夢主の名前を決めて下さい。
7. アッパーヤード
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……で? どこにいるんだ? 神ってのは」
しばらく、4人は森の中を歩き回った。
「神なら、私たちのことなんて、とっくにお見通しかもしれないわね」
「このもり、いろいろ、たくさん、いる。どれか、かみさま、かも」
「そういえば、ティオも対象の場所が分かるのよね。神も同じような力を持っているのかしら」
「ありえる」
見聞色の覇気なら、訓練すれば身につけられる。
その"神"とやらが覇気を身につけていたとしても、なんら不思議ではなかった。
「向こうから出てきてくれりゃ、話は早ぇんだがな」
「なっ、出てこなくて結構! 何度言ったら分かるのよ! この島の神はとにかく恐ろしいんだから!」
一行はさらに先へ進む。
「ずっと川沿い歩いてても仕方ねぇ。向こうに渡って調べてみるか」
ゾロがそう言いながら川縁に立った。
「それもそうね」
「(コクン)」
「でも、どうやって渡る? さっきみたいにツルを使って向こう岸に? それとも木を――
"ガラッ…"
突如、ナミの足元が崩れた。
ナミは川へ落ちそうになる。
同時に、川の中から空サメが出現した。
"ザバァッ!"
「「「!」」」
ゾロが瞬時に反応し、ナミを岸へ引きずり戻すと同時に、サメを蹴り飛ばした。
後方へ跳んだナミを、ロビンが手を咲かせて受け止める。
「チッ、ここにもいるのかよウザってぇ!」
「どこでも、いる。それに、そらさめだけ、ちがう。ほかにも、いろいろ、いる」
「はぁっ、はぁっ、絶対にダメ! こんな川、渡りたくない! わざわざ空サメの餌食になりに行くようなもんよ!」
「だがよ、このまま川沿い歩いても、向こう岸に渡れるとは限らねぇだろ」
「ダメったらダメ! 行くんだったらゾロ、アンタ1人で行きなさいよ!」
「?」
ゾロとナミが問答を続ける中、ロビンはあることに気がついた。
「ねぇ、この地面……」
「地面がどうかした?」
「土よ」
「当たり前でしょ? 地面なんだから」
「ここは空島よ?」
そう言われ、ゾロはその場で足踏みする。
「確かに、ふわふわしてねぇな」
「え? ……あぁそっか、空島って島雲で出来てるのよね。こうやって土を触るのって久しぶりの感覚だわ。何でこの島だけ違うの?」
……さて、そうして疑問が出ると、一味の視線は、まっ先にティオへ向くようになってきた。
「それ、しらべにきた」
ティオは近場の大樹へ近づいていく。
「何をするの?」
「き、の、きおく、みる」
「そういえば、触れれば生物・器物問わず記憶や思考を見たり聞いたりできるって言ってたわね。確かに樹の記憶が分かれば、この島のことはほぼすべて分かるわ」
「そのまえに、ひとつ、いい?」
振り返ったティオに、3人は目を見合わせて首をかしげた。
「この、き、1000ねんいじょう、いきてる。その、ぼうだいな、きおく、のぞいたら、きっと、てぃお、あたま、ぱんくする」
「考えてみればそうよね。大丈夫なの?」
「しぬこと、ない。……でも、きぜつ、するかも。だから……」
ティオの言葉は尻すぼみになって、やがて途切れた。
……敵である麦わら一味の元で、気絶するほどのことをするのは、リスクが高い。
それでも。
この国には、何かあると感じるから。
コニスやパガヤから感じた、神に対する尋常ではない恐怖。
マッキンリーから感じた、強固な使命感。
そして、森の生き物たちから感じる、嘆き……
この国は、どこかがおかしい。
海兵としての使命感か、自身の感情か、何が引き金になっているかは分からないが、何とかしたいと思っている。
「……」
今まで感じ取ってきた、麦わら一味の人柄を信じて、気絶した場合の保護を頼むべきか、それとも、リスクは徹底的に避けるべきか……
ティオは迷い、俯いた。
すると、意図を汲み取ったのか、ナミがウインクしてみせる。
「大丈夫よ、置いてったりしないわ。うちの船に置いてる以上、ちゃんと船まで連れて帰るから!」
ティオは少しだけ目を見開き、顔を上げた。
「ゾロがね」
「俺かよ!」
「当たり前でしょ?」
ナミとゾロは言い合いを始める。
代わって、ロビンがティオに微笑みかけた。
「目が覚めたら、この島の秘密を教えて?」
「……(コクン)」
胸の奥がじんわりと暖かくなる。
ティオは大樹に向き直り、ゆっくりと右手を伸ばした。
「……」
コケに覆われたその樹に触れると、何とも言えないオーラが伝わってくる。
そこまではいい。
問題はここからだ。
「……」
ティオは意を決して、閉じられた扉を開くように、樹に意識を集中していく。
……じわじわと、頭の中に記憶の波が寄せ始めた。
最初は弱く少なく、だんだん強く多くなっていく。
「……っ」
より多くの記憶を見るため、ティオは脳をフル回転させ、樹の記憶を飲み込んでいった。
……しかし、それも束の間。
約600年分の記憶を遡ったところで、チカチカと目の前で閃光が走った。
それは、脳が解析許容量を超えた合図。
「……そ、か」
樹の記憶を全て見ることは叶わなかった。
それでも、この島の秘密を知るには充分。
ティオは精神崩壊を防ぐべく、これ以上記憶が流れ込まぬようにと、反射的に樹から手を離した。
同時に、意識が遠のき、体が後ろへ倒れる。
ナミが反射で叫んだ。
「ティオ!」
"パシッ"
ゾロが無言のまま受け止め、ロビンがティオの顔を覗き込んだ。
「大きな能力には、相応の代償が付き纏うものよね」
固く閉じられた、ティオの瞳。
「いったいどのくらいで起きるのかしら」
「さぁな」
ゾロはティオをそっと背負った。
小さな顎が肩に乗る。
ナミが森の先を指さした。
「ティオが目を覚ますまで、もう少しこの森を見て回りましょう?」
「それもそうね」
「あぁ」
一行は、森の奥へと進んでいった。