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12. 晴れ渡る空
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ほんの数十分もすれば、コニスが前方を指さして言った。
「みなさん! 見えてきました! 前方をご覧ください! クラウドエンドです!」
一味の目に映ったのは、虹のかかった巨大な門。
ルフィとウソップが瞳を輝かせた。
「へぇ~、あそこから降りられんのか~!」
「意外と早く着いたなぁ」
しかし、次の瞬間にはシュンとなるルフィ。
「はぁ~……降りちまうのか、俺たち」
その隣でサンジのタバコの煙が流れた。
「確かに、いざ降りるとなると名残り惜しい気もするな」
「この真っ白い海ともお別れか」
ゾロが言うと、チョッパーとティオが目を見合わせた。
「空島楽しかったなぁ~……怖かったけど」
「ん。たのし、かった」
ウソップがナミの横で、ミルキーロードの先を覗こうとする。
「あの門を抜けたらミルキーロードで一路青海ってわけか」
「また来れるかしら、空島」
「ここばっかりはなぁ……」
話しているうちに、メリー号は門をくぐり抜けた。
「ではすいません! 私たちはここまでですので!」
「お元気で! みなさん!」
「スゥ!」
コニスたちが走って見送ってくれる。
「送ってくれてありがとう!」
「コニスちゅわ~ん! 体に気をつけてねぇ~!」
「他のみんなにもよろしくな~!」
「じゃあな~!」
「何から何までありがとな~!」
「いえ! 私たちの方こそ本当にありがとうございました! あなたたちのこと、決して忘れません!」
「コニスもおっさんも白いのも元気でな!」
「「はい!!」」
「ではすぐに帆をたたんで、船体にしがみついてください!」
「よぉしみんな!おっさんの言うとおりにするんだ!だいぶ高速で行くみてぇだぞ!」
「そりゃ7000mの坂道だもんな! 急げ!」
「「「おぅ!」」」
全員が言われたように仕事をする。
するとそこに……
"ジョ~~~ッ!"
サウスバードが飛んできて、ルフィに激突した。
「うぎゃっ!」
「な、なんだ!?」
チョッパーが翻訳する。
「『俺を忘れるな!』って」
「あ、空に一緒に連れて来ちゃったサウスバード……」
連れてきてしまった責任を思えば、連れて帰らないわけにはいかない。
「さてキャプテン。次の島へのログもバッチリよ!」
「あぁそうだ! ここを降りたらまた、新しい冒険が始まるんだ! そんじゃぁ、野郎共、青海へ帰るぞ!」
「「「おぉ~っ!!」」」
……新しい冒険。
そうか。
そうだった……
「……」
ティオは左腕の傷に触れた。
完全ではないが、傷は塞がった。
自分はもう飛べる。
ここを降りたら帰らないといけない。
帰ればクザンに会える。
それはとても嬉しい。
でも……
「……」
……今感じている、この胸の痛みは何だろうか。
海賊の視察はこれが初めてじゃないのに、こんな痛みを感じるのは初めてだ。
そうして、ひとり考え込んでいたティオの耳に、コニスの一言が響いた―――。
「皆さん! 落下中お気を付けて!!」
「「「らっかちゅう……?」」」
「ヘソーっ!!」
「「「ぎゃあああああああああああああああっ!!!」」」
メリー号は急降下し始めた。
ここから7000mをミルキーロードで下るんだ~なんて、甘いものではなかった。
門を出て数メートル行くと、もうその先に道はなかった。
ただ重力に任せて、メリーは超高速で落下していく。
しかし、クラウドエンドが帰る方法として確立している理由は、ちゃんとあるわけで。
"ボフン!"
近場の海雲の中から、巨大なタコが現れた。
タコは足を伸ばし、メリー号に絡みついてくる。
「何じゃこりゃぁぁぁっ!!」
ゾロが刀の鍔を弾いた。
「このやろっ」
「ぞろ、きったら、めっ!」
「ぁあ!?」
"ビタンッ"
一瞬だった。
急降下していたメリー号は、急に速度を落とし、まるで気球のようにふわふわと浮いた。
一味は速度差で、船に叩きつけられる。
「いったたた……」
「な、なんなんだ~……?」
よく見れば、タコがメリー号に絡みついて膨らみ、バルーンの役割をしていた。
「おい見ろ! すっげぇぞコレ!」
「はくかい、めいぶつ、たこばるーん。せいかいに、かえる、ゆいいつの、ほうほう」
「そうなのかぁ!」
「減速した……」
「お、おれは…ついにあの世へ行ってしまうのかと……」
そうしてみんなで、タコを見上げて感心していると……
"ゴオオオオォォォォン……"
壮大な鐘の音が響いてきた。
ここまで響くような鐘の音は、世界にただ1つ。
スカイピアの人々が見送りに鳴らしてくれているのだと、分かった。
「ハッハッハッハッ! いいなぁコレ!」
「あぁ~、いい~気持ちだァ~!」
島の歌声。
そう言われるだけのことはある。
空気を震わせ、何とも心地よく体に響いてくるではないか。
「……」
ティオは青空を見上げて、ほんのわずかに目を細めた。
今だけは。
こうして空を漂っている間だけは。
海軍に帰らなければという使命感を、忘れていられる―――。