夢主の名前を決めて下さい。
6. 犯罪者
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
"カチャカチャ……"
各々が食事に手を伸ばし、食器がぶつかる音が響く。
バルコニーでは、サンジのタバコの煙が上がっていた。
「おい、ナミさんはどこ行ったんだ?」
ウェイバーで遊んでいたはずのナミの姿が、ない。
「んぁ? いるだろその辺に……モグモグ」
「いや、いねぇよ」
「じゃぁちょっと遠出してんじゃねぇのか? ……モグモグ」
"カチャ……"
突然、コニスがフォークを皿に置いた。
「父上、大丈夫でしょうか……」
「えぇ、コニスさん。私も少し悪い予感が」
「ん? なんだ? どうした? ……モゴモゴ」
きょとんとするルフィに、コニスは心配そうな顔を向ける。
「……このスカイピアには、何があっても絶対に足を踏み入れてはならない場所があるんです」
「足を踏み入れちゃならないって、何だよソレ」
「聖域なんです。そこは空の民にこう呼ばれています。神の住む土地、アッパーヤード」
ロビンがティオを見下ろす。
「そんなところがあるの?」
「あっぱーやーど、たしかに、ある。かみさま、いるばしょ。……でも、たちいりきんし、はつみみ」
突如ルフィが目を輝かせた。
「神がいるのか!? 絶対に足を踏み入れちゃならない場所に!?」
コニスは目を伏せて頷く。
それを見てチョッパーが青ざめた。
「か、神って、あの神様のこと? 空島には神様が住んでるのか?」
「えぇ。ここスカイピアは神の国ですから、全能の神、ゴッド・エネルによって治められているのです」
「全能の神?」
ティオはわずかに目を細めた。
コニスが眉根を下げたままで話を続ける。
「……ゴッド・エネルはご存知です。この世の全てを」
「す、全てを!?」
「はい。私たちのことも見ていらっしゃるんです。いつも……」
「い、いつもって……」
「今もか!?」
「もちろんです」
「ぅぇえええ!? 今も俺たちのこと見てるのか!?」
チョッパーは辺りをキョロキョロ見渡した。
「フン、神ねぇ……」
「ゾロは神様信じてねぇのか?」
「さぁな。神なんぞ居ようが居まいが俺には関係ねぇ。ハナっからどーでもいいことだ。ま、信じてぇって奴を否定するつもりもねェけどな」
ティオはゾロをチラリと見上げてから、視線を遠くに投げた。
何か考えているようだ。
サンジがタバコの煙を吹く。
「んで、そのアッパーヤードに住んでいる神とやらを、コニスちゃんは見たことあるのかい?」
「いいえ! 滅相もありません! ……私たちはアッパーヤードに足を踏み入れてはいけません。決して」
「ニシシ、そっか~。絶対に入っちゃいけない場所か~」
物思いにふけるようなルフィの声。
みんながルフィを見てみれば、その表情はこの上なく輝いていた。
「はっ! てめぇルフィ今なに考えてる! 話をよく聞けよ!? 足を踏み入れちゃならないってのは、絶対にそこに入っちゃいけないって意味なんだぞ!」
ウソップが胸ぐらを掴んでグラグラと揺らすが、ルフィはなおさら輝いてニヤけていく。
「そっか~。絶対に入っちゃいけない場所があんのか~。あはははっ」
(((絶対入る気だ……)))
声には出さずとも、みな考えることは同じ。
「ん? でもよ、神だったら入っちゃいけねぇとこ入っても許してくれんじゃねぇのか?」
「い、いえ、神の決めたことを破るのは神への冒涜ですし……」
「んぁ~そっか。まぁいいやどっちでも!」
輝くばかりの笑顔を浮かべるルフィに、チョッパーは青ざめた。
(許されなくても入るつもりだからだっ)
どうせ行くことになるだろうと思いながら、ロビンはコニスに目を向ける。
「もし、その禁断のアッパーヤードに入ってしまったら、どうなるの?」
「そ、それは……」
コニスは言葉を詰まらせて下を向いた。
代わりにパガヤが答える。
「生きては帰れないんです……皆そう信じています」
サンジはピンときてタバコを落とした。
「ま、まさか」
「心配ですね、ナミさんのことが。アッパーヤードに近づいてなければいいのですが」
「ナミすわ~~~~~ん!」
プチパニック状態でナミの名を叫び始める。
「あ、そうだ! ティオなら分かるんじゃねぇのか?」
チョッパーが嬉しそうに見ると、ティオはコクンと頷いた。
「やってみる。とおすぎたら、わからないけど」
フォークを皿に置いて目をつぶる。
見聞色の覇気を限界まで引き伸ばした。
「……」
麦わら一味は固唾を呑んで見守る。
「どうだ? ティオちゃん」
サンジが心配そうに訊くと、ティオは目を開いた。
「……いた。けっこう、とおく。ほうがくからして、あっぱーやーど」
「んなっ、ナミさんてばやっぱりそんな危ないところまで!」
「それで、航海士さんは無事なのかしら?」
ティオはナミとその周辺に意識を集中していく。
「いまは、ぶじ。……でも、なみちゃん、あせってる。ちかくに、ひと、なんにんかいる」
「敵、ってこと?」
「わからない……あまり、いいかんじょう、かんじない」
「あ~~~ナミさんっ」
「……とべたら、みにいける」
腕の傷を撫でると、チョッパーが噛みつくように言った。
「そのケガで飛ぶなんてダメだぞ! また傷口開いちまうからな!?」
「(コクン)」
「ニシシ、んじゃ行こう! とにかくそこに! ナミを探しに!」
ルフィは満面の笑みだ。
ウソップが慌てて止める。
「お前の目的は本当にナミかぁ! 禁断の土地に入ることじゃねぇのかぁ!!」
しかし、一度好奇心に駆られたら、ルフィは誰の言うことも聞かない。
さらにナミの生死に関わるとなったら、サンジもそこに向かうと言い始めることは必至。
「おいルフィ! 行くぞ!」
そわそわと家の扉に手をかける。
「ちょっと待て! これ食ったらな!」
ルフィは料理を全て平らげてから行くつもりらしい。
「そんな悠長なこと言ってる間にナミさんに何か起きたらどーすんだお前! 置いとけ! すぐ戻ってくんだからよ!」
「ムグ……待て! これも! ……モグモグ」
「チッ、コイツ待ってたら日が暮れちまう……コニスちゃん、案内してくれ! そのアッパーヤードとやらに!」
「え……で、ですけど、ゴッド・エネルの怒りに触れては、本当に大変なことに……」
コニスは両手をぎゅっと握った。
チョッパーがゴクリと唾を飲み込む。
「ご、ゴッド・エネルってそうとう恐ろしいみたいだね……」
ゾロはフンと鼻を鳴らした。
「ゴッド・エネル……神ねぇ」
1/8ページ