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41. 麦わら一味再集結
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一方、その頃。
42番グローブに停泊し、仲間が全員揃うのを待っているサニー号では……
「本当に大丈夫かよアイツら……」
ウソップが、チョッパーたちのことを心配していた。
逆に、ナミはあまり心配そうな顔をしていない。
「大丈夫でしょ? ティオが一緒にいるんだから。たとえ海軍に絡まれたって、上手いこと撒いてくるわよ」
「だといいけどよォ……」
と、若干落ち着かない気分で待っていると……
「ヨホホホホホッ!」
聞き馴染みのある声が聞こえてきた。
「あの声は!」
「間違いねぇ!」
エンジン音が徐々に近づいてきて、サニー号の上空をトビウオが1匹通り過ぎる。
その背中から、人影が飛び降りた。
「ヨホホホホホッ! ウソップさん! ナ~ミさん! ロビンさん! フ~ルァンキーさ~ん!」
スタッ、と、軽い足音で甲板の芝生に降り立ったのは、今や世界に名を轟かせる音楽家。
「「「ブルック~!」」」
「なんとお懐かしい皆様~!」
「オメェ、よくスターの座を降りて来たもんだな、あっぱれだ!」
「ヨホホッ、恐縮です~! ……ゴホン、え~、では早速、ナミさん、2年ぶりに……」
ブルックは到着早々、近場の樽に腰掛け、持っていたギターを構えた。
「おっ、何か歌うのか?」
ウソップがワクワクしながら見つめると……
「パンツ見せて貰ってもよろし「見せるかァ!」
"バキィッ"
2年前と変わらないフレーズに、ナミが2年前と同じように蹴りを決め、めでたくブルックの前歯が折れた。
ナミは一回転して止まり、盛大なため息と共にブルックを見下ろす。
「大体、2年前も見せたことないわよ」
「ヨホ、ホッ……さ、再会の感動で、ほら……私、胸が震えて……あ、私、震える胸、ないんですけど~、ヨホホ、ヨホゴフッ」
「おーい、大スターが痙攣してるぞ~……」
「まったく……どいつもこいつも成長してないんだから」
痙攣するほどのダメージを負ったブルックだが、さすがに回復は早かった。
「見たところ、まだ全員揃ってはいないようですね」
キョロキョロするブルックに、ロビンが現状を伝える。
「今、チョッパーとティオが迎えにいってるの」
「そうでしたか」
なんて、噂をすれば影が差すもので……
「お~~~い!」
聞き間違えようのない声が、上空から聞こえた。
サニー号で待っていたメンバーは、無意識に表情を綻ばせ、空を見上げる。
「連れてきたぞ~!」
チョッパーの声が聞こえて、太陽の中を、大きな鳥の影が徐々に降りてきた。
「ルフィ~!」
「ゾロ~!」
「サンジ~!」
先頭ではルフィが手を振り、その後ろには、膝の間にティオを座らせて肩にチョッパーを乗せたゾロがいて、最後尾にはサンジがいる。
フランキーがサングラスを引き上げた。
「男上げてんなァお前ら!」
ブルックは既に号泣している。
「ルフィさん! お会いしたかった~!」
釣られて、ウソップも目尻に涙を滲ませた。
「へへっ、またみんな揃った」
その隣で、ナミは無邪気に両手を大きく振り、ロビンは相変わらずクールに微笑んでいる。
「やっと来たわね~! アンタたち!」
「ふふ……誰も欠けることなく、集まれたわね」
そんな2人を直視して、血圧が上がってしまう男が1人。
(な、生身の美女が……2人増えたァ!!)
"ブバァッ!!"
サンジは勢いよく鼻血を吹き出し、弧を描いて海へ落ちていく。
「えええええ!? サンジィィ!?」
チョッパーが飛び出た目でサンジの姿を追う傍ら、ウソップが救出のために海に飛び込んだ。
ルフィとゾロとティオは、3人揃って首を傾げ、落ちたサンジを見つめる。
「どしたんだ? サンジの奴」
「知るかよ、あんな鼻血コック」
「さっきも、はなぢ、でてた」
……麦わら一味はまだ知らなかった。
サンジが極端に女に弱くなっていたことを。
そして、鳥に乗っている間はティオがゾロで隠れて、サンジには見えなかったために、鼻血を吹かずに済んでいたということを……
ひとまず、鳥に乗っていたメンバーは、サニー号の甲板に降りた。
ルフィはサニー号を一通り見渡し、最後に、フランキーでその視線を止める。
「うおおおっ!?」
闇夜も照らせそうなくらい、ルフィの双眼が光り輝いた。
「ふ、ふ、フランキーお前~~~!」
「アウ! どうした? 何かあったメカ?」
「メカ~~!?」
フランキーに搭載されたあらゆるスイッチを押したいらしいルフィを、ナミが渾身の力で止める。
「待ってルフィ! 気持ちは分かんないけど後にして! 軍艦がもうそこまで迫ってるって通信が―――
"ヒュゥゥ……ドォンッ"
サニー号のすぐ傍で、海面から水柱が上がった。
「きゃああっ!!」
「しまった! もう撃ち込める距離まで来てたのか! おいティオ、この近辺の軍艦の位置はどんな感じだ!?」
