく、面白そうな画家を探しておきます」
それから、数日。
鬼灯は仕事の合間に、絵画やデザイン方面の著名人を探した。
しかし、誰もかれも、技術はあるが、いまいち面白みに欠ける。
鬼灯としては、もっとこう、奇才の塊のような存在に出会いたい。
どうしたものかと、昼休みに閻魔殿の裏を歩きながら考える。
「―――前は―――から――なんだよ」
「―――が―――だからさぁ」
どこからか、声が聞こえてきた。
見渡せば、傍の土手で、唐瓜と茄子が休憩している。
茄子の手には、筆と画板があった。
「茄子さん」
鬼灯が声を掛けると、茄子は勿論、唐瓜も振り返る。
「あ、鬼灯様」
「お疲れ様ですー!」
「お疲れ様です。……スケッチですか?」
「そうです!」
「ちょっと見せて頂いても?」
「どうぞどうぞ!」
鬼灯は茄子から、画板を受け取った。
「……」
てっきり、目の前の針山の絵を描いているものと思っていたが、画板の中では、黒々とした様々な生き物がうごめいている。
「何故ここの景色のパースをとりながら、この絵を……」
「見てたら浮かびました! これはシュールレアリスムを基盤に、昨今の金欲主義への警鐘と、肉欲への皮肉を織り交ぜた地獄絵です」
「凄まじい脳内変換……」
唐瓜が助言するように言った。
「茄子って昔から、結構コンクールとか入選してたんですよ」
「そうだったんですか。それは知りませんでした」
「でも、受賞の言葉とかは全っ然ダメで……落ち着きも無いですし……」
「俺、式とか会とか苦手」
「けど俺、コイツの絵とか彫刻って、好きなんです。コイツの部屋凄いっすよ? ゴチャゴチャしてて」
「彫刻もやるんですか?」
「やりますよ! 何でも好き!」
「宜しければ、他の作品も見せて頂けませんか? 確か茄子さん、お住まいはここの寮でしたよね?」
「いいですよ!」
「では、仕事終わりにお邪魔します」
「ワ~イ! 鬼灯様が俺ん家に遊びに来る!」
(家庭訪問に浮かれる小学一年生……)