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第三巻
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それは、ある日の昼休みだった。
「あ~……疲れるなぁ……」
大量の書類に囲まれ、閻魔は裁判の間の机で
傍では鬼灯が、記録課へ戻すための巻物を整理している。
「ねぇ鬼灯君、肩でも揉んでよ」
「嫌です」
「そんな即答!? ……じゃあ腰でも揉んでよ。最近あちこち痛いんだよね」
「折っていいなら揉みますけど?」
「いいわけないでしょう!?」
「その体型が原因じゃないですか?」
「うん? あ~~……そうかもなぁ。肥満は疾患に繋がりやs"グキッ"
「ぎゃあああああっ!」
「おや、どうしました? 大王」
「こっ、腰がぁぁっ! ヤバイよコレ! ぎっくり腰かも! ちょっと医者呼んで鬼灯君!」
「……」
「え、あれ、鬼灯君……?」
閻魔は、見下ろしてくる鬼灯の背後に、真っ黒なオーラを見た気がした。
「かっ、完全に"どう料理してくれよう"って目ぇしなすってる! 旅人を一晩泊めるときの
「今日は近くの医者が休みですから。とりあえず昼休みの間は安静にしましょう」
(むっ、むむむむ
裁判の間の中央で、うつ伏せに寝かされた閻魔。
青ざめて震える地獄のトップを尻目に、鬼灯は鍼治療の本を開く。
「……なるほど。大体理解しました」
パタン、と本が閉じられる。
「なっ、大体じゃ困るよ! しかも何っ、君が治療するの!? 鍼をやるならプロ! 白澤君か薺ちゃんを呼んでよ!」
「薺さんはともかく、あの偶蹄類を呼ぶのは嫌です。それなら、自分で失敗した方がマシだ」
「ワシがマシじゃないよ!」
「任せなさい。いいから任せなさい」
「し、信頼できるとかできないとか以前に、それ鍼じゃなくてスポークでしょぉぉ!」
鍼とは言い難い太さの長物を構えられ、絶体絶命の閻魔。
何かこの闇鬼神を止めるものは無いかと辺りを見渡すと、モコモコと動く白いものが目に留まった。
「はっ、し、シロちゃん!」
動くモコモコは、ご機嫌に歌を歌いながら歩いている。
「う~っらのはったけ~でポッチがなく~。しょ~じき じいさん ほったれば~、お~ぉば~ん こ~ぉば~ん~が、ざっくざく~」
「ねぇ! シロちゃんてばぁ!」
「ざっくざく~」
「シロちゃああぁぁん!!」
「ざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっくざっく」
「……シロちゃん、小判、出すぎ……」
「この歌さぁ、何で"ポチ"なの? 白い犬には"シロ"が最良でしょ?」
鬼灯は、構えていたスポークを下げる。
「……まぁ、確かに花咲か爺さんの犬は白いですが」
(た、助かった……)
「ん、あれ? 閻魔様? 何してんの?」
そこへ、ルリオと柿助、椿が合流する。
「あれ? 閻魔様?」
「どうしたんですか、こんな所で」
「二人とも食堂来ねぇと思ったら、何やってんだ?」
どうやら、不喜処トリオと椿は、一緒に昼食を摂っていたようだ。
「床で寝るって気持ちいいよね!」
あっけらかんと言うシロに、柿助が呆れ顔を向ける。
「大王は犬じゃねぇよ……」
鬼灯は手中でスポークを弄びながら答えた。
「ぎっくり腰で動けないのです」
「そう、困ってるんだ……」
椿が笑う。
「ぎっくり腰? はははっ、その体型のせいじゃね?」
「あ~。あの腰が痛いやつですか……」
「アレ、犬もなるんだよ? 痛いよね~」
「えーと、腰痛に効くのは確か……温めるのと、ハリと、あとは圧をかけるとか……」
言いながら、柿助はどよんと沈んでいく。
「……全部俺の死因だ」
ルリオは呆れ顔を向け、シロは笑った。
「お前の中でそれ、相当トラウマなんだな」
「あははっ、どうでもいいけど、栗に蜂に臼って、何回見てもスーパーマ●オの敵キャラだよね~」
「未だに思うんだ……アイツらどんな交友関係なんだって……」
「柿助は600年前、カニへの罪滅ぼしで、神獣として桃太郎のお供になったんだよ」
「へぇ~、それは結構シビアな話だねぇ……アイタタタタ……っ」
「それはそうと、腰が痛いのは辛いですね」
ルリオがバサバサっと羽ばたいて、閻魔の腰の上に乗る。
「おっ、あったかい! とりあえず気持ちいいや~……」
「なんか、卵温めてる親鳥みたいだね」
「はぁ~……今のところ、不喜処のアニマルセラピーが一番効く……」
椿が鬼灯に訊いた。
「医者は?」
「近くは休診日なんです」
「んじゃ、極楽満月に電話すりゃいいじゃねぇか。出張やってくれてんだろ? 今は桃太郎もいるから、どっちか出張しても店は回せるだろうし」
「……薺さんと桃太郎さんはともかく、あの白豚の声は聞きたくありませんから」
「んじゃあたしが電話してやるから、番号教えろ」
「……」
「お前、大王で遊びたいだけじゃねぇか?」
「……」
鬼灯は黙ったまま懐からメモを取り出すと、サラサラと番号を書いて、ずいっと椿に差し出した。
椿は笑って、メモを受け取りつつ鬼灯の頭をポンと叩く。
「気持ちは分からなくねぇけど、ほどほどにしてやれよ、はははっ」
ところ変わって、桃源郷の漢方薬局『極楽満月』。
今日も変わらず、三人で営業中だ。
「おまたせしました~!