「しょうめん、の、1せき、いがいにも、10じの、ほうこうから、2せき、3じの、ほうこうから、2せき、ちかづいてる」
「おいおい完全に囲まれてんじゃねぇかぁ! ここまできたら反撃するか!?」
「まって。もう1せき、くる」
「はぁぁ!?」
「
ボト、ボト、と、鉛が海に落ちるような鈍い音がした。
「な、何だ何だ!?」
サニー号と軍艦の間に、2頭の巨大な海蛇が、船を引きながら割って入る。
ロビンが僅かに目を細めた。
「あれは、九蛇のマーク……」
「くじゃ?」
「七武海『海賊女帝』ボア・ハンコックが統べる、屈強な女人海賊団よ」
ブルックが望遠鏡を覗き、あんぐりと口を開けた。
「わっ、眩しい! ひ、光ってます! 美しさが、留まるところを知らない!」
ポロっと骨の手から落ちた望遠鏡を、落ちて壊れる前にウソップがキャッチする。
そして、興味半分に覗いた。
「どれどれ~、人魚姫もたじろぐ伝説の女海賊ってのは一体……うおおおっ何じゃァァ!? あの絶世の美女は!?」
"美女"の単語に反応し、サンジが飛び起きる。
「絶世の美女!? どこだ! 美女! 美女~!」
サンジはウソップから望遠鏡を奪い、血眼で美女を探した。
そして、レンズの中にハンコックを捉えると……
"ビシィッ"
……石になった。
その隣で、ルフィが目を瞬かせる。
「おっ、ハンコックたちだ!」
「へ?」
「助かった、今のうちに出航だ!」
「ルフィあんた、あの七武海と知り合いなの?」
「あぁ! 俺、女ヶ島に飛ばされたから、みんな友達なんだ!」
「女ヶ島って伝説の女だらけの島だろ? 本当にあったのか……」
すると、嫉妬の炎でサンジの石化がドロリと溶けた。
「あの女帝と仲良しィ?」
ガッ、とサンジはルフィの胸ぐらを掴む。
「コルァッ! テメェ! ちゃんと修行してたんだろうなァァ!?」
「ん? おう! バッチリだぞ?」
「おまっ……お前ェェっ……俺はっ、俺なんかなァっ……」
「どしたんだ?」
サンジがルフィを延々と揺さぶっている間も、他のクルーは着々と出港準備を進めていた。
いつの間にか海中へ潜っていたフランキーが、船底に仕掛けたバルブを開く。
途端、海中に沈められていたシャボン玉の空気が、船全体に張られたシャボンを膨らませ始めた。
「おお~!」
「シャボンのゼリーが膨らんだ!」
「サニーがシャボン玉に包まれて屋根が出来たぞ!」
コーティングを施されたサニー号の新たな姿に、仲間たちが瞳を輝かせる中、ウソップは諸島の方へ目を向ける。
チョッパーがきょとんと瞬きをした。
「ん? どうかしたか? ウソップ」
「いや、ちょっと気になってな……。お前ら、来るときに海兵全部やっつけて来たのか?」
「いいや? 飛んでくる間も、下にはいっぱい海兵が走ってたぞ?」
「それにしちゃあ、陸から海兵が1人も追ってこねぇ……どうなってんだ?」
麦わら海賊団一のネガティブキングであるウソップは、万が一にも海軍に取り囲まれないか心配している。
すると、ティオが僅かに口角を上げて、諸島の方を見た。
「だいじょぶ。かいぐん、ちょっと、とらぶる、あってる」
覇気で感じられるのは、まるで、麦わら一味を守ろうとするように動く、多数の気配。
彼らが一体何者なのか、ティオは確認しに行くまでもなく察していた。
(るふぃ、だけじゃ、ない。みんな、ひきつける、たくさんの、ひと)
「アウ! ナミ! 浮き袋も外したぞ!」
「オッケー! これで準備できたわ。よーしみんな! 帆を張って!」
「帆? 船は海に沈んでくんじゃねぇのか?」
「コーティング帆船は、海流を風のように受けて動くの。だから帆を張るのよ」
ナミの指示通り、一味の男たちが協力して帆を張る。
出港準備が完璧に整うと、ナミは、チラリとルフィに視線を向けた。
それだけで、ルフィはナミの言いたいことを察する。
「出航か? ナミ」
「えぇ。どうぞ? 船長」
満を持して、我らが船長が船の中心に立った。
そして、自分を囲む仲間たちの顔を、1人ひとり見ていく。
「ほんじゃ、野郎共……ずっと話したかったことが、山ほどあるんだけど、とにかくだ! 2年間も、俺の我が儘に付き合ってくれて、ありがとう!」
仲間たちは、当然のように笑みを浮かべる。
「今に始まった我が儘かよ」
「まったくだ。お前はずっとそうなんだよ」
いつだって自分勝手に、真っ直ぐ前に進んでいく船長。
両手の指では足りないほどの迷惑を掛けられたけれど、それでも一緒に旅をしたいと、心を鷲掴みにして離さない。
ルフィはニシシッと笑ってから、思い切り息を吸い込んだ。
「野郎共~! 出航だ~!」
"ドプンッ!"
サニー号が、海中へ潜った。
「行くぞ! 魚人島~!」
「「「おおおおおおっ!!」」」
―――2年の時を経て。
再び
彼らは旅立つ、新世界へ。
彼らは創る、新時代を―――
→ 42. 深海大冒険
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