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42. 深海大冒険
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「……ってオイオイ言ってる場合か! こっち狙ってきてんぞ!」
ギュルっと、クラーケンの足がサニー号目掛けて振り下ろされる。
それを見据えて、ルフィは指を噛み、ゾロは刀の鍔を弾いた。
「ギア
「一刀流……」
「だァァめェろって! オメェらのデケェ攻撃はシャボンが割れる!」
「アウ! ひとまず回避だ! チキンボヤージ!」
フランキーの機転で、サニー号は少しバックし、ギリギリでクラーケンの足を躱した。
それを見て、ナミが思いつく。
「ねぇフランキー! クー・ド・バーストで下降流へ突っ込みましょう! それで逃げ切れる!」
「いや、そりゃできねぇ。クー・ド・バーストは大量の空気を使う。空気量が限られてる海中じゃ使ったが最後、俺たちが死んじまう」
「あ、そっか……でもじゃあ、どうしようっ」
「どうもすんな、ナミ! アイツとは戦って、力づくで手懐けるんだ! 俺が殴れる距離まで船近づけろ!」
「駄目に決まってるでしょおバカ!」
どうしても戦いたいらしいルフィに、見かねたカリブーが知恵を貸した。
「そんなに戦いてェんなら、策を授けちゃうぜェ麦わらのルフィ!」
数分後。
カリブーの案により、ルフィ、ゾロ、サンジは、それぞれシャボン玉に包まれ、腰に命綱を結ばれた。
「これぞ、即席バタ足コーティング! つまり潜水服ってェわけよ!」
それを見たウソップは、長い鼻をカリブーの頬に突きつける。
「余計なマネを
「バカ! 俺は
「む、なるほど……。よ~ォし行って来いルフィ! より遠くへ!」
「邪魔だなこのロープ……ん、よし、取れた! お~いティオ! ツウヤク頼む~!」
「(コクン)」
ティオは
ニッと笑みを浮かべて手の平に拳を打ち合わせたルフィは、サニー号の外へと駆け出す。
ゾロとサンジも、ルフィの後へ続いた。
……もちろん、命綱は全て外されている。
「え、ちょっと待って! 命綱はつけなきゃ駄目よ!
「アハッ! ナミさんが俺の心ぱ……ブフッ」
「ゾロ、サンジ! オメェらちょっと時間稼いでくれ! 強ェの一発で仕留めるからよ!」
「ンなことしてる間に、俺がやる」
「お前は斬るからダメだゾロ! 飼うんだぞ俺は! あのタコを!」
「……かう、の?」
クラーケンの元へ真っ直ぐに向かう3人と1匹。
けれど、クラーケンはミジンコ並みに小さく見える3人よりも、船の方を狙い続けた。
「うわあああっ! また足がこっち狙っとるゥゥ!」
「どいてろおめェら! フランキー・ロケットランチャー!」
フランキーの肩から飛び出したランチャーに、男たちの瞳が輝く。
"ドドォンッ!"
「弾いたぞ! すげぇ威力だ!」
「でもまだ別の足が!」
「うわああんっ何でこっちばっかり! ランブル!
"ボフンッ!"