「ふふっ、ありがとう薺ちゃん」
「すこしでも肩のこりに改善がみられたら、ごれんらくくださいね!」
「はぁい。またよろしくね?」
「おだいじに~!」
薬を買いに来た鬼女を、薺は店の出入り口まで丁寧に見送る。
と、そのとき……
"ジリリリリン"
店の電話が鳴った。
近くにいた白澤が受話器を取る。
「喂々、毎度ありがとうございます。『うさぎ漢方 極楽満月』でございまーす」
『よぉ、白澤か?』
「おっ、その声は椿ちゃ~ん。電話掛けてきたの初めてだね。怎么了(どうしたの)?」
『大王がぎっくり腰でさぁ。近くの医者休みだし、鬼灯は大王で遊ぶし。手ぇ空いてたらお前か薺、どっちか来てくんねぇか?』
「ははっ、そりゃ大変だ。オッケー。今日はそんなに忙しくないから大丈夫だよ。ちょうど椿ちゃんに会いたがってたから、薺ちゃんに行ってもらうね」
『そっか。そりゃちょうどよかった。悪いが頼む』
「
ガチャっと受話器を戻して、白澤は薺の方を振り返る。
「薺ちゃ、ぅおっ!?」
呼ぼうとした彼女は、真後ろにいた。
輝く琥珀色の瞳が、まっすぐに白澤を見上げる。
「出張診療ですね! おはなしはすべて聞いてました!」
白澤は笑みを浮かべて、薺の頭に手を乗せた。
「それじゃ、お願いできるかな」
「もちろんです!」
薺は出張用の鞄を肩に斜め掛けすると、喜び勇んで店を飛び出した。
「転ばないように気をつけるんだよ~!」
「は~い! いってきま~す! ……っとと」
言った傍からコケそうになり、それでも走っていく薺を、白澤は呆れたような笑みで見送る。
「薺さん、ホントに椿さんのこと好きっすよね」
桃太郎が薬を作りながら言った。
「ん~? まぁねぇ。あの子の人生を変えた人だから。ずーっと昔、いつか椿ちゃんみたいな大人になりたいって言ってたよ」
「へぇ~。……んー、でも、薺さんが椿さんみたいになったら、ちょっと……」
性格も雰囲気もほとんど逆だ。
「はははっ、別に真似しようとしてたわけじゃないさ。椿ちゃんのあの器量と度量に憧れて―――」
急に白澤が黙ってしまい、桃太郎は首を傾げる。
「……? あの、白澤様?」
そのとき、白澤の頭は急速に回転していた。
(そういえばここ最近、特に椿ちゃんが閻魔庁に上がってから、薺ちゃん、さらにやる気に満ち溢れてるような……。……そりゃ確かに、どん底から掬い上げてくれた恩人なんだろうけど、あの感じはどっちかっていうと……)
「……こ、恋する乙女っ?」
表情をコロコロ変える白澤。
桃太郎は眉を顰めた。
「あのー、大丈夫っすか?」
「
「んなっ、はぁっ!? 店どうすんスか! ちょっとぉ!!」
白澤は桃太郎に有無を言わせず、店を飛び出していった。