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42. 深海大冒険
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「ん~~~海獣、海獣~……お! ……なぁんだ亀かァ、小せぇな~」
ルフィが巨大な海獣を探す傍ら、ウソップは、隣のナミの
「ん? なぁナミ、進路が
「え? あぁ、大丈夫よ。指針より南西へ進むのが正しい航路だから」
巨大海獣探しに飽きたのか、ルフィが振り返る。
「えぇっ、何でだ? 真っ直ぐ進んだ方が早ェに決まってんじゃねぇか!」
「真っ直ぐ進んでも、海流に攫われて、下降しきる前に海山や海底火山に突き当たっておしまい! だそうよ」
「ふ~ん、そういうモンなのか~」
よく分かっていない顔で納得するルフィだが、ウソップは余計に疑問が湧いてくる。
「"正しい"っつってもよ、
「えぇ、1つだけあるのよ。今はそれを辿ってる。それより、みんなコートでも羽織った方がいいわよ。ここから先、寒くなるから」
ブルックが辺りを見回して、自分の二の腕をさすった。
「そういえば、なんだか肌寒くなってきましたねぇ……あ、でも私「お前骨だから、肌ねぇのにな!」
いつものボケをチョッパーに取られ、ブルックはその場に撃沈する。
それを華麗にスルーして、ロビンがティオの肩にコートを掛けた。
「さ、これを着て? ティオが一番風邪引きやすいんだから」
「ありが、と」
海底に行くほど寒くなることを、ロビンは既に予測済みだったらしい。
自分も既にコートを着込んでいて、ナミの分まで女部屋から取って来てくれていた。
「はい、ナミ」
「ありがと!」
「さっき言ってた海流のことだけど、もう見えてきてるわよ。表層から深層へ潜る巨大な海流が」
「えっ、ホント? さっすがロビン!」
ナミが船首の方へ駆け出すと、男たちも何だ何だと集まってきた。
「どこだどこだ!? 不思議海流!」
「うおっ! ホントに上から下へ潜ってるぞ!」
「こりゃすげぇ、圧巻だ!」
「あれが、下降流の"プルーム"……」
サニー号の目の前に姿を現した下降流。
それは、まるで巨大な滝だった。
「すっげぇ~~~! ず~~~っと下まで海が落ちてくぞ! ものすげぇスピードだ!」
「いやいや待て待てェ! 底が見えねぇ真っ暗だぞ! あんなデケェ滝に巻き込まれたら海底に叩きつけられて死んじまう!」
慌てふためくウソップの腕を、ティオがポンと叩く。
「かいてい、まだ、なんぜんめーとるも、した。たたきつけ、られない」
さすがに不安になったナミも、思わずティオを見た。
「本当に平気なのよね? この流れに乗っても」
「さあ。100ぱーせんと、とは、いえない。たいりくだな、ぶつかれば、おわる」
「何でそういうこと言うのよアンタは! だんだんロビンに似てきてない!?」
「アウ! 心配すんな! サニー号は宝樹アダムより生まれし最強の船! 大陸棚ごときに負けやしねェ!」
「さすがに負けるわよ! 馬鹿じゃないの!?」
すると、いつの間にかロープで縛られていたカリブーが、甲板でぴょんぴょんと跳ね始めた。
「お~~い麦わらの一味! すぐに引き返せ! やべぇぞ!」
振り返ったゾロが、2度ほど瞬きする。
「そういやテメェいたな。何だよ引き返せって」
「下を見ろ! 怪物がいる!」
「「「?」」」
怪物と聞いて、一味が船の下を覗き込むと、海の青に紛れない黄色の軟体が見えた。
「アレがここに住みついてるなんて聞いたことねぇっ……殺戮に飽きることを知らず、船を狙って大海原を駆け巡る悪魔……クラーケン!」
「ひょえええええっ!?」
「うわあああああっ!?」
ウソップとチョッパーが、お決まりのようにティオにしがみつく。
「オイオイ何でこんなのいるのに気付かねぇんだよティオ~!」
