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第二巻
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"パシャッ、パシャッ"
「は~い撮影終了、お疲れさまで~す!」
数週間後から始まる、仙桃キャンペーンのポスターの撮影で、アイドルのピーチ・マキは、桃源郷に来ていた。
「ふう……」
撮影に使用していた
そこに……
「お疲れ様~、かわいいポスターになるといいねぇ」
「お疲れさまでございます!」
白澤と薺がやってきた。
今回の撮影場所は、白澤の私有地なのだ。
マキはアイドルらしく笑顔を向けた。
「あっ、どうも~! 撮影協力ありがとうございます!」
「いやいや。よかったら薬膳でも食べてかな~い?」
「えっ、食べたーい!」
「ふふふ~っ……まぁ、僕は食べたいものが違うわけだけど」
白澤は満面の笑みでマキの手を握る。
「ぇ、ぇえ? 何この人……逆に
薺が苦笑しながら、さりげなく白澤の手からマキの手を解放する。
「ダメですよ白澤さま、マキさん困っていらっしゃいます」
そして、極楽満月の方を指しながら歩き出した。
「さぁどうぞ、こちらです! ちょうどきのう旬のやさいが収穫できたのです! 健康にもお肌にもいい薬膳をおつくりしますよ!」
「わぁっ、ありがとうございます~!」
マキは嬉しそうに手を合わせ、薺の後をついていく。
白澤はちょっと残念そうに苦笑しながら、二人の後を追った。
数日後。
地獄内某所、猫又社。
"タタタタッ……バンッ!"
「小判! この顔だけ野郎!」
週刊『三途の川』の編集室に入るなり叫んだのは、マキ。
手には最新号が握られている。
「何よこれ! 変なこと書くなってあれほど言ったろうが!」
開かれたページには、『ほんのりフルーツ清純派マキちゃん・男は常に3人!?』のフレーズ。
「テメェ、三味線にしてやろうか、ぁあ? 何とか言えこのゲスライター!」
"バサッ"
一匹の猫又の前に、雑誌が放り投げられる。
猫又は前足を合わせ、目を潤ませた。
「ごめんニャさい……」
「!」
マキは思わず「かわいいっ」と叫びそうになったが、我に返って頭を振った。
ため息をついて、猫又に問う。
「……ねぇ、アンタにとってアタシって何?」
「モンプチ?」
「餌かよ……。言っとくけどね、ピーチ・マキはバリバリの清純派で売ってんのよ!?」
「いーじゃねぇのさァ、アンタみてぇな新人は、良くも悪くも話題にならにゃぁ。読者だって馬鹿じゃにゃーで、ゴシップにゃんぞ本気で信じてる奴ァいねぇよ。話題になるだけマシってもんにゃぃ」
「話題によるわっ!」
「ピーチ・マキって芸名も、ある意味話題になってんぜ~?」
「くそ~っ、アンタから得たモンなんて、肉球と毛の感触くらいよ!」
「けっこう満喫してたじゃねぇか」
「金輪際あたしに近づくな!」
「別にイイよ~。芸能人のゴシップもマンネリだしにゃ~」
「あっそ!」
"バタンッ!"
マキは扉を乱暴に閉めて去っていった。
「……」
小判はおやつの鰹節を手に取り、何の気なしにテレビを見る。
『現世のネット犯罪増加に伴い、地獄法の改正については……』
ちょうど、政治経済の番組が放映されていて、鬼灯が映っていた。
『では鬼灯様、中国との会談への意気込みをどうぞ』
『はい』
"バキッ"
『このくらい強く出ます』
鬼灯は眉ひとつ動かさず、会見用のマイクをへし折った。
『いや、あの……もう少しお手柔らかに……』
『最近 視察の検討をされている所などはありますか?』
『猫カフェです。一度行ってみたい』
『……いや、そういうことでなく……』
小判はじっと鬼灯を見つめていた。
小一時間ずっと表情の変わらない、"冷徹"の二文字よく似合うその顔を……