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6. 犯罪者
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"ザザァー……"
静かになった浜辺に、波の音が響く。
「何だアイツら」
「それより、私たちハメられたんだわ。あのお婆さん言ってたじゃない。"通っていい"って。それで通ったら不法入国? 詐欺よ! 訴えてやる!」
それは一体、どこの誰に訴えるというのだろうか。
「まったくだぜ……まぁどーせダメだと言われても力づくで通っただろうってことは置いといてよ」
「お黙り!」
「と、とにかく、大変なことになってしまいました…。第2級犯罪者となってしまわれては、私たちはもう…」
「いや、っていうか、なんでそんなに離れて話すの?」
パガヤとコニスは、麦わら一味から50m近く離れていた。
「ん~まぁでもいいじゃねぇか。追われんのには慣れてんだしよ。ニッシッシッシッ! んなことよりお前、なんで帰ってきちまったんだ?」
「は?」
「せ~かっく俺たちこれから、その入っちゃいけねぇ場所に大冒険…あ、いやいや、お前を探しに行くとこだったのに、えへっ」
「ったく、ホントにアンタは分かりやすいわねぇ」
ナミは手を鳥の嘴のように構える。
"ドスッ"
「いってぇ!」
ルフィは嘴のようなナミの手に額をどつかれた。
「なぁにが大冒険よ! ついさっき教えたでしょ!?」
"ドスッドスッドスッ"
ナミはルフィの額をどつき続ける。
「あの島にどんな恐ろしい奴がいるのか見てないから、アンタはそんなこと言えんのよ! あたしは絶対、二度と行かないからね! あんな島!」
「ってぇなぁっ、んじゃぁ俺たち行くから、お前ここで待ってろよ」
「いやっ! 追手が来るもの。出るのよこの国から!」
「出るだと!? アホ言え! お前は冒険と命とどっちが大事なんだ!」
「命よ! 二の次がお金!」
「あはっ、じゃぁその次が俺かい?」
「うるさい!」
"バコッ!"
サンジが殴られた。
ナミはちょっと荒れ模様である。
隣でウソップが首をかしげた。
「そういや、登ってくるのに必死で帰ることなんて考えてなかった。俺たち、青海に帰れんのか?」
「だいじょぶ。でぐち、ある、から」
「ホントか!?」
ウソップが嬉しそうな顔をすると、コニスがつけ加える。
「青海に戻る方法はあります。今となってはもう安全とは言えませんが、雲の果てのクラウドエンドというところへ行けば」
「クラウドエンド……どうすればそこに行けるんだ?」
「クラウドエンドは遥か東の地。そこへ至るには、一度白海へ降りなければならないのですが…」
「よっしゃ! そこから帰れるんだな?」
「やだ! 俺は帰らねぇぞ!」
「ったくルフィ、ここにいて死刑になりたいのか?」
「ウソップの言う通りよ。それに、ここにいたらコニスやおじさんに迷惑をかけるわ」
「あ、迷惑だなんてそんな…」
「ま、逃げたところであいつらからは逃げられないかもしれないけど、それならこの国のどこにいても同じこと。居場所がバレてる以上、急いでここから離れないと……。さぁみんな! 船を出すわよ!」
「「「は~い」」」
ナミに連れられて、麦わらの一味はメリー号へと向かう。
「コニス~!おじさ~ん!色々ありがと!」
ナミは後ろの2人に手を振った。
「あ、そうだ!」
「え、ちょ、ちょっとルフィ!」
急に立ち止まったルフィは、パガヤに満面の笑みを向ける。
「お~いおっさん!」
「はい、なんでしょうか」
「さっきのメシ、ぜ~んぶ持ってっていいか~?」
「えぇ、もちろんどうぞ」
「やった~! サンジ~、弁当箱~!」
「はぁ、抜け目ねぇな」
サンジはため息をつきながらも、ルフィのあとをついて行く。