「はぁ……うみの、なか、どれだけ、おおきい、いきもの、いると、おもってる? ……それに、まだ、こっち、きづいてない。こっちへの、かんじょう、なかったら、わかりにくい」
……なんて、言った傍からクラーケンの瞳がサニー号を捉えた。
「ひょわあああっこっち見たぞアイツゥ!」
「(コクン)…みた、ね」
「"みたね"じゃねぇよ馬鹿野郎!」
べしっと頭を叩かれて、金髪が揺れる。
「よく見りゃ船を何隻か握り潰してんじゃねぇかァァ!」
「もう駄目だァァ
ぴょんぴょんと跳ねていたカリブーも、船首の方まで登ってきた。
「頼む! 俺もまだ死にたくねぇ! 引き返せ! 数日やり過ごせばきっとあの怪物も……」
「うるせぇ黙ってろ!」
「はぁあ!?」
反論するのは誰だと、カリブーが目を吊り上げてそちらを見れば、満面の笑みを浮かべた麦わら帽子の船長と目が合う。
「いいこと考えたんだ~オレ! アイツを
「……」
「……」
「「「はあああっ!?」」」
予想外にも程がある提案に、叫び声がサニー号中に木霊した。
「オメェ今何つったルフィ!?」
「だからぁ、あのタコ手懐けてよ、船を引いてもらうんだよ!」
「アホ言え! よく見ろ! いやよく見なくても見えるだろ! あの巨大な姿! 一体何百年生きてんのか知らねぇが、クラーケンはこの世の数々の物語に登場する、もはや空想上の怪物だぞ!」
「ヨホホ……骨なしの生物、肉なしのガイコツ……何だか私と対極にいるような存在」
「どうでもいいわ!」
ウソップがブルックにツッコむ横で、フランキーはロビンのスケッチブックを覗き込む。
「ほ~ォ、なかなかウメェもんだなァ」
「滅多に出会えるものじゃないから、この機会に」
「スケッチて! 呑気か!」
チョッパーの顎が外れんばかりに開いた。
一方、割と乗り気なゾロは刀の鍔を弾く。
「やるのはいいが、ルフィ、何か策はあんのか?」
「ん~~~……なぁティオ~、タコって耳あんのか~?」
「あるけど、こっち、くうき、あっち、うみのなか、おと、とどくか、どうか……。でも、てぃお、は、おはなし、できるよ?」
「よっしゃ! んじゃぁティオに話してもらえばダイジョブだな! 一番の問題は、ここが海の中で、俺がアイツに近づけねぇってことだ……」
妙なところを真剣な顔で悩むルフィの肩に、ウソップが腕を回した。
「ちゃう、ちゃう……問題はあの大きさだルフィ、ここが陸でもヤバさはお・な・じ~」
ナミが慌てて全員に呼びかける。
「早く舵を切って! 進路南へ!」
「何言ってんだナミ! 真っ直ぐタコに向かえ!」
「バカ言わないでよ! あのタコが握ってる船見なさい! ああなりたいわけ!?」
「まぁまぁナミさん、俺がつい……ブハッ……て、るぜっ……」
「うおおおおっサンジ! よく耐えたァ!」
「リハビリの成果と、ナミがコートを着てるおかげだな!」
ツッコミに回ってクラーケンを避けようとしていたウソップとチョッパーまで、クラーケンそっちのけでボケ始めてしまい、カリブーは焦りを募らせる。
(何なんだコイツらはァ! こんな状況、全員一致で一目散に逃げちゃって当然の場面だろうが! この船 想像以上に危ねぇぞ!)
と、そこに……
「兄助~~~!」
後方から船が迫ってきた。
カリブー海賊団の船だ。
相変わらずモームが船を引かされている。
「おおおおコリブー! 野郎共さんたちよォ! 助けに来てくれちゃったのかィオイ~!」
「俺たち! 兄助! 助ける!」
「「「はえっ、はえ~~~っ!!」」」
……なんて、宣言した次の瞬間。
"ギュルルッ、メキョッ!"
素早く絡みついたクラーケンの足が、カリブー海賊団の船を握り潰した。
「ノォォォォォォッ!! 野郎共さんたち~!!」
「うわああああっサニー号よりデケェ船が一握りィ!?」
青ざめるカリブーと、一緒になって叫ぶナミ、ウソップ、チョッパー、ブルック。
しかし、ゾロは冷静に、海中に浮かぶカリブー海賊団を見つめていた。
「クラゲみてぇだ」
「るっせぇロロノア! 黙ってろォ!」