泣きべそをかきながらも、チョッパーが体を膨らませ、クラーケンの足を防いだ。
「すっげぇ! 耐えたァ! つーかデカッ!?」
「すごいわチョッパー!」
……なんて、喜べたのも束の間。
直接攻撃では意味がないと悟ったクラーケンは、サニー号の周りの海流を変えることにした。
ブンッ、と振られた足で海が押され、サニー号が押し流される。
「うわあああっヤベェ!」
「ヨホッ! 今度は海山にぶつかりますよ!」
「……海中でも、一瞬なら平気かしら。
ロビンの咄嗟の機転で、巨大な手が船から生え、ぶつかりそうだった海山を押し返した。
そうして船を守る仲間たちを、ルフィは嬉しそうに見つめる。
「みんなやるな~! よし、俺も行くぞ! ギア
ルフィは右腕をシャボンの外に出し、左の親指から空気を送った。
「武装色・硬化!」
巨大なルフィの拳が、黒く変色する。
間近でそれを見上げたティオは、覇気を使いこなしている様に安心感を覚えた。
「うぎぎぎっ……やっぱ海で、力が抜けるっ……」
海の中で拳を保つのに必死なルフィの腕に、クラーケンの足が伸びてくる。
それを、サンジは見逃さなかった。
「フン、タコめ、一丁前に止めようとしてんのか……
クラーケン目掛けて、海の中を走り始める。
船から見ていたブルックとウソップは仰天。
「え!? サンジさん、シャボン玉から出ちゃいましたよ!?」
「それより何だあのスピード! まるで陸に居るときのティオだ! 海ン中だと魚人みてぇだぞ!」
「……
"ドドォンッ!"
サンジの熱い蹴りが入り、クラーケンの足に網目状の焼き目がつく。
クラーケンは標的をサンジに変え、別の足を伸ばした。
……しかし、その根元には、三本の刀を構えた男がいる。
「……三刀流・奥義……六道の辻」
"スパパパァ…"
クラーケンの足は、見事に六枚に下ろされた。
「こらこらゾロ! サンジ! タコの足がなくなるだろ!」
海のエネルギーに耐え、拳を振るために準備していたルフィは、クラーケンの顔面目掛けて振り下ろした。
「ゴムゴムの、
"ドゴォッ!"
殴り飛ばされたクラーケンは、白目を剥く。
「ブッ飛ばしたァァ!?」
「どんだけ強くなってんのよアイツ!」
一方、ルフィの肩に掴まってぶら下がっていたティオは、半目でクラーケンを見つめていた。
(……てぃお、いる?)
通訳して欲しいと言うからついてきたのに、ブッ飛ばしてしまっては通訳も何もあったものではない。
何しに来たんだろう、と、軽く昼寝モードに入ろうとしていると、クラーケンの"声"の中から別の"声"が出てくるのを感じた。
「?」
その声を辿ってみれば、クラーケンの漏斗から、魚らしきものが這い出てくる。
「ハァ、ハァ、海キツかった~。……ん? サメが出てきたぞ?」
ルフィが手をかざして覗くように見ていると、傍にゾロとサンジも漂ってきた。
「相当デケェ サメじゃねぇか?」
「しかも服まで着てるぞ、何なんだ?」
サメは3人のところまで近寄って来て、ぺこぺこと頭を下げながら口を動かした。
「礼でも言ってんのか?」
そう尋ねるゾロの視線は、ルフィの肩に乗っているティオに向いている。
「(コクン)…たすけて、くれて、ありがとう、って」
「ふーん。律義なサメだな」
「『どこ行くの?』 って」
「んぁ? どこって、魚人島だぞ!」
「『じゃあ、おもてなしの準備して、待ってるね』だって」
「「「おもてなしィ?」」」
サメはくるりと一回転して、海の底へと潜っていく。
そのとき、ゆらゆら漂っていたシャボンが、急に吸い込まれるように流れ出した。
「うおおおああっ!?」
「しまった、下降流に引きずられてる!」
「くそっ!」
下降流の急激な流れの変化は、サニー号のクルーたちも感じていた。
「まずいわ、ルフィたちが下降流に飲み込まれてしまう」
「ヤバイヤバイ! 追うんだ! どうせ行く先は一緒だ!」
「フランキー! ヤードを固く保って! 船体を左へ! 大陸棚にぶつかる!」
「よし来た!」
「みんなしっかり! 気を抜いたら船ごと大破するわよ!」
「「ええええええっ!?」」
「常に海流の真ん中を!」
ナミの指示が飛び、クルーたちは懸命に操船を続ける。
そうして、真っ暗な下降流の先へと、サニー号は落ちていった。