「あ、だったら俺もついでに頼み事しちゃおっかな~。おっさんエンジニアなんだろ? 船の修理のための備品、少し分けてもらえねぇか?」
ウソップにも、パガヤはにこやかに答えた。
「えぇ構いませんよ? ではもう一度うちへ」
というわけで、ルフィとサンジとウソップがコニスとパガヤの家に戻っていった。
「ちょっと、どこ行くの!」
「メシ貰ってくる~! 野郎共、先に船で冒険の準備を整えておけ~!」
「チッ……アイツ、完全に行く気でいるわ」
ナミは拳を握ってゾロの方を向く。
「ホントに怖いのよ!?」
「知るかよ。俺はどっちでもいい。俺に当たるな」
華麗にスルーされ、ナミはチョッパーに恐ろしい笑みを向けた。
「チョッパ~」
「えっ……」
「アンタはあたしの味方よねぇ?」
「えっと、その……」
「脅すな」
「ねぇティオちゃ~ん」
「……のー、こめんと」
「だから脅すなっての」
ティオはナミから隠れるように、そそくさとメリー号へ向かった。
「よっと……ヘビーポイント!」
チョッパーは碇に登って体を大きくし、器用に船に乗り込む。
ちょうどそこに、
「ふふっ、今ちょうど
「あれれ……」
"パラッ…"と
ティオはそれをスイスイ登っていった。
後ろからゾロとナミが登ってくる。
「分かってんだろ? ルフィは説得できねぇ。全員でデモ起こそうが聞きゃしねぇよ」
「いいわよ。じゃぁあたし行かない!」
「あ? んじゃそうしろよ」
ゾロが甲板の階段を降りていくので、ティオはその後ろについていく。
「なっ、そうしろってアンタ! あたし追手に殺されるじゃない!」
「んじゃそうしろ」
ゾロはいつものごとく刀を脇へ置いて甲板に座った。
するとティオも、それが当然であるかのごとくその両足の間に座る。
そして太腿に頭を預けた。
何だかここ最近で定着してきた昼寝スタイルだ。
「っ、この……ねぇロビン、2人でルフィを倒さない?」
「無理よ」
「はぁ……追手を蹴散らす方が現実的か……。もうきっと、ホワイトベレー部隊の奴らが仲間をかき集めている頃よね」
ナミは額に手をついてうなだれる。
ロビンは一度微笑んでから、
すると、
「?」
目の前に人影がさす。
「あの、みなさんにご相談が……」
船にやって来たのはコニスだった。
とりあえずもう一度
「すか~……すか~……」
「すぅ……すぅ……」
ゾロとティオを寝かせたままで、コニスは話を始めた。
「……え、ってことは、白海に降りられる特別な雲の海流があるってこと?」
「……はい。雲に乗ることで、広大な海を横切り白海へ。そして、クラウドエンドへも迷わずにたどり着くことができます」
「本当!?」
「海流に乗りさえすれば、誰も追っては来られないでしょう」
「フフン! ルフィに内緒で、ゴーイングメリー号をその海流に乗せちゃえばっ」
「後で気づいても手遅れってわけだね……」
「彼が諦めるかどうかは別だけど」
「……チッ」
問題はそこだった。
「その海流の入口までは、私がウェイバーで案内することが出来ます」
「ま、あの馬鹿に気づかれないようにすればいいんだから、そこんとこはうまくやるわ」
「じゃぁ、皆さんは碇を上げて待っていてください」
「分かったわ。恩に着る、コニス!」
「ふふっ、いいえ」
コニスは海流のことを伝えると、すぐに家の方に戻っていった。
「じゃぁね~コニス~!」
「ヘソ」
ナミとチョッパーは、しばらくコニスの後ろ姿に手を振っていた。
「ふふっ、やっと希望の光が見えてきたわ。一時はどうなることかと」
喜ぶナミに対し、ロビンは顎に手を当てる。
「……でも、本当にそんな海流あるのかしら」
「え?」
「そんなに都合のいい海流があるのなら、空島からの生還者が、もっと青海にいてもおかしくなさそうなのに。こういうことはティオに訊くのがいいんでしょうけど、今起こすのは忍びないわね。このスカイピアに来てから、少しでも時間があれば寝ようとしているから」
ロビンは船の甲板を見やった。
チョッパーがポツリと言う。
「薬は効いたみたいだけど、まだ本調子じゃないよ。もしかしたら、普通より体が弱いのかもしれない」
「そう……」
ティオは無防備な表情で眠っている。
ナミが、気を取り直して言った。
「まぁでも、深く考えすぎなんじゃない? ロビン。そもそもここに登ってこれる人がそんなにいないんだから、生還してる人が少ないのは当然でしょう」
「その中には、もたもたしてて逃げ切れなかった人も結構いたのかもな」
「そうよね。引き時を誤ると命を落とすわ。急いで出航準備よ! 早く碇を上げて! チョッパー、早速ヘビーボーナスで力仕事よ!」
「ヘビーポイントだってば……」
「なに?」
「な、なんでもない……」
「は~いゾロ起こして」
「無理よ。剣士さんは一度寝たらなかなか起きないもの。それに、ティオも一緒に起きちゃうでしょうし」
「大丈夫! ひとりでできるよ!」
「早くしないと、コニスの親切が無駄になっちゃうわよ?」
「ヘビーポイント!」
体を大きく変形させたチョッパーは、メリー号の碇を引き上げた。
……すると、次の瞬間
"ドゴッ!"
いきなり突き上げるような衝撃がきて、船が横揺れし始めた。
「うわぁあぁ!」
あまりの揺れに、チョッパーは甲板を転げ回る。
「何が起こったの!?」
ナミが慌てて船の下を覗き込んだ。
「んぅ?」
「何だおい!」
この揺れでは、さすがのゾロとティオも寝ていられない。
「もう海流に乗ったのかな」
「かい、りゅう……? ぅわっ」
船が勝手に動き出す。
「ちょ、何コレ! なんなの!?」
「うわぁ~ん!」
チョッパーは船の欄干にしがみついて、泣きべそをかき始めた。
「何だ、いったい! 今言ってた、海流ってやつに早めに乗っちまったのか?」
「いいえ。なんだか様子が違うみたいよ」
そう言うロビンの視線の先には、海から飛び出た赤い何か。
"ザバァッ"
爆音にも似た水音と共に現れたのは、超巨大で赤黒いエビ。
どうやらメリー号は、このエビによって運ばれているようだ。
「……俺たちをどこかへ連れてく気だ。おい! 全員今すぐ船から飛び降りろ! まだ間に合う!」
「えっ、だって船は!? 船持ってかれたら」
「心配すんな。俺が残る」
「そんな、アンタ1人残ってどうなるの!」
「何とかなる」
ゾロは船から飛び降り、エビの甲羅の上に乗った。
そして刀を三本全て抜く。
"シャキッ……"
ゾロはエビを切りつけていった。
"クイクイ"
「?」
服を引っ張られてロビンがそちらを見下ろすと、手の主はティオで、海の向こうを指さしていた。
「……」
ロビンは指さす先を見て押し黙る。
そして、
"シャキンッ"
「ちっ、ダメか?」
"パキッ、パキパキッ……"
ゾロの連続の
「フッ、手応えあり……いける!」
ゾロは不気味な笑みを浮かべ、刀に手をかけた。
「残念ながら無駄のようね。上がってらっしゃい?」
ロビンが
「何だと?」
「そんなこと、しても、すぐ、つぎのて、うってくる……あそこ、つぎの、おって」
ティオはもう一度同じ方向を指さした。
「……何?」
ゾロがそちらを見れば、ウミヘビのようなよく分からない魚が数匹、こちらへ向かってはねてくるのが見える。
「大型の空魚たちが口を開けて追ってくる。飛び込んで逃げることもできないわ。頑張って全てを倒したとしても、すぐ代わりが用意されるはず。何をしてもきっと無駄ね。もう始まっているのよ」
「天の裁きとやらか。追っ手を出すんじゃなく、俺たちを呼び寄せようってのか。
「じゃぁ、またあの島へ?」
ナミはへなへなとその場にへたり込んだ。
アッパーヤードには、相当イヤな思い出があるらしい。